気温の寒暖差や乾燥で体調を崩しやすい冬。人間だけでなく、犬の体調管理も難しい季節になります。健康に過ごせるよう毎日の散歩やケアは欠かせないもの。今回は、自宅で出来る犬の健康チェックや病院での健康診断について、いすみ動物病院 田中 芳生先生に聞いてみました。

――病院で行う健康管理について教えてください。

3月~4月に狂犬病ワクチンが始まるのでそれに合わせて、フィラリア検査とフィラリア予防、一般の血液検査、混合ワクチンなどが行われます。混合ワクチンは子犬は2カ月頃から1カ月おきに3回接種します。成犬は年一回です。

血液検査では腎臓や肝臓がきちん機能しているか、貧血などの赤血球の異常は無いか、白血球の数やその種類のバランスを診て感染症の有無や細菌性、ウイルス性か、感染症の進行度合や深刻性をある程度判断出来ます。

レントゲンは胸部の肺や心臓の大きさや血管や気管の太さや炎症の有無、走行具合、腫瘍などがないか確認します。腹部は肝臓、脾臓、小腸大腸、膀胱、腎臓などそれぞれの大きさや形を診て異常がないか、また、膀胱、胆嚢、腎臓に石が出来てないか、消化管内の便の有無など確認します。また、関節炎や骨折があるかどうか調べます。

超音波画像診断検査では、リアルタイムでの臓器の運動が解ります。なので心臓の内部の弁の動きを確認したり、血液がきちんと正常な方向に流れているか逆流してないか、血管の太さや心房、心室の大きさ心筋の厚さなどレントゲンでは分からない細かい部分を診ることが可能です。

――自宅で出来る健康チェックや管理について教えてください。

自宅では犬の変化に気をつけてあげて下さい。まず、健康である時の犬の状態を良く観察してあげて下さい。基本となるものが無いと変化に気づけません。

飲水量、食事の量、散歩の距離や歩き方、呼吸の仕方、便の回数、色、硬さ、水の量、匂い、尿の回数、色、一回の量、匂い、目やに、口臭など、愛情を持って観察してあげて下さい。

次に、どこまでの変化が許容出来るものか毎日の愛犬を観察して知っていかなければいけません。一日一日の積み重ねがその愛犬の健康状態を知り、管理することに繋がります。獣医師がどんなに知識や経験があってもこの情報は毎日、愛犬と接している方しか出来ないことです。この情報が、話すことが出来ない愛犬の診断にとても役立ちます。

また、各ライフステージによって変化して来ますので、かかりつけの獣医師とよくコミュニケーションをとりながら愛犬を管理していきましょう。

――愛犬の健康管理で大切なことは何でしょうか。

一番重要なことは愛情を持って接してあげることです。愛情とは関心を持つことから始まると言われています。

まず、「犬という動物はどのような習性や生活をしているのか?」「何を食べて、いつ寝ている動物なのか?」など知ることが大切です。また、犬種ごとの特徴やその犬種が出来た歴史や役割などを知ることも大切になってきます。犬は犬種によって大きさがかなり異なります。チワワのような3kg程度の小型犬からマスティフのような70kg近くある超大型犬と20倍異常異なります。小型犬、中型犬、大型犬とそれぞれの特徴にあてはまったなり易い病気があります。そして、ライフステージによっても変わって来ます。それぞれの特徴にあった接し方や気を付けなければいけないことは沢山あります。

それを予め知って勉強していく事がお互いのコミュニケーションを深め信頼関係を築くに役立ちます。まずはあなたの愛犬を知りましょう。


クリスマスや年末年始の帰省など、何かとイベントごとが多い冬は愛犬とお出かけする人も多いのではないでしょうか。楽しく過ごすためにも日頃から愛犬の様子を観察し、寒い冬を乗り越えましょう。

監修ドクター:田中 芳生先生

いすみ動物病院 獣医


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