転職や独立など生き方が多様化する中で、新たなライフスタイルとして注目されているのが「FIRE」です。
FIREとは、経済的自立(働かず保有している資産でその先の生活ができる状態)を実現させて、早期リタイアをすることです。
興味はあるものの、FIREとは具体的にどのようなものか詳しく知らなく、実現するために今からなにをしたらいいのか知りたい、といった方も多いのではないでしょうか。
今回は、FIREの基本や、実現するための具体的な方法について解説します。
「FIRE」とは?
FIREとは「Financial Independence,Retire Early(経済的自立と早期退職)」を意味する言葉です。
経済的自立とは、労働収入(会社からの給与や、個人こと業主のこと業収入など)がなくても、投資の運用益などで生活できる状態のことを指します。つまり、経済的自立を達成することで、早期退職を目指すという考え方です。
FIREと似た概念で、「アーリーリタイア」という言葉がありますが、考え方は異なります。
「アーリーリタイア」はお金を貯めて退職し、その後はそのお金を消費しながら生きるという考え方に対して、FIREは生活資金を確保したうえで、それ以外の資産を運用して収益を上げて、その収入で暮らしていくという考え方です。
以前は定年まで働き続けることが当たり前の価値観でしたが、最近は働き方の概念が変わり、FIREもライフスタイルのひとつとして注目を集めてきています。
20代の会社員でも50代「FIRE」を目指せる?
50代は一般的に役職に就き、20代と比べて収入は高く安定し、体力的にはピークアウトを迎えるタイミングです。20代からコツコツと資産形成をしていくことで、稼ぐ時間も投資を行う期間も約20年以上の十分な期間を確保することができます。
投資については、一般的に、長期にわたって運用をすることで、運用益も見込みやすくなるため、よりFIREも実現する可能性が高まります。
FIREを目指す方は、20代から50代のFIREに向けて、今からお金の使い方を考えるとよいでしょう。それでは、50代で「FIRE」をするためには、一体いくらぐらいの資産が必要なのでしょうか。
50代で「FIRE」をするために必要な資産は?
FIREを達成するためには、「年間支出の25倍の資産」が必要です。これは、4%ルールという考え方に基づいています。
4%ルールとは、年間支出の25倍の投資元本があれば、年利4%の運用益で生活費を賄うことができる、という考え方です。この4%ルールはアメリカの考え方で、米国株式市場の成長率7%と、物価上昇率3%の差である4%をもとに計算しています。米国株式(S&P500)を中心に投資をすることで、年間4%程度の利益が見込めるという考え方です。
総務省統計局「家計調査2021年(令和3年)平均」によると、1世帯当たりの1カ月の支出は235,120円というデータがあります。
例えば、生活費の年間支出を288万円として考えてみましょう(1カ月あたりの支出24万円×12カ月=年間支出288万円)。
年間支出が288万円の場合、その25倍の7,200万円が必要ということになります。7,200万円の投資元本があると、年利4%の運用で年間288万円の運用益を得ることができ、資産を減らすことなく暮らしていくことができます。
ただし、総務省統計局算出の支出額は、あくまで目安の金額です。お住まいの地域や生活スタイルによって必要な金額は、一人ひとり異なりますので、ご自身の年間の支出額から、どれぐらいの金額が必要なのかを考えることが大切です。
50代で「FIRE」をするために今から始めること
FIREを達成するためには、3つのステップが必要です。
1.自分の支出を把握する
まずは、毎月の支出額を確認しましょう。必要な金額は、一人ひとり異なりますので、ご自身の年間の支出額から、どれぐらいの金額が必要なのかを考えましょう。
2.目標の資産額を決める
次に、目標資産額の計算です。目標の資産額の計算は「年間支出の25倍」です。年間支出が288万円の場合に必要な金額は7,200万円(288万円×25倍)です。
3.目標資産額に向けて資産形成をはじめる
目標の資産額を決めた後、目標額に向けて積み立てや、資産形成を検討しましょう。一般的に、長期にわたって運用をすることで、資産を増やすことができる可能性が高まるため、早くから始めるとよいでしょう。ただし、投資商品によって特徴やリスクは異なりますので、ご自身に合った方法で資産形成を始めることが大切です。
まとめ
FIREを達成するためには、目標(何歳で達成するのか)を設定し、毎月の支出を把握し、目標資産額に向けた具体的な資産運用プランを立てて実行することが必要です。そのなかでも「毎月の支出の把握」と「目標額に向けた具体的な資産運用プラン」が大切です。
家計簿などで確認ができる支出は、あくまで「現在の」支出です。転職や結婚、住宅購入などライフイベントの変化で、将来の支出額は変わってきます。
また、資産運用についてはご自身の収入や支出、ご自身の性格を踏まえて、どの投資商品でいくら投資をするのか、具体的に計画することがポイントです。加えて、税金や社会保険料なども関係してくるため、将来の支出の想定額や、目標の資産額に向けた運用プランを具体的に考える方は、ファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
この記ことを執筆したファイナンシャルプランナー
倉知洋平(くらちようへい)
所属:株式会社マネープランナーズ