お笑い芸人・福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)が出演する短編映画『蟹から生まれたピスコの恋』が4月9日(12:00)にTELASA(テラサ)で配信されることが31日に発表された。

  • 『蟹から生まれたピスコの恋』

テレビ朝日系バラエティ番組『トゲトゲTV』(毎週水曜24:15~)に出演している3人は、2021年、前身番組『トゲアリトゲナシトゲトゲ』で、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督とタッグを組んで短編映画『ウワキな現場』を製作。TELASAでは初回配信日に視聴DAU・視聴数ランキングのバラエティジャンルで1位に輝くなど反響を呼んだ。

第2弾となる今作は、2017年に短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』で、サンダンス国際映画祭ショートフィルム部門のグランプリ受賞という日本人初の快挙を成し遂げ、2019年には自身初の長編作品『WE ARE LITTLE ZOMBIES』もサンダンス映画祭で日本映画初となる審査員特別賞のオリジナリティ賞を獲得、ベルリン映画祭ほか37以上の映画祭に招待されるなど、世界が注目する長久允監督がメガホンを握る。AマッソとKID FRESINOのツーマンライブツアー「QO」の演出も手掛けるなど、実は大のお笑い好きだという長久監督。「2~3年前から温めていた」という企画を、トゲトゲ3人と共に満を持して映像化する。

『蟹から生まれたピスコの恋』は、「差別」という重いテーマを、令和最大のトゲと斬新な切り口で表現するブラックエンタメ映画。カニの父と人間の母の間に生まれるという親ガチャ“SSR級の大外れ”を引いた女子高生・石田ピスコの恋物語と半生を鮮烈に描いていく。主人公・ピスコ役には加納、その母でカニを夫に持つ石田みつみ役には福田、ピスコの“クールな”親友・くぼかよ役にはサーヤをキャスティング。さらに劇団EXILEの佐藤寛太が、ピスコの恋人となる高校教師・案浦先生役で、クズ男? を熱演する。

「ピスコ」というのは、カニの血筋ゆえ無意識でダブルピースをしてしまうことからくぼかよが付けてくれたあだ名。この愛らしいあだ名を、ピスコ本人も気に入っている。そんなピスコは18歳のとき、教師の案浦に恋をして告白。案浦先生と付き合い始めたピスコは、禁断の恋にどんどんのめり込み、「卒業後すぐに結婚してよ」と逆プロポーズし、やがて、卒業式の日を迎えるが……というストーリーとなっている。

完成した作品を鑑賞したトゲトゲ3人は、「監督天才か!」「絶対見た方がいい!」「映像が美しすぎる!」と大絶賛。コメントは以下の通り。

■加納(Aマッソ)/石田ピスコ・役

今回は映像が主体の作品。「これが映像になったら、どうなるんやろう!? 早く映像を見たいな」って思わせてくれる台本で、ワクワクしました。実際、撮り方も不思議でしたね。佐藤寛太さんと2人のシーンも横から普通に撮るのかと思ったら、股の下から撮ったりしていて、ビックリしました! 佐藤さんも明るくて、おしゃべりで、楽屋での会話も回してくれてビックリ。俳優のイメージが変わりました(笑)。

ピスコは、カニから生まれたわりには、元気に明るく育った子。ぶっ飛んだ設定ではあるけど、セリフの感じも含めて、わりとナチュラルに演じることができました。ただ、歌うシーンはめちゃくちゃ恥ずかしくて、苦労しましたね! 自分がJITTERIN'JINNになった気持ちで歌ったんですけど(笑)、事前のレコーディングで監督から細かい歌い方の指示があって、何度も撮リ直したんですよ。さらに、校庭でマイクパフォーマンスをしながら歌うシーンを撮影した時も、何回かミスってしまって……。最後のテイクがOKになった瞬間に雨が降りだして、「危なかった~」と思いました(笑)。

でも、総じて撮影は楽しかった! 前回の上田慎一郎監督に続き、すごくアットホームな長久さんのチームの撮影現場を見て、「映画を撮るのって楽しそうやな。私も短編映画を撮りたいな」って思いました。何のノウハウもないけど、監督ができるなら、殺し合いのコメディ映画を撮りたいですね(笑)。

カニとしてはこれからシーズンオフに入っていくのですが(笑)、映画の配信はこれから。カニにまつわる人間模様をぜひ見てほしいです。いろんな想像を掻き立てられる映画なので、自由に描かれてない部分を補完しながら、楽しんでください。

■福田麻貴(3時のヒロイン)/ピスコの母(石田みつみ)・役

脚本を読んで、Aマッソのコントっぽいなと思いました。セリフの感じも、加納ちゃんがしゃべってる姿がめちゃくちゃ想像できて、途中から「加納ちゃんが書いたんちゃうんかな」って思ったほどでした。今回はそんな加納ちゃんのお母さん役。カニと結婚しているという、めちゃくちゃ変で謎の役ではあるんですけど、旦那のことをあんまりカニと思ってない“普通のお母さん”だと思って演じました。撮影の日に朝一番で競り落としてきた旦那にも、愛を感じながら演じさせていただきました(笑)。

