京都鉄道博物館は15日、館内の扇形車庫にて「C62形1号機塗り直し竣工&マイテ49形2号車収蔵お披露目式典」を開催した。戦前生まれの名車マイテ49形2号車が京都鉄道博物館の収蔵車両となり、同館の収蔵車両は計54両となった。
マイテ49形は戦前の1938(昭和13)年、当時の最上級に位置する1等展望車として計2両を製造。マイテ49形1号車はすでに廃車となり、マイテ49形2号車のみ現存する。車端は展望デッキとなっており、1等車の利用者のみ入れたという。車内は大きく2つに区切られ、展望デッキ側に1人掛け用・2人掛け用のソファが並ぶ。
登場時から当時の花形列車である東海道本線の特急「つばめ」「富士」などに使われ、戦前の鉄道黄金時代を支えた。終戦直後は進駐軍の専用列車にもなった。その後、再び「つばめ」をはじめとする特急列車に使われたが、マイテ49形2号車は特急列車の電車化にともない1961(昭和36)年に引退。大阪環状線弁天町駅近くにあった交通科学館(後の交通科学博物館)に収蔵された。
1987(昭和62)年の国鉄分割民営化に際し、記念事業の一環でマイテ49形2号車が本線上に復活。JR西日本の所属車両となり、臨時列車などで活躍した。
今年8月に京都鉄道博物館で展示され、10月6~11日には「特別なSLスチーム号」の運用に入った。10月14日をもってJR西日本の車籍を抹消し、正式に京都鉄道博物館の収蔵車両に。今後は「SLスチーム号」も含めて本線上での走行はないという。
一方、塗り直しが行われた蒸気機関車C62形1号機は京都鉄道博物館の収蔵車両で、1948(昭和23)年に製造された。同機は「つばめ」をはじめとする特急列車で活躍し、マイテ49形を牽引したこともある。今回、塗り直しが竣工したことにより、全盛期をほうふつとさせる姿になった。
式典は扇形車庫にマイテ49形2号車とC62形1号機を並べて行われた。京都鉄道博物館の館長、前田昌裕氏は挨拶の中で、「マイテ49形2号車が当館に来ることは、鉄道開業150年の節目ということも合わせて大変喜ばしいこと」と述べた。その後、実際にマイテ49形に使われていた特急「つばめ」のテールマークが同車両に取り付けられた。
マイテ49形2号車は、「鉄道開業150年記念 SLたちの頭出し展示」に合わせ、10月30日までテールマークを取り付けた状態で扇形車庫に展示。その後、11月中旬頃から本館1階「車両のしくみ / 車両工場」エリアで展示予定とされている。