本人が自覚していないストレスを可視化するアプリ「ストレススキャン」と「ANBAI」を提供するDUMSCOはこのほど、テレワークの会議過多による、突然休職のリスクに関する調査を実施した。

本田技研工業が原則出社の方針を明らかにする一方で、NTTグループがテレワーク(在宅勤務)を原則とする方針を打ち出すなど、リモートワークへの各社の対応方針の違いが明確になっている。そんな中で同社では、テレワークによる1日の会議数と、高ストレス者の割合に関する調査を実施した。

調査は2022年2月10日〜2月17日、週1日以上オフィス出社せず勤務する、全国22歳以上のビジネスパーソン367人を対象に、インターネットアンケート調査にて行なった。

  • 1日4件の会議が、高ストレスの温床に

その結果、テレワークの推進で高ストレス者の割合は減少した。その一方で、1日4件以上の会議参加を境に高ストレス者の割合が急増し、37%に達することが明らかになった。

  • アンケート式のストレスチェックでは、57%は高ストレス者と判定されない

また、その高ストレス者の特徴を調査した結果、57%はアンケート式のストレスチェックでは高ストレス者と判定されないため、自覚することなく、突然休職するリスクが高い「隠れテレワ負債者」である点が判明した。

この結果が象徴するように、そもそもストレスを人が自覚するのは難しい構造となっている。その理由の1つが、ストレスがかかるとアドレナリンが分泌されて、一時的にパフォーマンスが上がってしまう点だ。

  • ストレス反応の「抵抗期」は、むしろ「調子がいい」とすら感じるケースも

人はストレスを感じると、アドレナリンなどの抗ストレスホルモンを分泌し、一時的にパフォーマンスが向上する。

その期間は「抵抗期」と呼ばれ、パフォーマンスが「ドーピング」されているような状態のため、それがストレスだと実感することは難しく、むしろ「調子がいい」とすら感じるケースも少なくない。

  • 年収800万円を超える「ハイパフォーマー」を惑わす、アドレナリンの落とし穴

隠れテレワ負債者の特徴として、76%が年収800万円を超えるハイパフォーマーという結果が明らかになった。

その要因の1つに、多くの会議に参加することで「一時的に」パフォーマンスが向上。そのパフォーマンスが年収という形で評価されると同時に、その社員により仕事や会議が集中するようになったことが推測される。

  • ドーピング期間を終えると、いわゆる「病名」がつくような状態に

しかし、パフォーマンスがドーピングされる「抵抗期」は、概ね3カ月程度で、このドーピング期間を終え、副腎に貯蔵されているホルモンが枯渇すると、胃潰瘍やうつなど、いわゆる「病名」がつくような状態に陥いる。

そのため、ドーピングされたパフォーマンスに惑わされることなく、ストレス自体を客観的に評価し、会議が一極集中する状態を回避することが重要となる。

  • 「(忖度なしの)HP見える化」制度の運用を開始

そこで同社では、本人が自覚していないストレスを可視化するアプリ「ANBAI」のストレス評価を、任意でSlackのステータスに自動反映する人事制度「(忖度なしの)HP見える化」制度の運用を実験的に開始している。

試験的に開始した制度だが、Slackのステータスを参考に「今日の会議リスケしましょうか?」などの会話が増え、「会議ダイエット」のきっかけになっているという。

  • 隠れテレワ負債者の88%が、会議を断ることが苦手

今回の調査では、隠れテレワ負債者の88%が脊髄反射的に「大丈夫です」と言ってしまい、会議を断ることが苦手な特徴も明らかになっているが、Slackのステータスをきっかけにして、本人だけでなく、周囲からも「会議ダイエット」の提案が加速している。

同社では、今後は社内での試験運用を経て、ANBAI導入企業への提供も検討していく、としている。