2月22日は猫の日。一緒に暮らす猫にはずっと健康でいてほしいけれど、毎日お世話をしている”飼い主”にケガや病気、事故などが起きてしまったら? そして猫を飼っていることを誰も気づかず、猫が自宅に放置されてしまったら?

そんな「もしも」に備えるアイデアが話題になっています。「ねこヘルプ手帳」や書籍『ねこ活はじめました』(KADOKAWA刊)を手掛け、ご自身も2匹の保護猫と暮らすイラストレーターのオキエイコさん(@oki_soroe)のツイートが話題になっています。

一人暮らしの友人から聞いた「自分が事故等でなにかあったら、家の猫に周りの誰も気が付かず放置死するのが一番怖い」という話をきっかけに作ったというオキさんのヘルプサインは、「家に大切なねこがいます」というメッセージと、かわいらしい三毛猫が描かれています。画像サイズはスマホの待ち受けロック画面にぴったり。

  • (@oki_soroeより引用)

また、猫の名前や健康状態、緊急連絡先やかかりつけの動物病院など、猫を保護した時に必要な情報を書き込める「申し伝え表」もあわせて配布されています。こちらはスマホのホーム画面にしておくと便利そうです。

  • (@oki_soroeより引用)

猫のイラストに描かれた柄も様々。三毛猫、ハチワレ、くつした、シャム猫など全11猫種が用意されています。

この投稿には「早速待ち受けにした」「友人からおすすめされました。可愛い。出来ればこれが役に立つ日が来ないと良いのですが……」「おひとりさまのネコ飼いさんにイイ!」と多くのコメントが寄せられています。

かわいいうえに、もしもの時に備えられる「ヘルプサイン」、投稿者のオキさんに制作の経緯やこだわりを伺いました。

猫の「ヘルプサイン」投稿者に聞いてみた

――猫を飼っている一人暮らしのご友人との会話がきっかけだそうですが、「スマホの待受画像」にしたアイデアを教えてもらえますか?

自分にもしものことがあった時、家猫の存在を周囲に伝えられたら……という永遠の悩みに応えられるものはないかと、日頃から試行錯誤しています。同じコンセプトでいろいろなグッズを作っているのですが、こういうものはまずは第一に「気づいてもらえる」ということが鍵になってくると思います。

その点で、スマホのロック画面は高確率に目にしてもらえる場所であり、だれでも簡単に使えて、無料で配布できるのでぜひ知って欲しい、使って欲しい! という気持ちで作りました。

――家に猫がいることだけでなく、健康状態やかかりつけ医など細かい情報も入れられるようになっていますね。

2020年にも同様の待ち受け画像を作ったのですが、「ロック画面」の誰でも見れるという特性上、個人情報に関わる部分は控えていました。けれど、その後グッズを作る中でこういった情報を書き込める場所は絶対に欲しいなと思い、「ホーム画面」などに設定できるような「猫の申し伝え表」を作りました。

あくまで個人使用の範囲でお願いしているのですが、これなら多頭飼いの方も猫ちゃん分に合わせて作成できますし、お守り代わりに画像を作るだけでも効果があると思い、作りました。

――「ヘルプサイン」、制作の際にこだわったポイントはありますか?

待ち受け画像って毎日何十回も見る場所なので、機能云々とは関係なく単純に「気に入った画面じゃないとキツい」と思うんですよね。正直(笑)。だからどなたでも使えるようなデザインを意識しています。2020年の時は、猫・犬・ウサギすべてちょっと落ち着いた色でシンプルに作りました。

今回はそれをもう少し明るく、かつ「うちの子柄」を選べれるようなバリエーションを用意しました。せっかく使ってもらうものなので、なるべく気に入って使ってもらえるように工夫しています。

  • バリエーションも様々!(@oki_soroeより引用)

――オキさんは、緊急時に飼い主に代わって家猫を守るための手帳「ねこヘルプ手帳」も制作・販売されています。この手帳を作ったきっかけは?

コンセプトはこの待ち受けと同じです。手帳の表紙に「家で大切な家族が待っています。私になにかあったらこの手帳を開いて下さい」と書いてあり、中を開けると猫の個人情報(個猫情報?)がじっくり書き込めるようになっています。

  • 「ねこヘルプ手帳」(@oki_soroeより引用)

手帳という形になったのは「猫の母子手帳が欲しい」という想いからです。きっかけは私自身が双子を妊娠・出産したことでした。保健所で母子手帳をもらった時に、「なんで猫の母子手帳はないんだろう。猫達もうちの子なのに」と自然に思った勢いで作りました。

  • 「ねこヘルプ手帳」記入例。もしもの時だけでなく、一時的に誰かにお世話してもらう際の引継ぎにも役立ちそう(@oki_soroeより引用)

――「ねこヘルプ手帳」や待ち受け画像に多くの反響が寄せられております。猫やペットを飼っている方にメッセージを一言お願いします。

たくさんの方から「使います」「設定しました!」という声をいただき、作った身としてはとてもありがたいです。中には「前(2020年)の待ち受け画像、ずっと使ってましたがこっちにします」と言ってくださり、こんなに長い間使っていただけていることにただただ感謝しています。

生きている以上、「もしも」の時はいつやって来るかかわかりません。事故・災害・病気…そんな時に、自分の代わりに家猫を気にかけてくれる人がいるかどうかで、猫の生存さえ危うくなってしまいます。考えたくないことではありますが、動物と暮らす以上はそんなリスクがあることは考えておくべきだと思います。

その備えの一つとして、ヘルプ手帳や今回の待ち受け画像などがお役に立てたらとても嬉しいです。


日常使いしたくなるかわいい待ち受け画像ですが、もしもの時には猫と飼い主の心強い味方になってくれるヘルプサイン。愛猫を守るために、こういった備えはしておきたいものです。

なお「ねこヘルプ手帳」は、オキさんが運営する通販サイト「もしもショップHelmo」で販売されています。1部1,056円(税込・配送料別)で、1冊につき50円を公財日本動物愛護協会に寄付されているそう。他にも「いぬヘルプ手帳」「どうぶつヘルプ手帳(エキゾチックアニマル用)」や、「ねこが家にいます」ステッカー・ヘルプカードも取り扱っています。