少子化対策として、国はさまざまな子育て支援策を推し進めていますが、効果としては乏しい状況です。そんな中で、東京都は18歳以下の子ども全員に所得制限なしで給付金を支給する方針を示すなど、自治体による独自の支援が注目されています。
ここでは、東京都の子育て関連の助成金や支援サービスを紹介します。知らないために利用していないサービスがあるかもしれません。この機会にチェックしてみましょう。
東京都が実施している主な子育て支援
現在、東京都が実施している主な子育て支援をまとめてみました。利用できそうなサービスは積極的に利用していきましょう。
子育て応援とうきょうパスポート
子育て世帯や妊娠中の人がいる世帯に、東京都からパスポートが交付されます。そのパスポートを本事業に協賛する企業や店舗で提示することで、さまざまなサービスが受けられます。
たとえば、粉ミルクのお湯やおむつ替えスペースの提供、商品の割引などです。 各協賛店が実施するサービスの詳細は、次に紹介する東京都の子育て情報サイト「とうきょう子育てスイッチ」やアプリで確認できます。
とうきょう子育てスイッチ
東京都の子育てに関する情報を提供する、子育て応援ポータルサイトです。都内自治体の子育て支援サービス、子育て応援とうきょうパスポートが利用できる施設・店舗、授乳・おむつ替えスペース、小児救急医療機関、バリアフリートイレなどの情報が検索できます。他にも、子育てに役立つコンテンツが満載です。スマートフォンにも対応しているので、位置情報から近くの施設やサービスを検索することができ、便利です。
東京都出産応援事業
コロナ禍においての出産・育児を支援するために、育児用品や子育て支援サービスなどを提供する事業です。専用ウェブサイトで申し込みを行うことで、希望する育児用品や子育て支援サービス(新生児1人当たり10万円相当)が提供されます。
一時預かりサービス・在宅サービス
保育園や幼稚園などは日常の中で継続的に子どもを預けることができますが、臨時で子どもを預かってくれるサービスを知っておくと不測の事態が起きた時などに対処できます。
自治体によっては、これらのサービスを実施していないところもあります。詳しくはお住まいの区市町村にお問い合わせください。
ファミリー・サポート・センター事業
子供の送迎や預かりなど、子育ての「援助を受けたい人」と「援助を行いたい人」を結んで、子育てをサポートする事業です。センターは自治体または自治体から委託を受けた法人が運営し、会員同士のマッチングや提供会員に対する研修などを実施しています。
児童育成手当(育成手当)
ひとり親のために、東京都が独自に実施している制度です。18歳までの児童を養育しているひとり親家庭に、子供一人につき、一律1万3500円(月額)が支給されます。なお、所得制限があります。
東京都23区各自治体の子育て支援
ここでは、東京都23区の各区が独自に実施している特徴的な子育て支援をご紹介します。
<千代田区>
誕生準備手当
区内に住所がある妊娠20週以降から出産までの人に、一時金として4万5000円が支給されます。
次世代育成手当
18歳までの児童のうち、児童手当の支給対象となっていない児童を養育している保護者に対して、対象児童1人につき月額5000円が支給されます。対象児童は高校生や所得上限額超過によって児童手当が支給されない中学生以下の児童が当てはまります。
<新宿区>
民間賃貸住宅家賃助成
区内の民間賃貸住宅に住む子育てファミリー世帯の家賃を助成しています。助成額は月額3万円、最長5年間助成します。50世帯と限りがあり、年に1回募集し、多い場合は抽選となります。世帯要件や所得要件があります。
<台東区>
にぎやか家庭応援プラン
第3子以降の子どもの「出生」「小学校入学」「中学校入学」時に、お祝い品が贈呈されます。お祝い品は、こども商品券や図書カード1万円相当です。
<杉並区>
子育て応援券
就学前の子どもがいる家庭に、一時保育などの有料の子育て支援サービスに利用できるチケット「子育て応援券」を無償と有償で交付しています。有償の場合も購入費4000円で、1万円分のサービスに利用できます。
<北区>
子育てにっこりパスポート
区内在住の中学生以下の子どもがいる世帯を対象にパスポート(カード)を発行し、協賛店で提示することで、割引や特典が受けられるサービスです。
<練馬区>
第3子誕生祝金
3番目以降に出生した子どもに「第3子誕生祝金」を支給します。支給金額は第3子以降の出生した児童1人につき10万円です。
子育てスタート応援券
子ども1人につき8枚の「子育てスタート応援券」を配布しています。応援券は、「育児支援ヘルパー事業」や「ファミリーサポート事業」、「乳幼児一時預かり事業」などの有料サービスに利用できます。
<葛飾区>
三人乗り自転車等購入費助成事業
三人乗り自転車(幼児2人同乗用自転車)やそれに関連する物品の購入費を助成しています。小学生未満の子どもを2名以上養育されている人が対象です。助成額は購入金額の2分の1(上限3万円)です。
マタニティパス
母子健康手帳の交付を受けてから1年を経過していない人を対象に、5500円分をチャージした交通系ICカードを交付しています。
<江戸川区>
乳児養育手当(ゼロ歳児)
区独自の制度です。0歳児を養育している人に、月額1万3000円を出生月から支給します。支給回数は最大12回です。所得要件があります。
今後予定される東京都の子育て支援
東京都は、18歳以下の子どもに1人当たり月額5000円を給付する方針を決めました。所得制限は設けません。2023年度分の6万円は2024年1月に一括で給付される見通しです。
また、都内の世帯における「第2子」を対象にした保育料無償化を2023年10月から始めることも明らかにしています。現在、住民税非課税世帯の保育料は全員が無料、年収360万円以上の家庭は、3歳から5歳までと第3子以降は無料になっていますが、0歳から2歳の第2子は半額負担となっています。
学費の助成も予定されています。私立中学に通う子どもがいる世帯年収910万円未満の家庭に、年間10万円を助成することが検討されています。
東京都の少子化対策の本気度が伺えます。このように、自治体が主体となって子育ての環境作りを進めていくことは、迅速な対応が求められる場において有効です。東京都がリードしていく形で、子育てがしやすい街づくりが全国に広がっていくといいですね。