DXの波はいまや中堅・中小企業にまで押し寄せている。そのような状況の中、NTTタウンページの「人流DXソリューション」を活用し、独自の広告展開を行っているのが「ライフサロン横浜」だ。同社の事例から「人流DXソリューション」の可能性を探ってみたい。

  • 信頼関係で結ばれた、NTTタウンページの石黒氏(左)とライフサロン横浜の丸山氏(右)

横浜市に密着した賃貸物件を取り扱う「ライフサロン横浜」

精緻なエリアマーケティングを実現するNTTタウンページの「人流DXソリューション」。同社の保有する約600万件(2022年3月時点)の企業データベースである「タウンページデータベース」と、人流データを掛け合わせることで、「いつ」「どんな人が」「どこからどこへ」移動したかを可視化できることが大きな強みといえる。

この特長を活かし、セグメントされたユーザーに対する効率的な広告配信を行ったのが、横浜市で不動産業を営んでいる「ライフサロン横浜」だ。JR根岸線の関内駅、横浜市営地下鉄ブルーラインの伊勢佐木長者町駅にほど近い同社は、横浜市に密着した物件を数多く取り扱い、地元で愛されている。

  • 神奈川県横浜市の関内エリアで不動産の売買・賃貸の管理業を営む「ライフサロン横浜」

ライフサロン横浜の代表取締役である丸山弘文氏、NTTタウンページの石黒純氏に、「人流DXソリューション」導入までの経緯と、その効果について伺ってみたい。

特定のターゲットにのみ届く広告とは?

「人の生活はまず家探しからです。ライフサロン横浜という屋号は、この事務所から『お客さまと一緒にお家を探します』という思いからつけました。私は生まれも育ちも横浜で、サラリーマン時代から地域に根ざした営業を行ってきまして、不動産業歴も今年で34年目になります。横浜の歴史深い関内というエリアにおいて、お客さまに喜んでもらい、そして地域を活性化できるような仕事を心がけています」(ライフサロン横浜 丸山氏)。

  • ライフサロン横浜 代表取締役 丸山弘文 氏

丸山氏は、自身の経営する会社をこのように紹介する。もともと電話帳に広告を出稿しており、ホームページ制作から集客までサポートする「デジタルリード」を導入するなど、NTTタウンページのソリューションを積極的に利用してきたという。

そのひとつが「人流DXソリューション」だ。「人流DXソリューション」は通常、需要予測、販売戦略に用いられることが多い。だがNTTタウンページは、「スマートフォンアプリの位置情報を元にセグメントされたユーザーに対して、ピンポイントに広告を配信できる」という特長を活かし、「横浜市在住」など特定の属性にマッチしたユーザーの「LINE」アプリ上に対して広告を表示する仕組みを提案。よりマッチングする可能性の高いユーザーにライフサロン横浜の情報を届けることを可能にした。

  • ライフサロン横浜を支える少数精鋭のスタッフ

この試みは、残念ながら「クリックされた数は多かったものの、問い合わせはごく少数」という結果に終わったそうだ。しかし丸山氏は「やってみないとわからないもんね。それはそれでいいと思うんですよ。今回ターゲティング広告を行ったことによって、人流DXソリューションの使い方をよく理解できましたし、ライフサロン横浜の名前を知ってもらえましたから。実はもう、次にやる施策を相談しているんですよ」と前向きに述べる。

大学生に向けたターゲティング広告を検討

ターゲティング広告の経験を経て、ライフサロン横浜とNTTタウンページは新たな試みをスタートさせようとしている。それは、特定の大学に通う学生をターゲットとしたライフサロン横浜の広告だ。

「とある大学の新キャンパスが、ライフサロン横浜さまからほど近い関内駅前に開設されます。2023年に開設予定で、建物自体はほぼ完成しています。3,000人ほどの学生が新たに関内に来るようになりますので、現状、新設キャンパスから一番近い不動産会社であるライフサロン横浜さまにとって強い追い風になります」(NTTタウンページ 石黒氏)。

