人事戦略研究所は2月22日、「2023年賃上げに関する緊急アンケート」の結果を発表した。同調査は1月31日~2月10日、同社WEBサイトの利用者・メールマガジン購読者である経営者・人事担当者134社を対象にインターネットで実施した。

  • 今年の給与改定において、例年より高い賃上げを予定していますか(図表1)

今年の給与改定において、例年より高い賃上げを予定しているか尋ねたところ、「例年より高い賃上げを実施済みまたは実施を決めている」が19%、「例年よりも高い賃上げに向けて検討中」が41%で、全体の6割が例年より高めの賃上げを予定・検討していることがわかった。一方で、「例年通りの賃上げのみを行う」は19%、「例年よりも低い水準で賃上げを行う」も3%見られた。

例年よりも高い賃上げに踏み切る理由を聞くと、「物価高による社員の生活不安解消のため」(69社)が最も多かった。次いで「世間的な賃上げ動向に合わせるため」(47社)、「採用難により、募集賃金や初任給引き上げの必要性があるため」(42社)となっている。

  • 今年の給与改定において、例年より高い賃上げを「実施済・実施予定・検討中」の理由(図表2)

例年よりも高い賃上げを実施する方法について尋ねると、「基本給に一定額を上乗せする」(44社)が最も多く、「基本給の昇給率を引き上げる」(30社)と続いた。「物価手当等の諸手当で対応する」は12社、「一時金支給」は8社、「賞与への上乗せ」は10社だった。

  • 今年の給与改定において、例年より高い賃上げを「実施済・実施予定・検討中」の場合、実施する方法(図表3)

例年よりも上乗せする部分の賃上げ率(正社員の場合)について聞いたところ、「2%以上3%未満」と回答した企業が28%と最も多かった。続いて「3%以上5%未満」が22%となっている。例年通りの昇給に加え、2%~5%程度をさらに上乗せする傾向があることがわかった。

  • 今年の給与改定において、例年より高い賃上げを「実施済・実施予定・検討中」の場合、例年より上乗せする部分の賃上げ率はどの程度ですか(図表4)

賃上げ対象となる正社員について尋ねると、年齢層では「30歳代~40歳代」が中心だった。管理職を対象とする企業(16社)は、非管理職を対象とする企業(19社)よりも少ない。

例年よりも高い賃上げを予定していない企業の理由は、「今の収益構造上では現状の賃金水準以上にすることはできない」(20社)が最も多かった。「仕入れやその他の経費のコスト高により収益が悪化している」(13社)、「業績が思わしくない」(12社)など、厳しい経営状況に置かれている企業の声も多かった。

  • 例年より高い賃上げを「予定していない」理由(図表6)

例年よりも「高い賃上げを実施済みまたは実施を決めている」、「実施に向けて検討中」と答えた企業の割合は300名以上規模の企業では57%、100名以上300名規模の企業で最も多く70%、50名以上100名未満の企業で60%、50名未満の企業では52%だった。

また50名未満の企業では、「例年通りの賃上げを行う」「例年よりも低い水準で賃上げを行う」「賃上げを行わない」と回答した企業が35%だった。企業規模計における22%と比較しても13ポイントの差があり、賃上げに対応できない企業が最も多い。

  • 今年の給与改定について、例年より高い賃上げを予定していますか(図表7)

上乗せする賃上げ率について調査した。3%未満では、100名以上300名未満の企業が56%、50名以上100名未満の企業が50%、50名未満では38%と企業規模が小さくなるほど低い。一方で3%以上と回答したグループでは、100名以上300名未満の企業が36%、50名以上100名未満の企業が40%、50名未満では43%と企業規模が小さくなるほど高かった。