自動車産業の世界的な調査会社であるJATO Japan Limitedはこのほど、欧州の自動車市場についての最新レポートを公開した。
2022年9月の欧州新車市場は3.5%増となった8月に続き、2カ月連続のプラス成長となった。販売台数は昨年同時期(2021年9月)の96万5,595台から103万8,481台に増え、7.5%の拡大だった。
モデルYがドイツでゴルフを抜く?
2022年第3四半期の台数は265万台で2021年同期と比較しても安定しているが、2020年第3四半期の344万台、2019年第3四半期の366万台と比較するとかなり低い水準にある。
JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は、「過去3年間で市場は四半期あたり100万台減少してきた。生産能力に対する台数という点では大惨事だが、大半の自動車メーカーはこの新しい現実に適切に対応している」と述べた。
年初来累計販売台数では、前年同期比10%近く減少して818万2,818台となり、2020年同期より3.6%減、2019年同期の1,200万台より32%減少している。
伸び悩んでいたピュアEV(BEV)の需要は当月に大きく増加し、16万869台が販売された。台数は15%増加。市場全体の15.6%を占め、2021年12月に次ぐ月次シェアとなった。
ノルウェーが17%、イタリアが42%減少した一方、ドイツは最大となる欧州全体の27%を占め、販売台数29%増と引き続き好調に推移した。次いで英国がシェア24%を確保し、台数は16%増。3位はフランスで台数を32%増加させ、14%のシェアだった。当月、これら3市場の合計で、欧州のBEV需要の60%を占めている。
各四半期の最終月に見られる傾向だが、テスラが特に好調で、欧州のBEV販売台数の4分の1強を占めた。「モデルY」がドイツで生産されているため、テスラは「モデル3」が記録した50%の減少を相殺することができた。
「モデル3」は中国での在庫不足とSUV人気の高まりが主な原因となり、引き続き苦戦している。2021年第3四半期と比較すると、テスラの台数は17%増加し、2020年第3四半期の約2倍、2019年第3四半期の77%増となった。
テスラを除くと、販売台数全体に占めるBEV割合が最も高いブランドはMGが42%で首位だった。2位にはルノーが18%で続いた。
プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の販売台数は2021年9月と比較して7%増加し、8万7,712台となった。
中国と米国ですでに見られたように、テスラ「モデルY」は2021年に世界で最も売れたBEVである「モデル3」を欧州でも上回っている。
販売台数2万9,367台、前年同月比227%増という驚異的な伸びで、当月欧州で販売された新車のほぼ100台に3台を「モデルY」が占め、SUVとして初めて欧州のモデル別販売ランキングで首位となった。ドイツでは「モデルY」がフォルクスワーゲン「ゴルフ」を上回って首位となり、27カ国のうち他の14カ国でもBEVモデルで首位となった。
2位はプジョー「208」だったが、「シュコダ オクタビア」(Skoda Octavia)、フォルクスワーゲン「T-Roc」、日産「キャシュカイ」(Qashqai)が上位10位に再登場するなど、好調な売れ行きを示している。
ランキングの下位で成長を記録したモデルはキア「スポーテージ」(Kia Sportage)」が53%増、フォード「クーガ」(Kuga)が89%増、フォルクスワーゲン「ティグアン」が58%増、フォード「フィエスタ」が87%増。
クプラ「フォーメンター」(Cupra Formentor)」が97%増、アウディ「A3」が70%増、ルノー「メガーヌ」が119%増、プジョー「308」が175%増、メルセデス「Cクラス」が203%増、メルセデス「CLA」が52%増、メルセデス「GLA」が157%増だった。
最新発売された中で好調だったのはダチア「ジョガー」(Dacia Jogger)が5,906台、フォルクスワーゲン「タイゴ」(Taigo)が5,326台、クプラ「ボーン」(Cupra Born)」が3,443台、マツダ「CX-60」が2,759 台、BMW「i4」が2,429台、フォルクスワーゲン「ID.5」が2,245台。
ボルボ「C40」が1,911台、メルセデス「EQB」が1,882台、アルファロメオ「トナーレ」が1,574台、DS「DS 4」が1,428台、シトロエン「C5 X」が1,147台、日産「アリア」が1,047台、メルセデス「EQE」が1,005台となっている。