ダイハツ工業がスーパーハイト系の軽自動車「タント」にマイナーチェンジを実施して発売した。8月の発表後に先行受注の受け付けを開始し、これまでに2.8万台超の注文が入っているそうだ。月間販売目標は1.25万台なので、すでに2倍以上の受注が入っている計算となる。新モデル「ファンクロス」の受注割合は約25%だ。

  • ダイハツの新型「タント」

    ダイハツ「タント」に追加となった新モデル「タント ファンクロス」

「タント」が選べる3タイプ構成に

タントは「スーパーハイトワゴン」という新たなジャンルを切り拓いたダイハツの軽自動車。初代の発売は2003年で、現行型は2019年7月に登場した4世代目だ。初代からの累計販売台数は約260万台に達する。

今回のマイナーチェンジでは「ミラクルオープンドア」をはじめとする使い勝手はそのままに、荷室のデッキボード(荷室を上下2段に分割できる)や進化した9インチのスマホ連携ディスプレイオーディオを採用するなど利便性をさらに高めた。注目すべきはタント カスタムのデザイン変更と新モデル「ファンクロス」の追加だ。

  • ダイハツの新型「タント」

    新型「タント」の標準モデル。ボディカラーは新色のホワイト×アイスグリーン

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  • 標準モデルの内装

タント カスタムはエンジンフード、フロントフェンダー、ヘッドランプ、フロントバンパーなどのフロント周りを中心に、立体感と車両のワイド感を強調したエクステリアを採用。ブラック基調の室内には深みのあるブルーを配色し、レザー面積を増やしたシート表皮やメッキ加飾によりシャープで緻密な印象を演出した。

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    新型「タント カスタム」。ボディカラーは新色のクールバイオレットクリスタルシャイン

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  • 「タント カスタム」の内装

タント ファンクロスはアウトドアシーンへの調和を目指したタントの新モデル。ヘッドランプ、フロントグリル、バンパー、シルバー加飾、サイドガーニッシュ、ルーフレールなどでタフ感、アクティブ感を強調している。内装はオレンジの差し色でギア感を演出。シートはカモフラージュ柄となっている。

  • ダイハツの新型「タント」
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  • ダイハツの新型「タント」
  • 新型「タント ファンクロス」の内外装

ライバルたちに追いつける?

日本の自動車保有台数約7,800万台のうち、約40%の3,100万台は軽自動車だ。タントが開拓したスーパーハイトワゴンは軽自動車市場の約半分を占める人気のジャンルとなったが、ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」など強力なライバルが参入した結果、シェア争いが激化。ここのところタントはホンダ、スズキの後塵を拝す結果となってしまっている。 マイナーチェンジでタントの販売に勢いがつくかどうかに注目だが、ダイハツの営業担当者は2.8万台超の先行受注について「期待の大きさの表れ。これからの本格的な受注活動が楽しみ」と手ごたえを口にしていた。

タイプ別の内訳は標準車35%、カスタム45%、ファンクロス20%というのがダイハツの見立てだが、これまでのところファンクロスの受注内訳は25%まで伸びているとのこと。新モデルなので「見てから決めたい」という人もいるはずだから、実車が各地の販売店に届き始めれば割合はさらに増えるかもしれない。

業界全体の問題だがダイハツも部品供給の課題に直面しているそうで、長いクルマだと納期は6カ月くらいまで伸びてしまっているそうだが、タントについては2~3カ月に抑えられるよう「しっかり準備」しているとのことだ。価格についても全体としてはマイナーチェンジ前から据え置きにしているという。標準モデルが「L」「X」「X ターボ」の3グレードで138.6万円~177.1万円、カスタムが「X」と「RS」で178.2万円~199.1万円、ファンクロスがNAとターボで172.15万円~193.05万円だ。