  • NTTタウンページ 企画部 マーケティング戦略推進室 リレーション担当 石黒 純 氏

今回は「LINE」だけでなく「Instagram」「Facebook」などにも出稿し、より大規模な展開を目指しているという。過去に特定の場所にいた人にのみ広告を配信できる「人流DXソリューション」は、通常のweb広告では行えない精緻なターゲティングが可能とのこと。

「位置情報データを活用することで、検索よりも強い動機の『行動』、webデータではわからない無意識レベルの『習慣』が見えてきます。潜在ニーズの高いユーザーを特定できるので、狙った場所・狙ったタイミングで広告を配信すれば、より高い広告効果が期待できます。今回のご提案では、神奈川県内の大学に通うと思われる方たちを対象に、広告を配信します。例えば、過去にオープンキャンパスに来られた方、入試当日に対象の大学を訪れた方などをターゲットにすることができます。そういった方々にいち早くライフサロン横浜の広告を配信することで、問い合わせ増や来店機会の創出に貢献できるのではないかと考えました」(NTTタウンページ 石黒氏)。

たしかに、タワーマンションのような大規模な不動産広告を見かけることは多いが、一不動産会社の広告を目にする機会はごく稀。その理由は、異なるエリアで物件を探している人に対して地域密着型の不動産会社であることをアピールしても効果がないからだろう。だが「人流DXソリューション」であれば、最寄り駅などを起点に物件を探すであろう人にピンポイントで広告を出せる。それが通う大学のすぐ近くであれば、土地勘のない学生ほど、一度は来店してみようと思うに違いない。

「賃貸物件を探す際、大手の不動産総合ポータルサイトを利用して物件を探すのが一般的かと思いますが、『ライフサロン横浜』という店名を認知してもらうことによって、『近いなら行ってみよう』と思ってもらえれば。広告を見た方が実際に来店した率も計測できますので、丸山社長にもその広告効果を感じていただけると思いますし、どの媒体、どのターゲットが有効かもご判断いただけると思います」(NTTタウンページ 石黒氏)。

ライフサロン横浜が信頼を置くNTTタウンページ

人流DXソリューションを活用し、地域密着型ならではの広告展開を行っているライフサロン横浜。丸山氏は、「NTTタウンページの石黒さんからの提案があったからこそ、やってみようと思えた」とその繋がりについて語る。

「石黒さんには、いかに街の不動産屋さんが安定した結果を出せるか、という部分に対して親身に付き合ってもらっています。最初に来たときは不動産の営業マンにしか見えなかったんですけど(笑)、やっぱり提案する上で、ソリューションの内容を把握しつつもこちらの反応を気にかけてくれていて、ものすごく信用していますし、お任せしています。受け入れるかどうかは私の判断であり責任です。だから、ほかの方がやるまえに新しいものをどんどん紹介して欲しいですね」(ライフサロン横浜 丸山氏)。

ライフサロン横浜の経営者として、丸山氏はこれまでもさまざまな施策を行っている。その中には失敗も少なくないが、丸山氏の表情は明るい。新しい挑戦が行える余裕を作るのも経営者の仕事と言えるが、丸山氏自身が心から不動産業という仕事を楽しんでいることが窺えた。

  • さまざまな販促物が置かれた店内。年齢早見表を配布し、ご家庭で使ってもらうことでアピールするというアイデアも

タウンページデータベースで約600万件という国内最大級の企業データベースを保有し、電話帳の広告掲載顧客で約13万の顧客接点を持つNTTタウンページ。石黒氏は、最後に同社のビジョンとその強みについて語る。

「NTTタウンページの企業理念は『Your Marketing Partner』です。中堅・中小企業さま、いわゆるSMBのみなさまのマーケティングパートナーとして、世の中に貢献できる企業を目指しています。タウンページというとレガシーなイメージを持たれる方も多いと思いますが、我々はいま日本一のデジタルマーケティング会社を目指してまい進しております。お客さまの課題を傾聴し、解決できるソリューションの開発、提案を行っていきたいと思います」(NTTタウンページ 石黒氏)。