NTT東日本神奈川事業部は、横浜に拠点を構える横浜発祥の企業・団体等を招待し、2022年11月10日にeスポーツ対戦を通じた新たな形の異業種交流会「Kanaコン」を開催した。
コロナ禍での自宅時間の増加に伴い、急速に普及している「eスポーツ」。娯楽ゲームや子どもたちの教育ツール、高齢者の脳活性化ツール、新たなコミュニケーションツールとしての有効性・親和性、地域発展へのビジネス性などの観点から大きな期待が寄せられている。「地域の未来を支えるイノベーション企業」を掲げるNTT東日本でも、地域活性化を目指す上でeスポーツが今後大きな役割を果たすとしている。
今回の「カナコン2022企業対抗 eSports大会」は、Kanaコンを神奈川県内全体に対象エリアを広げていく取り組みの第一弾で、同社と深い関わりのある横浜の企業・団体が参加。NTT東日本ショールーム 光HOUSE YOKOHAMAをメイン会場に、プロ選手の解説実況のもと遠慮なしのガチンコ勝負を「ぷよぷよ」で繰り広げた。対抗戦などの様子はオンライン配信も行われた。
優勝は8連鎖に成功した東京ガスのグループ会社
参加したのは、神奈川新聞社、JR東日本(横浜支社)、相鉄ホールディングス、中華街発展会、テレビ神奈川、東京ガスネットワーク(神奈川支社)、ホテルニューグランド、NTT東日本 神奈川事業部の全8チーム。
各企業の選手2名が1チームとなり、それぞれ対戦して2勝したチームの勝利となるトーナメント戦で、1勝1敗の場合は合計得点で競うというルールとなっていた。
決勝戦は相鉄ホールディングスと東京ガスネットワークの対決に。飛車ちゅうプロは1回戦、2回戦、準決勝を勝ち進んできた両者の対戦について次のように解説した。
「5連鎖、7連鎖といった大きな連鎖を打っているチームなので、相鉄ホールディングスのお2人はこの大きな連鎖をいかに阻止するかが勝負ですね。『ぷよぷよ』は相手が大きな連鎖を構えていても、2〜3連鎖といった小さな連鎖による"おじゃまぷよ"で埋めてしまえば、すぐ大連鎖が打てなくなるので」
決勝戦らしいハイスピードな展開の戦いとなったが、結果は8連鎖で540個の"おじゃまぷよ"をお見舞いした東京ガスネットワークチームが優勝を果たした。
東京ガスネットワークの選手は「実は『ぷよぷよ』の動画をYouTubeとかで観ていて、飛車ちゅうさんも知っていたので、そのなかで8連鎖が打てて嬉しかったです」「相方が強いのはわかっていたので、自分が足を引っ張らないように。いい連鎖も打てたのでよかったです」と優勝コメントを寄せていた。
飛車ちゅうプロは「ぷよぷよeスポーツ」の対抗戦について、「社内には昔よく『ぷよぷよ』をやっていたって人が意外といたりするので、ちょっと探してみるのも手ですね。もしくはご自身で強くなるかです」と語っていた。
イベントではNTT東日本神奈川事業部社員の一体感醸成を目的とした部署対抗の社内レクリエーション大会も同時開催。NTTイーアジアとベトナムVMG Media Joint Stock Companyによって設立した「OCGテクノロジー社」のベトナム人クリエイターと、横須賀市の「スカピア」でeSports講師を務めるNTT東日本社員のオンラインによるエキシビションマッチも行われた。
「敷居が低くて、誰でも楽しめる」
大会と併せて、対抗戦に参加した企業・団体による意見交換会が実施された。
本大会で優勝した東京ガスネットワークは、東京ガスの道管部門が今年4月1日に分社化して設立した会社。主に都市ガスの安定供給、保安の確保、普及・拡大を担う道管事業者で、ガス事業が150周年を迎えた今年は、横浜市など地域連携を図りながら、さまざまなイベントも実施してきたという。
「コロナの状況もあり、横浜にゆかりのあるいろんな企業の方々とコミュニケーションをとれる場は貴重で、今回お声がけいただきまして感謝しております。次の展開につながればと思い参加しました」(東京ガスネットワーク)
番組やCMの制作のほかハウジングなど多岐にわたる事業を展開しているテレビ神奈川は今年度で50周年を迎え、4月からさまざまな記念特番やイベントを実施。NTT東日本とは配信業務等でも連携している。
「eスポーツは今後ますます盛り上がっていくだろうと考えていますし、tvkとしても共催・主催イベントで関わらせていただく機会が増えてくるかと考えています。番組制作でも展開できるコンテンツですが、私自身はeスポーツ競技もやったことがなく、eスポーツというワードだけが先行していました。こうした機会に実際参加することで、より身近にeスポーツの世界を感じられました」(テレビ神奈川)
