フォレスト出版はこのほど、『「女子ボス」のトリセツ』(川村佳子著/1,650円)を発売した。本書は、「女子の人間関係」に精通する産業カウンセラーが、「女子ボス」のめんどくさい攻撃から自分を守る方法を徹底解説している。

  • 『「女子ボス」のトリセツ』(川村佳子著/フォレスト出版/1,650円)

著者は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定の「産業カウンセラー」であり、日本人間性心理学会所属の川村佳子氏。国立機関や一般企業にて産業カウンセラーとして臨床経験を積み、現在航空自衛隊の外部カウンセラーも務めている。

今回は同書の中から、女子ボスの生態や特徴、そして女子ボスから身を守るための対処法を抜粋して紹介する。


■「女子ボス」の生態

ここからは、女子ボスの特徴はどういったものなのか? また、生息しやすい組織構造とは、どんな場所なのか? といったことを分析していきます。

あなたを悩ませる女子ボスへの対処法を知るためには、まず女子ボスの正体をよく知り、理解を深めることです。

1. 「自分は特別」といった誇大的感覚

業績や才能を誇張する、また十分な業績がないにもかかわらず、優れていると認められることを期待します。そして、自分の出世や活躍のみに関心があるため、他人の成功は全く喜びません。

人の成功や喜ばしいことも、口では「おめでとう」と言いながら、心の中では「自分のほうが優れている」と思っています。褒めない上司、見え見えの褒め方をする女子などがこれに当てはまるでしょう。「絶対に褒めない人」あなたのまわりにもいるかもしれません。

また、自分が特別であり、独特であり、他の特別な、地位の高い人たちにしか理解されない、または関係があるべきだと信じています。そのため、職場でも「私のアイディアは、〇〇部長にしか理解できない」と言って情報共有を拒絶したり、地位の高い人としか口を聞かなかったり、同僚には上から目線な態度で接し、新人には異常に冷たい態度を取るなど、「自分は特別扱いされる存在である」と信じています。

プライベートでもそういった態度は変わらず、自分は有名な人とつながりがあるといったアピールなど、SNSの発信も大げさで、「自分は特別で選ばれた存在」であるといった雰囲気を醸し出しています。

2. 空想にとらわれている

限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは、理想的な愛の空想にとらわれています。「井の中の蛙、大海を知らず」とでも言うのでしょうか。大きな世界から見ると、たいしたことではなくても、「私の成し遂げたことはすごいことだ」と偉そうに吹聴したり、また、それに対しての同意を周囲に強く求めます。

そして、「美人の友人と知り合うことで、自分も美人だと扱われるに違いない」「芸能界と精通している友人と知り合うことで、自分も芸能人のような才気あふれる憧れの眼差しを向けられるに違いない」といった空想にとらわれています。

例えば、政治家と偶然遭遇して写真が撮れたといった一瞬の出来事も、自分がものすごい権力を持っているかのような口ぶりで話すといったことが起きたりします。自分がなし得たことではないことも、あたかも自分がなし得たような振る舞いで、ファンタジーの中で生きている雰囲気があります。

3. 過敏に傷つきやすい

褒めてもらうのをやめようと思っても、褒めてもらわずにはいられない――。常に自分の優位を確認していなければいけないほど、深刻な劣等感を抱えていますので、小さな失敗にも過剰な反応を示します。些細な注意や意見交換も、「ひどく否定された」と感じます。自分の失敗をどうしても認められず、傷つくことを避けるため、嘘をつく、他者の責任にして逃げるなど、回避的な反応を示します。

また、自分で購入したブランド品よりも、価格の高いブランド品を友人が身につけているだけで、「人格否定された」などと感じます。しかし、女子ボスの場合、このちょっとした失敗が現実の自分を傷つけるわけではありません。特別で優れているという「誇大な自己イメージ」を持っているため、その自己イメージを傷つけるのです。過剰な反応を示してしまうのは、そのためです。

「私はこんなはずじゃない」そんな感覚を持っているため、過剰に傷ついてしまいます。

4. 過剰な称賛を期待する

常に他者からの注目や関心を必要としています。そういった性質の人間であることを知っているまわりも、めんどくさい気持ちから「○○さんさすがです!」「やっぱり仕事ができますね」などと持ち上げることがあります。

そうやって褒め称えると、「もっと言って」「他には?」「まだ褒めるところあるでしょ」と、さらなる称賛を求めてきます。自分の話をするときは非常にうれしそうであるのも特徴です。また、他人から称賛を得られないときは、「私は、すごい!」「頑張れ、私!」と、自分を褒め称えるような独り言を言っていることもあります。

5. 特権意識を期待する

特権意識、つまり、特別有利な取り計らい、または、自分の期待に自動的に従うことを、理由なしに期待します。

例えば、職場では来客用のため、使用してはいけない駐車場も、自分は特別に使用できると思い、当然のように停車します。また、自分が普段利用している飲食店の店員に対して「いつも利用してあげているのだから、特別な取り計らいをしてもらって当然だ」といった偉そうな態度で、無理な注文をすることもあります。自分は特別なのだから、その自分に周囲が従うことは当然であるといった期待を持っているのです。

■「女子ボス」ハラスメントから身を守る、対処方法を一挙公開!