そんな中、女優として頑張ったのは一人語りの演技。(女優のような表情で……)相手がいない状態で、カメラに向かってセリフを言わなければならないとなった時、監督に「これは誰に対して、しゃべってるんですか? それによって私、しゃべり方が変わります」と質問させていただきました。そしたら「映画を見ている人に」という意外に普通の答えが返ってきたので、出過ぎた真似をしたな……と思いました(笑)。長久監督はものすごく不思議なワールドを持ってるのに、しゃべってる時は普通やし、不思議な人です。ピリピリしてないし、撮影も楽しくできました。

今回の作品はコントみたいな設定ですけど、実はその中にちゃんとリアリティーもある! 前作までの監督の評判も聞いてますし、間違いなく見応えのある映画になってると思います。監督がずっと温めていた、満を持しての作品なので、皆さんもきっと満足できるはずです。

■サーヤ(ラランド)/くぼかよ・役

企画書をもらって「何これ!?」、クランクインして「何これ!?」。最後も「何これ!?」と思いながらクランクアップしました(笑)。とにかく長久監督の撮り方が不思議! 私は垂直になりながら、吹かない管楽器を持って、まったく関係ないこと言ったりして……。監督のセンスの良さを感じましたね。監督は人柄も穏やかで、現場もゼロ怒号! 時間がない中、テキパキと撮られて、撮影は楽しかったです。

私が演じたくぼかよは、ピスコの親友で、クールな役。カニと結婚してるピスコのお母さんも、カニと人間の子どものピスコも変ですけど、その人たちを何とも思ってないくぼかよが、実は一番ぶっ飛んでるんじゃないかなって思いました。言うなれば“忖度ゼロ役”。そこは気を付けて演じました。

今回の撮影を通してすごく思ったのは、やっぱり演技って面白いなということ。実は私、ジム・キャリーになりたいんですよ。今回の作品を見たら、自ずとそういう仕事が増えてくるんじゃないかな(笑)。これをきっかけに、いろんな役に挑戦して、幅を見せていけたらいいなって思ってます。ボクサーとか車掌さんとか、自分自身が今後もならないだろうなと思う役をやってみたいですね。

『蟹から生まれたピスコの恋』は、ファスト映画も困るくらい摘まめない作品。どこを取ってもつながらない、でも全部が重要なシーンみたいな感じになっているので、スゴいストーリーだなって思います。配役もめちゃくちゃピッタリだったんじゃないかなと思うので、ぜひ見てほしいですね。私自身も憧れるピスコとくぼかよの関係性にも、ぜひ注目してください。

■佐藤寛太/案浦先生・役

長久監督からオファーが来たことが、すごくうれしかったです。オファーが来る前に長久監督の長編映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』(19年)を見ていたんですけど、それが素晴らしくて! 今回は初めてご一緒することになるので、「こんな発想で映画を撮っていく人ってどんな人なんだろう!?」「どんなふうに現場を回すんだろう!?」と、すごく楽しみでした。台本を読んだ時も「普段のお芝居とはまた違う表現だな」という感覚があったので、ワクワクしました。

また、トゲトゲの御三方とも初共演でしたが、話しやすく空き時間も居心地がよかったです。

『蟹から生まれたピスコの恋』は撮り方もストーリーも面白い! 観客も笑って見ていたのに、いつの間にか急に無言で見ている自分がいる……そんなふうにだんだんシフトチェンジしていく作品です。そういった“気持ちのジェットコースター体験”みたいなものを、ぜひ味わってほしいですね。「こんな作品を撮る人がいるんだ!」と驚き、「想像してたのと違って面白かった!」と言っていただけるような作品だと思うので、是非腰を据えてこの作品を味わっていただければと思います。

■長久允/監督

この作品はジェンダーや差別、グルーミング……そういった問題を、ティーンエイジャーの方々にもとっつきやすいよう、説教臭くなくポップに描き、良い方向に機能してもらえるような物語を作りたいなと思って書いた物語。実は、2~3年前からずっと温めていたものなんです。で、いつ誰とやろうかなと思っていた時に、今回のお話をいただきました。僕は大のお笑い好きで、『トゲアリトゲナシトゲトゲ』の頃からこの番組がすごく好きでしたし、ちょうど登場人物のイメージがトゲトゲ・メンバーとピタッとはまったので、「この話でよければ、やらせてください」と最初にお話して、映画化が実現したんです。

トゲトゲの御三方とも勘とセンスがめちゃくちゃ良くて、本当に優秀な役者さん。もう何の文句もなく、基本的に1テイクでOKを出したほどです! お笑いの方は常にお客さんからどう見えるかを第一に考えているので、こちらの意図も全部パッと理解してくれるし、見せる技術がスゴい! 劇中ラストの加納さんの歌も、普通の役者さんじゃ出せないスネアみたいな歌声で、すごく魅力的でした。また、佐藤寛太さんもだらしない感じの役を(笑)、熟考しながら前のめりで演じてくださって、素晴らしかったです。

今回は'90年代の家庭用ハンディカムを使って、普通の映画とはちょっと違う映像形式で撮った映像の絵本のような作品になっています。僕のフィルモグラフィーとしても、すごく大事な作品になりました。海外の映画祭にも出して、賞を取り、海外で長編化したいくらい、すごく大切に思っています。最後の楽曲も発売したいくらい、めちゃくちゃいいので、歌のシーンも待ち遠しく見ていただきたいです。