2022年も残すところあと1カ月となりました。世界的に数十年来の高インフレが進行する中で各国の中央銀行が利上げ等の金融引き締め策を講じ、株式市場にとっては逆風となった1年でした。昨年まではいわゆる"コロナ相場"でハイテク株を中心に大相場を作った銘柄もあり、特にコロナ禍以降に投資を始めた方々にとっては、今年の急な環境変化には戸惑った場面もあったかもしれません。
そのような中、個人投資家はどのような銘柄に注目していたのでしょうか。今回は株式会社スマートプラスが提供するコミュニティ型株取引アプリ「STREAM」内の掲示板での銘柄別コメント数のランキングから、2022年に個人投資家の関心が高かった銘柄について見ていきたいと思います。
※紹介するコメントは絵文字等を除き原文のまま表記しています。
■日米を代表する有名企業がランクイン
まずは、6~15位までを見ていきましょう。
日本株では、日本を代表する『トヨタ自動車』(7203)・『ソフトバンクグループ』(9984)、好業績を背景に驚異の配当利回りが続く海運銘柄の一角である『日本郵船』(9101)・『商船三井』(9104)、米国株では『テスラ』(TSLA)・『アップル』(AAPL)の人気銘柄がランクイン。
それらの銘柄に囲まれ、6位には今年大相場を作った『ダブル・スコープ』(6619)がランクインしています。
ダブル・スコープは連結子会社の韓国市場への上場などが材料視され注目を集め、3月半ばの600円台後半から、9月15日には一時3,175円をつけており、約半年で4倍以上の急上昇を遂げました。一方で、子会社の公開価格が正式決定すると強烈な失望売りに見舞われ、9月16日から3営業日連続のストップ安となりあっという間に、株価は半減。短期間で株式投資の魅力と恐怖を与える展開にもなりました。
STREAMの掲示板上でも、特に9月中は盛り上がりを見せました。中には上昇のタイミングでうまく取引をしたユーザーもおり、コミュニティを活用して銘柄選び・取引への活用をしている様子が見て取れます。
【ダブル・スコープ】
「今年メインで取引しているので、遡って売買記録を確認してみたら、4月に742円で種玉1単位を買っていました。その後、買い増・増し、一部利確、買い直しを繰り返しているので、平均単価は不明ですが、今日の売値から、良いとこ取りで計算してみたら、3バーガー? 以上達成してました。こういう株に出会えると、投資スタンス、成績も激変することがわかりました。これも最初のきっかけは、STREAMのフォロワーさん達の情報が切っ掛けでした。ありがとうございます。今後も、皆さんと良い株の情報を共有して、共に頑張って参りましょう。」
(めでたいさん、76いいね)
■大型・小型共に相場を盛り上げた銘柄が上位にランクイン
続いて1~5位を見ていきましょう。
3位は『レーザーテック』(6920)。年初からのハイテク銘柄の軟調地合いに釣られる形で大きく値を下げました。しかし10月以降は半導体関連株の上昇に伴い急激に値を伸ばし、10月3日は14,000円台であったのが11月16日には29,645円と3万円に迫るまで上昇し、短期間で2倍となりました。個人投資家は手をつけやすい株価の小型銘柄を好む傾向もありますが、レーザーテックのような値嵩株もコミュニティ内で取り上げられています。
栄えある1位は『バンク・オブ・イノベーション』(4393)でした。投稿数では2位の倍以上で圧倒的な注目銘柄でした。10月18日にリリースされた、新作大型RPG「メメントモリ」のリリース前から注目を集め、リリース後の課金高の動向を受け株価は上昇を加速させ、一時は16,300円を付けました。1月には1,500円を割れる場面もあったことから、1年間で"テンバガー"を達成したことになります。
STREAMの掲示板では、取引の話題もさることながら、ゲームの中身に関する話題も話されており、コミュニティならではの投資の向き合い方が垣間見えました。ゲーム関連は製造業などと比べるとサービスに直接触れることができるため個人投資家でも理解を深めやすく、情報の面で強みを発揮しやすいセクターであり、コミュニティ×投資の相性も良いように感じます。
株価が大きく動いた場面では、投資結果を報告してお互いに経験をシェアしあう場面も見られました。
【バンク・オブ・イノベーション】
「昨日6万円で嬉しがっていたのが、今日まで持っていれば13万円だったかと思うと後悔しかありません。売るのを一日送らせていたら給料2カ月分でした。この差は大きいです。」
(S【紗夜】さん、78いいね)
そのほか、昨年1位の『楽天』が根強く5位、年初から話題が多く上下に株価が動いた『サンバイオ』が4位、STREAMを運営する株式会社スマートプラスの親会社である『Finatext ホールディングス』が2位という顔ぶれでした。
■2023年も当面はインフレがテーマか
2023年の相場はどうなっていくのでしょうか。当面は今年に引き続き、インフレがテーマになることが予想されます。一方で、これまではインフレ率の高さに注目が集まっていましたが、徐々にインフレがいつまで継続するかに焦点が移っていくと考えられます。
長年デフレが続いていた日本においても、10月分の消費者物価指数の総合指数が前年同月比で+3.6%と約40年ぶりの伸び率となるなど、強いインフレが観測されています。
約40年ぶりのインフレとなると、多くの人が初めて経験するような相場展開とも言えるのではないでしょうか。今後も経済指標や中央銀行の動向など、マクロの動きへのアンテナを張っておくとよいかもしれません。一方で、投資の観点ではあまり経験したことがない環境にこそ思わぬ投資チャンスが見つかることもあります。
前向きに相場に向き合い、2023年に向けた投資の仕込みを始めてみてはいかがでしょうか。