東京メトロは、2024年度の導入をめざす無線式列車制御システム(CBTCシステム)を用いた走行試験を11月から開始したと発表した。丸ノ内線の営業線一部区間(四ツ谷~荻窪間)にて、営業運転終了後に走行試験を行う。

  • 東京メトロ丸ノ内線の車両2000系

CBTCシステムは、列車の安全・安定運行を制御するために無線通信技術を利用する信号保安システムのひとつ。地上装置が先行列車の位置等から後続列車が走行できる位置を算出し、無線を介して後続列車に伝える。後続列車は自ら走行可能な速度を計算し、運行を制御する。システムの一部に障害が発生しても機能を維持できるよう、機器を2重化するなどの冗長化を行うことで、システム全体の信頼性も向上させられるという。

このシステムを使うことで、後続列車は先行列車とつねに一定の安全距離を保ちながら進行することが可能になり、従来の「固定閉そく」方式と比べて列車の間隔を短くできるようになる。遅延発生時の回復も従来より早くなるとのこと。

  • 無線式列車制御システム(CBTCシステム)導入後のイメージ

  • CBTCシステム概要図

  • 従来のATCシステムに比べ、CBTCシステムは高い遅延回復効果が期待できる

  • 事故発生時には単線並列運転することにより不通区間をなくすことも可能

現在、丸ノ内線四ツ谷~荻窪間で営業運転終了後に走行試験を実施しており、2023年6月には、CBTCシステムにおける乗務員の操作訓練を開始する予定。9月から丸ノ内線の営業線全区間で走行試験を始め、2024年度中に丸ノ内線でCBTCシステムでの営業運転を開始する予定としている。2026年度中に日比谷線でもCBTCシステムでの営業運転を開始する計画だという。