ここから、女子ボスハラスメントから身を守るための対処法を具体的に紹介します。まずは、1つ。今のあなたに合う対処方法を見つけ、実践してください。

【対処法1】必要以上にかかわらない、情報を与えすぎない

女子ボスとの会話は、何を言っても揚げ足取りになり、議論は泥沼にハマるだけです。「相手の話を受容する」という姿勢も欠けていますので、まともに会話ができないことが多いでしょう。そういった人とは、必要以上にかかわることを避け、会話そのものを減らしていきましょう。

とはいえ、同じ職場の場合は、毎日顔を合わせることになりますし、定期的にどうしても顔を合わせなければならない人もいると思います。このような場合は、とにかく「会話を広げないこと」です。挨拶だけはにこやかに、元気良く。2人きりになったら、とにかく仕事に集中しましょう。もし、何かを聞かれて答えなければならない状況になったときなどは、短く穏やかに、そして、はっきりと言い切ってください。

この「言い切る」ことが、とても大事です。「例の企画書、進んでいるの?」と聞かれたとしましょう。その場合、「はい。〇〇日までに提出します」と短くはっきり言い切るのです。「え〜と、おそらく○○頃までには提出できると思います……」という、自信のない答え方は避けましょう。言葉の語尾が消えていくような答え方はせず、はっきりと言い切り、会話をすばやく終わらせましょう。

もう1つ大事なことは、こちらの「情報を与えすぎない」ことです。それは、個人的なことも含めてです。女子ボスは、常に心の中が不安で揺らいでいるため、根掘り葉掘りさまざまなことを尋ねてきます。

例えば、家族のことや休日の過ごし方など、あらゆる情報を探ってきます。平気でプライバシーを侵害してきますので、こちらが情報を与えすぎないことが大事です。「情報を与えないこと=境界線を引くこと」になりますので、聞かれたことに答えすぎないことが大事です。大切なことは、必要以上にかかわらないこと、情報を与えすぎないことです。

【対処法2】まともに相手と張り合わない

女子ボスは、とても攻撃性が強く、しかも理不尽な理由で攻撃してくるので、あなたも苛立ちを抱えることがあるでしょう。こんなことが毎日のように続いたら、本当に憂うつになりますよね。また、攻撃してくる人というだけで、こちらも身構えてしまいます。言い返して、ぶちまけたくなるときもあるでしょう。

でも、それは、「自分自身の心と向き合える人」とだけにしてください。女子ボスは、自分の心の弱い部分を見つめることや、言動を深く省みることができません。自己存在への自信のなさからの怖れが強いため、いくつもの鎧を身にまとって自分を守っています。そんな相手に、「正論」は通じません。

そんな相手とはまともに張り合おうとせず、振り回されないのがポイントです。言い返すと、「こいつが私を攻撃してきた! 自分は悪くない! これは反撃して、自分を守らなきゃ!」と思わせ、相手の心を刺激することになってしまいます。相手はただ「私は間違っていない!」と、叫んでいるだけです。「認めてほしい」という強い欲求に、さらわれてしまっているだけなのです。

こちらがいくら誠実に向き合おうと思っても、そうは受け取らない相手なのだと思ってみてください。多くの女子ボスは、意見を「攻撃」としか捉えることができません。もし、あなたが攻撃を受けたら、相手と張り合わずに、心のハードルをぐんと下げましょう。

相手の言葉を、自分の心や身体に入れないことです。右から左へと言葉を流し、シャットアウト。そして、その場をサッと切り上げましょう。「会話を深めることができない相手と、まともに話をする気はない」というメッセージだけ、心の中から無言で相手に送りましょう。


書籍『「女子ボス」のトリセツ』(川村佳子著/フォレスト出版刊)

  • 『「女子ボス」のトリセツ』(川村佳子著/フォレスト出版/1,650円)

同書では、本記事内で紹介しきれなかった女子ボスの特徴や、対処法をさらに知ることができる。そのほか、ハラスメント事例、自分が「女子ボス」にならない方法なども紹介。会社や学校など、どこにでもいる「女子ボス」に悩んだ時に役立つ一冊だ。