札幌のグルメといえば、ラーメン、ジンギスカン、スープカレーなどが有名どころ。もちろん、それらもおいしいけれど、最近、熱い注目を集めているのがスイーツ業界。
札幌で8月18~21日に開催された屋外イベント「スイーツガーデンさっぽろ(SGS)」に潜入してみた。
3年ぶりにリアル開催を実現
会場は札幌駅からほど近く、通称「アカプラ」と呼ばれる北3条広場。コロナ禍を理由に、一昨年と去年はドライブスルー形式で実施されたため、今年3年ぶりにリアル開催が実現した。
通常は出入り自由のイベント会場だが、今回は感染予防対策で入り口を一ケ所に限定。検温・消毒しQRコードを読み取ってから入場するスタイル。11時の開場めがけて来てみると、オープン前からすでに行列ができていた。
北海道産砂糖を使ったスイーツがテーマ
来場者の目当ては会場でしか味わうことのできない限定スイーツ24種。今回はスイーツ王国さっぽろ推進協議会と、JAグループ北海道の「天下糖一プロジェクト」とのコラボにより、北海道産砂糖を使ったスイーツがテーマになっている。
てん菜(ビート)からつくられる北海道の砂糖は、人工甘味料や輸入原料とは違って安全安心。しかも各店が趣向を凝らして仕上げたケーキがALL550円という分かりやすい価格設定。ここでしか食べられないとなると、ついつい欲張ってしまいたくなる。
まず目を引いたのはこれ。見た目からして北海道っぽい。道産とうきびを使ったバタークリームだそうだが、コーンの風味は強くなく、ほのかな甘さで上品な味わい。野菜がスイーツになるなんて新鮮だ。
ずっしりと食べ応えのあるのはこちら。米粉で焼き上げたバウムクーヘン。しっとりとしていて、てんさい糖のコクが口の中に広がる。
お次は夕張メロンを贅沢に使ったカップタイプのショートケーキ。中に生クリームとカスタードに加え、レモンゼリーとフランボワーズソースが仕込んであり、ジューシーでさわやかな味わいだ。
アーモンド粉をたっぷり使ったマカロン生地でサンドしたのは、道産いちごと生クリーム、ガナッシュクリーム、カスタード。いちごの甘酸っぱさとサクッとした生地の取り合わせがたまらない。
最後は道産卵をたっぷり使った濃厚なプリン。米粉のスポンジの上にフルーツをカラフルにトッピングしている。甘さは控えめ、大人っぽい味わいだ。
24種のうち5点をピックアップして食べ比べてみたが、食い意地の張っているのは私だけじゃないらしい。会場を見渡すと、1人でトレイにケーキを3~4つ乗せ、写真を撮りながら次々と食べている人が少なくない。
なかにはオープン1~2時間で完売してしまうものもあるというから、人気ぶりが分かるだろう。このほか今年はSDGsを意識して、ケーキの端っこを利用した商品「端っこスイーツ」も登場。フードロスの削減もさりげなくアピールしている。
札幌には人気のスイーツ店がたくさんある
実行委員会の担当者はこう話す。
「コロナ禍で乳製品や農産物の消費が落ち込んでいます。札幌市内には人気のスイーツ店がたくさんあるので、このイベントをきっかけに新しいお店や好みの味に出合ってほしいですね」
ケーキショップを応援するだけではなく、北海道の農業を支えることにもなるのなら、1個2個といわず、たくさん食べたいと思う人は多いはずだ。
会場には限定ケーキ以外にも、パフェ、綿菓子、クレープ、わらびもち、いちごけずり、スムージー、カヌレなど、さまざまなスイーツショップが出店している。食べてみたいものは数あれど、そんなに一度におなかに入らないのが恨めしくなるほどだ。
会場の一角には、ガツンとしたものも食べたい人向けの飲食ブースもある。室蘭やきとりやハンバーガー、牛たん、タコス、胡椒餅など肉料理7店とドリンク販売1店舗。炭火のいい香りに誘われてビールを買いに走った人も多かったのではないだろうか。
あらためて考えてみれば、砂糖だけではなく、小麦、卵、バター、生クリーム、フルーツと、ケーキづくりに欠かせない材料のほとんどが地元でそろう北海道。
おいしいケーキができないわけがない。ロイズや六花亭のお土産菓子のように持ち帰ることができないケーキやデザートは、ぜひ現地に来て味わってみてほしい。