大切な愛車も走っていれば当然汚れていきます。クルマならガソリンスタンドの自動洗車機でサッと洗えますが、バイクの場合はそうもいきませんね。バイク専門の洗車サービスもありますが、自宅やコイン洗車場で行っている人も多いのではないでしょうか。
そんなバイク洗車に関するコツやNG行為などを前編、中編、後編の全3回に渡って紹介します。中編の今回は「ボディケア編」です。
■洗車の落とし穴は「腐食とサビ」
部品が壊れた場合はパーツを交換すれば直りますが、それ以外にもさまざまな故障や不調が発生します。中でも厄介なのは、腐食とサビ。見えないところの金属部品や、電装品のハーネス、端子などにトラブルが出ると、最悪の場合は走行不能になってしまいます。
2~3年で新車に買い替える人なら問題ありませんが、今のバイクを長く乗りたいとか、憧れていた絶版モデルを手に入れた人にとってみれば、この腐食とサビから愛車をどうやって守るか、が大切になってきます。洗車はバイクの状態を保つために行うことですが、最後まできちんと行わないと、逆に悪化させることにもあります。
■洗車後は必ず走らせて水分を飛ばす
洗車も終わってタオルで丁寧に拭き上げたつもりでも、クルマのボディと違ってバイクの車体は複雑な形状なので、どうしても細かなところに水分が残っています。そのままガレージにしまったり、車体カバーをかけて終わりにすると、残った水分が腐食とサビの原因になってしまうでしょう。
古いクルマやバイクを大事に乗っている人は当たり前のように行っていることですが、洗車後は必ず30分から1時間ほど走らせます。こうすれば、エンジンの熱と走行風で細部に入り込んだ水分の大半を飛ばすことができるでしょう。もちろん、年式の新しいバイクでも、よりコンディションの良い状態を保てるのは言うまでもありません。
■昔ながらの「ワックス」と、高耐久の「コーティング」
ボディを洗っただけでは汚れも付着しやすく、紫外線などのダメージも受けてしまうため、「ワックス」や「コーティング」をかけるのが一般的です。「ワックス」はカルナバ蝋を主成分としたものや、ツヤ出しの研磨剤や洗浄剤入り、手軽な液体タイプやシート状など、さまざまな種類があります。専門店で施工する「コーティング」の値段は高いですが、持続力はワックスよりも長く、自分で施工できる製品も出ています。
どちらを選ぶかは人それぞれですが、『愛車のタンクやカウルを撫でるのも好き』という人は「ワックス」を好むでしょう。『タンクのツヤは出したいけど、ニーグリップする部分が滑るのはイヤ』という人は、滑らない特殊ワックスや滑り止めパッドを使っています。『忙しくて時間もないし、とにかく走っていたい』という人は「コーティング」ですね。
■白化した無塗装黒樹脂はケミカルで復活
リアフェンダーやカウルの一部、スクーターではステップ部分などに無塗装の黒樹脂部品が使われています。これは経年で白化してしまうことも多く、洗車しただけではキレイになりません。せっかくタンクやカウルをピカピカに磨き上げても、ここがくすんでいてはちょっとガッカリしてしまうでしょう。
昔はバーナーやヒートガンで炙ったり、シリコンスプレーを吹く方法がユーザーの間で広まりましたが、熱処理は加減が難しく、樹脂によっては劣化が進んだり、シリコンスプレーはすぐに落ちてしまうというデメリットもありました。最近ではフェンダーなどに未塗装黒樹脂を使ったSUV車のブームもあり、バイク用以外にもさまざまなオートケミカルが出ています。
■タイヤやゴム部品も黒くしたい!
タイヤも劣化の原因になるので洗うべきですが、クルマ用のタイヤワックスは接地面に付着すると滑りやすくなるのでおすすめはできません。どうしても塗りたい場合は、ごく少量をウエスに取って、接地しない側面のみに慎重に塗り込むのがいいでしょう。スプレーで吹いたり、大量に塗ると遠心力で接地面に流れてしまいます。
また、タイヤワックスには油性と水性があります。油性は耐久性が高いのですが、ゴムが劣化する恐れがあるため水性がおすすめです。バイクはタイヤのほかにも、ステップやインシュレーター、フォークのダストブーツなど、さまざまなゴム部品が使われていますが、これらも汚れや油分は清掃したあと、ゴムを保護するケミカルを使うと格段に長持ちします。
ボディの汚れも落ち、ワックスなどのケミカルを塗れば愛車もピカピカに仕上がります。しかし、汚れといっしょに必要な油分も落としてしまっていませんか?
次回は、洗車の仕上げに行うグリス類の補給や、洗車がもたらす意外なメリットを紹介します。
クルマとは違う! バイク洗車のコツとNG行為【前編・水洗いの基本】はこちら
クルマとは違う! バイク洗車のコツとNG行為【後編・グリスアップその他】はこちら