ランドセルメーカーの老舗、土屋鞄製造所は、1月31日に2024年度に入学する小学生向けのランドセルを発表しました。3月1日から発売となるランドセルは、全9シリーズ52種、約40色ものカラーバリエーションを展開します。この日に行われた発表会では、新作のランドセルのお披露目とランドセル業界のトレンドを解説しました。

時代の変化に合わせて“ラン活”も多様化

  • 発表会で展示された土屋鞄のランドセル

時代のニーズに合わせて変化するランドセルですが、登壇した同社のランドセル事業企画部長・小川裕一朗さんによると、現在のランドセル業界のトレンドは大きく分けて3つあるそうです。

まずは、ランドセル選び(=ラン活)にもジェンダーレスの流れが広がっているということ。「“男の子は黒、女の子は赤”という固定概念は過去のものになり、現在は男女ともに好みの色が分散している。“子どもの個性を大切に伸ばしていきたい”という親御さんの声もあり、カラーの多様化が今後も続いていくと考えている」と話しました。

  • 左:代表取締役社長・土屋成範氏、右:ランドセル事業企画部長・小川裕一朗氏

また、同社によると、ラン活の時期が最近では早期化・長期化しているのだそうです。「数年前までは年末に購入する傾向があったが、各メーカーで売り切れてしまうため、なるべく買い逃しがないように検討したい、納得するお気に入りの1つを選びたいとった理由から、ここ数年は入学の1年前から検討を開始し、購入のピークは5〜8月の長期休み期間に前倒ししてきている状況」と小川さんは説明しました。

最近では教科書や補助教材の増加、タブレット端末の追加、水筒持参など小学生の荷物の重量が増加する傾向があることから、子どもへの負担を減らすために、大容量かつ軽量な製品のニーズも高まっているのだそうです。

これらのニーズを踏まえた製品が2024年度入学向けにラインアップしました。

ジェンダーレス・ランドセルは新色が加わり全10色展開に

  • 新色のプリズムアンバーとプリズムインディゴ

“ジェンダーレス・ランドセル”と呼ばれる、性別にとらわれない色味と型にこだわったシリーズの「RECO(レコ)」からは、デニムのようなブルー系のプリズムインディゴと深みのあるキャメル系のプリズムアンバーの2種が新色として加わりました。全10色となった同シリーズは、“男の子の色”“女の子の色”という固定されたイメージを払拭するような、“大人でも欲しくなる色”を意識しながら、「自由な色選び」をコンセプトにカラー開発を行っています。

  • 中性的でモダンなデザインの「RECO」シリーズ(8万3,000~8万4,000円)

新シリーズは美しい文様が特徴

  • 新シリーズ「HERTE(ヘルテ)」(19万円)

紋章上絵師の京源三代目・波戸場承龍氏が描き下ろした文様を取り入れ、日本らしさを打ち出した新シリーズ「HERTE」が今年から新たに登場しました。防水加工を施した牛革を使用し、側面のマチや肩ベルトなどに型押しされた文様は、“6年間”をテーマにし、12本のラインが“12カ月=1年”を表し、それを“6年分”の意味を持つ6つ分重ね合わせたデザインになっています。

カラーは落ち着きのあるストーングレージュとフロストブルーの2色展開。上品な色味と、最高級品質の牛革に施した、繊細な紋が際立つプレミアムなシリーズです。

人気ブランドとコラボしたアイテムも

  • 「ミナ ペルホネン」とコラボした「アトリエ」シリーズ(8万5,000円)

土屋鞄とアーティストが一緒につくるランドセル「アトリエ」シリーズから、昨年に引き続き「ミナ ペルホネン」が描き下ろした新作の絵柄をデザインした、コラボレーションランドセルを6種類発売します。3柄各2色展開となっており、スモークとブルーベリーのカラーには「hope flight -希望飛行-」、ピーチとパープルには「rest on lake -湖水の安息-」、キャメルとチェリーには「my treasure -私の宝物-」の絵柄が描かれ、“空想する喜びや自由な創造力を大切にしてほしい”という思いがデザインに込められています。

  • 左から「my treasure -私の宝物-」、「rest on lake -湖水の安息-」、「hope flight -希望飛行-」

軽量化や背負いやすさを追求したモデルを採用

同社では製品の軽量化や背負いやすさを研究し続け、2023年入学モデルでは、側面などを牛革から人工皮革に切り替えることで、100グラム軽くすることに成功しました。見た目の高級感や耐久性は維持したままに、最軽量のものは従来のおよそ90%となる約1,290グラムの軽さを実現しています。

  • 左:2005年入学モデル、右:2024年入学モデル

そのほかにも“大マチ”(一番大きな収納部の厚み)の1センチのサイズアップを叶え、2021年モデルからS字形の肩ベルトや“立ち上がり背カン”という本体と肩ベルトを繋ぐ金属を刷新したことで、同じ重量でも軽く背負えるようになりました。実際にこれらの追求が2024年度入学モデルの「RECO」や「アトリエ」シリーズにも反映されているのだそうです。

また、同社の公式インスタグラムでは、背負いやすくするため、ランドセルに入れるものの整理の仕方を子どもでもわかるように分かりやすく解説した動画コンテンツを開始します。そのほか6年間安心してランドセルを使うためのサポートや、役目を終えたランドセルをパスケースやフォトフレームなどに変える「CRAFT CRAFTS」などのサービスも充実していました。

  • CRAFT CRAFTSでリメイクされたランドセル

3月1日より全国の直営店や系列店、ECサイトで販売開始となる2024年入学モデル。価格帯は、6万円台の人工皮革を使用した物から、10万円台の最高級品質の天然牛革やコードバンモデルまで幅広く並びます。

子どもたちの6年間の成長を支えるランドセルは愛され続けて欲しいもの。職人がひとつひとつ手作りする土屋鞄のランドセルのこだわりを実際に手に取って確かめてみては?