また、今回の大会については「当初は『ぷよぷよ』も初めての私が参加して大丈夫なのかなという不安はあったんですけど。今回の大会はそんな私も楽しめるくらい敷居が低くて、誰でも楽しめるeスポーツの魅力を改めて感じました」とのことだった。
続いては本交流会の会場を提供した12月1日に95周年を迎えたホテルニューグランド。本交流会に参加した背景の一つとして、AI・ネット時代のサービス業界として、人間の接客する新たな価値の創出を測る一方で、DXによる生産性向上を今後の課題として語った。
「私は企業様の営業に携わっており、こうした横浜にゆかりのある企業様が一堂に会する場を設けていただけることは、コロナ禍では非常に貴重な機会。私も今回初めて『ぷよぷよ』をプレイしました。もちろん規模は小さいですが、テレビなどで見るeSportsの世界大会の雰囲気を私も感じることができた気がします。新たな発見もあり、ゲームに対する好奇心が芽生えました」(ホテルニューグランド)
コロナ禍でとりわけ大きな影響受けた中華街発展会は観光の閑散期である2月に横浜の街を回遊して地域を盛り上げる取り組みを紹介した。昨年度の春節ではデジタルスタンプラリーをNTT東日本が提供。来年2月の春節も両者でのコラボ施策を検討しているという。
「実際に配信設備があってプロの解説者やアナウンサーの方がいる場を体験できたことは貴重な経験でした。プレイしての感想は東京ガスネットワークさんのチームがひたすら強いという……(笑)。でも楽しかったです」(中華街発展会)
オンライン観戦で上司もやる気に
鉄道事業を展開する相鉄ホールディングスは1910年に設立した会社で、2009年に分社化を進め、ホールディングス体制をとる現在は27社の事業会社があるそうだ。相鉄本線や二俣川駅から分岐して湘南台を結ぶいずみ野線などがあり、2019年よりJRとの直通運転を開始。来春からは東急との直通運転も始まる予定だ。
「個人的に私はスポーツ全般もゲームも好きで今回参加しました。ゲームもスポーツの一つという認識に変わってきて、最近はeSportsに興味のある子育て世代も多いのかなと思っています。会社としては今後沿線をどう盛り上げて沿線人口を増やしていくかというところで、沿線の魅力向上の観点から個人的にもスポーツビジネスには期待しているところです」(相鉄ホールディングス)
人口減少の中で沿線の活性化のためAIやDXを活用した施策を推進し、ハードだけでなくソフトの投資を増やしていき、新規事業の創出やスタートアップとの連携などの取り組みを進めるという。
東京ガスと同じく、本年鉄道150年イヤーを迎えたJR東日本は鉄道と生活サービス、Suicaに代表されるIT部門の3事業を柱とするサービス提供に注力。コロナによる鉄道利用者の減少を受け、横浜駅を中心としたエリアマネジメントなどでは駅利用者に新しい働き方に対応した提案をしつつ、自社のDX技術の活用方法などを模索している段階だという。
「私の部署はもともと営業部だったんですが、この10月1日から地域共創部に名称を変更しました。会社としては各社様とさまざま連携はあると思うんですが、実際にお会いしたのは初めての方々が多く、eスポーツを通してこうした交流ができたことは今後の財産になると思っています。こちらの会場に移動中、上司に連絡したところ当社のフロアのテレビで中継していたらしく。その上司が次は私が参加したいとのことでした(笑)。次回はその上司にも参加していただきたいと思います」(JR東日本)
2020年に創業130周年、今年で創刊80周年を迎えた神奈川新聞社からはクロスメディア営業局の担当者が参加。イベント、新聞広告、出版物などの広報における企業支援事業を紹介した。情報発信においても地域企業との関係・ネットワークを重視し、横浜・神奈川エリアの活性化にも力を入れている。
「eスポーツと異業種交流会をかけ合わせるというところに興味が湧いて参加させていただきました。実際に参加してみると、普通の交流会以上にひとつ共通項ができることで話も広がりやすく、新鮮な交流会だと感じています」
eスポーツの普及と地域活性化の一環として本イベントを主催したNTT東日本。DX領域はもちろん、eスポーツ事業を展開するグループ会社を立ち上げたほか、スマート農業の分野などにも組んでいる。
「皆様の感想をお聞きし、実際にeスポーツはやったことはない方々にも楽しんでいただけたようで、非常に意義のある会だったのかなと思います。eスポーツにはまだまだいろいろな可能性があり、ゲームタイトルによって刺さる層が変わっていく。今日体験していただいたような内容を踏まえ、皆様からのお知恵もお借りできれば非常に嬉しい。カナコンは今後も継続的に実施していきたいです」(NTT東日本)