JR東日本は7日、各乗務員に合わせたきめ細やかな訓練を実施する「乗務員訓練シミュレータ」、タブレットで時刻表を閲覧する「乗務員携帯時刻表電子化システム(DTAC)」の導入など、安全・安定輸送を支える乗務員を支援するシステムについて発表した。首都圏主要線区においてワンマン運転の拡大を予定していることも明らかにした。
乗務員訓練シミュレータは、さらなる安全・安定輸送のレベルアップを目的に、2016年度から乗務員区所への導入を開始し、2019年度に全乗務員区所への導入が完了した。乗務している線区の実写映像や走行音など用いた臨場感のあるつくりとなっており、列車運行に関わるさまざまな事象を再現することにより、各乗務員に合わせたきめ細やかな訓練を行える。
各線区の保安装置やワンマン運転等のシステムが変更となった際、その線区の特情に合わせたシミュレータの改良も行う。新たにワンマン運転を開始する線区では、運転士が運転席に座ったまま、乗客の乗降を確認し、安全を確保する「乗降確認モニタ」、車両側面のスピーカから発車メロディを鳴動させるための「発車メロディ鳴動ボタン」など、ワンマン運転で使用する機器をシミュレータに追加している。
実例として、3月18日のダイヤ改正でワンマン運転を開始する青梅線青梅~奥多摩間と常磐線水戸~いわき間では、実際の路線での訓練のほか、ワンマン運転に対応したシミュレータを活用した訓練により、運転士の技能習熟を図っているという。
なお、JR東日本は在来線66線区のうち46線区でワンマン運転を実施している。今後、2025~2030年頃にかけて、山手線、京浜東北・根岸線、横浜線、南武線、常磐線(各駅停車)などの首都圏主要線区においてもワンマン運転の拡大を予定しているという。
「乗務員携帯時刻表電子化システム」(DTAC)は、タブレットで時刻表を閲覧するシステムで、2022年6月から導入。在来線の全乗務員区所で使用しており、このシステムを導入することで、日々行っていた時刻表の作成・変更作業を省略できるようになった。輸送障害時に担当列車が変更となった場合、これまで人の手を介した時刻表伝送を行っていたが、乗務員自身が新たな担当列車の時刻表を検索し、ダウンロードすることで、すばやい時刻表伝送が可能になったという。
2022年3月のダイヤ改正でワンマン運転を開始した八高線・川越線では、車掌が駅間で行っていた乗換列車の「時刻・行先・発車番線」の案内放送をタブレットのGPS機能と時計機能を活用して自動で行うアプリを開発し、使用している。八高線・川越線の乗務を担当する八王子運輸区の現場社員が、「ワンマン運転の開始後もお客さまにしっかりとご案内できるように」との思いからアプリを開発したという。