「第35回東京国際映画祭」(TIFF)のコンペティション部門出品作品『窓辺にて』の舞台挨拶が26日、都内で行われ、主演の稲垣吾郎、今泉力哉監督が登壇した。

  • 稲垣吾郎

本作は、『愛がなんだ』『街の上で』などの今泉力哉監督による完全オリジナル作品で、創作と恋愛を軸に描く大人のラブストーリー。妻の浮気を知るも何も感じない自分に悩むフリーライター・市川茂巳を稲垣が演じ、茂巳の妻・紗衣役を中村ゆり、高校生作家・久保留亜役を玉城ティナが演じた。

稲垣は、演じた茂巳について「これまでここまで役作りしない役ってないんじゃないかなっていうくらい、僕が言いそうな言葉、僕が思っていることを監督が見透かしているような……。当て書きって世間で思われているイメージに当てて書くというのはあると思いますが、そういうのではなく本当に僕の素、心の中が見透かされているような感じが不思議だったので、自然にそこに佇んでいれば茂巳として存在できると思いました」とコメント。

「あまりお芝居お芝居しすぎない、自然にそこで生まれている言葉のように感じさせるというか、今泉監督の作品は俳優さんたちが自然に演技している。今泉組のお芝居のスタイルに自分をチューニングしていく形であわせていきました。それは僕にとってとても最高の体験でした」と撮影を振り返った。

今泉監督は「自分でイメージしていた稲垣さんというものが、喜怒哀楽が激しいわけではなく穏やかな印象があった」と稲垣の印象を述べ、「今回の主人公は妻が浮気していても感情があまり動かないことに悩む人ですが、そういうことを理解して演じてくれるんじゃないかというので書いた部分がありました」と明かした。

実際、稲垣も「すごく理解ができる」と言い、「僕も、もし結婚していて妻がそんなことがあったとしたら、ショックはショックでしょうけど、その場でうまく感情表現ができないとか、普通だったらこのくらい怒らなきゃいけない、このくらい落ち込まなきゃいけないという、1つの線みたいなものがあって、そこに達していないといけないのかなと思ってしまったり、主人公のような気持ちになるのかなと思います」と推測した。