日本国内でも、ここ数年で「ヴィーガン」という言葉がすっかり定着。ヴィーガンフードやヴィーガンスイーツを見かける機会も増えてきました。

そもそも「ヴィーガン」とは、肉や魚、卵、はちみつなど、動物由来のものを取り入れないライフスタイルのこと。食べ物に関する志向を指していると思われがちですが、ヴィーガンは、ファッションやコスメにおいても動物性素材を避ける人が少なくありません。

動物の革でできた靴やバッグを持たない、製造過程で動物実験を行っている化粧品は使わないなど、食事だけでなく生活全般において動物由来のものを避けるライフスタイルを「エシカル・ヴィーガン」と呼ぶこともあります。

そんな中、じわじわと注目を浴びているのが、自然由来の素材を使った「ヴィーガンレザー」。身近なあの自然素材が活躍する、ヴィーガンレザーの世界をのぞいてみましょう。

キノコの菌糸体由来の新素材・土屋鞄製造所「Mylo」

ランドセルや大人向けの鞄・革小物を製造販売する「土屋鞄製造所」は、国内で初めて、キノコの菌糸体から生まれたレザー代替素材「Mylo(マイロ)」を採用したバッグを開発しました。

キノコの菌糸体由来の新素材は、アメリカのバイオテック企業であるボルト・スレッズ社との共同開発によって生まれたもの。菌糸体の微細な繊維からなる「Mylo」は従来の革素材のような上質な風合いと質感に加え、安定した供給が見込める革新的な素材です。

  • 「Mylo ハンディLファスナー」

これまでに発表されているのは、ランドセル、鞄、小物など計6型。現時点ではいずれも試作段階で、6型のうちL字型のファスナー付きミニ財布は、2022年中の発売を目指しています。

りんごの皮をリサイクルした「アップルレザー」

スーツケースやビジネスバックなどを世に送り出してきたエースが手がける、働く女性のためのお仕事バッグを提案するブランド「W&.Day/Night」から発売しているのが、「ポエット アップルレザーリュック」。

  • 「ポエット アップルレザーリュック」(A4 JUST サイズ:24,200円、A4 FILE サイズ:26,400 円)

廃棄予定だったりんごの皮や廃材などをリサイクルした素材を原料に使うことで、従来のヴィーガンレザーに比べ、石油由来の樹脂の含有率を削減した環境にやさしいお仕事リュックです。

ノートPCを衝撃から守る「PCスリーブ」や、ペットボトルを立てて収納できる「ボトルホルダー」、キャリーケースに固定できる「セットアップベルト」などが備わっており、機能性も抜群。働く女性にとって頼れる存在となってくれるでしょう。

メキシコ産サボテンレザー「Desserto」

D2Cレザーブランド「CRAFSTO」が2022年7月に発売したのが、メキシコ産サボテンレザー 「Desserto(デセルト)」を使用したバックパックとクロスボディバッグ。

「Desserto」は、サボテンとバイオポリウレタンをベースした環境に優しい新素材。サボテンは特殊な光合成を行い、少量の水があれば生育することから、生産過程で水を大幅に節約することにつながります。触り心地や見た目も本革に似た風合いや、大切に使用すれば10年持つといわれる耐久性もポイント。

  • 「Desserto ヴィーガンレザーバックパック」(49,500円)

上質感を醸し出しながらも、日常使いに求められる機能性をしっかり満たしたサボテンレザーバックパックと、見た目以上の収納力を備えたクロスボディバッグは、洗練されたデザインもあいまって、性別・年代を問わず長く愛用できそうです。

サトウキビ由来のレザー

D2Cファッションブランド「SOÉJU(ソージュ)」は、ベルト、3WAYバッグ、トートバッグ、エンべロップケース、キーポーチの6型を「ヴィーガンレザーシリーズ」として展開しています。

  • 「3WAYバッグ」(9,790円)

「SOÉJU」のヴィーガンレザーシリーズの特徴は、イタリアの老舗メーカーが開発した、セルロース・サトウキビ・てんさい等の自然素材を使ったヴィーガンレザーを使用していること。シボ調で見た目にも高級感がありながら、耐久性に優れ、経年劣化しにくいと三拍子そろっています。

「ライフスタイルの『基(ベース)』になる」という想いが込められた、機能的でミニマルなデザインにも注目。クラッチ、トート、ショルダーとして使える3WAYバッグを筆頭に、オン・オフ問わず幅広いシーンで活躍してくれること請け合いです。

グレープレザー

フルーツや野菜をアップサイクルしたアイテムを展開するライフスタイルブランド「LOVST TOKYO(ラヴィスト トーキョー)」が新たに発売するのが、「グレープレザー」を使った「Grape Tote Bag(グレープトートバッグ)」。

  • 「Grape Tote Bag」(28,000円で販売予定)

ワインの生産過程で生まれるぶどうの搾りかすを原料としたグレープレザーは、世界的なファッションブランドや高級車のシートにも採用されるなど、近年大きな注目を集めているのだそうです。

本革のような重厚感のある風合いやラグジュアリーな質感と、耐久性や植物性レザー特有の軽さを兼ね備えたトートバッグは、通勤バッグにも最適。2022年8月20現在、ECサイトにて先行予約受付中です。


キノコの菌糸やりんごの皮、サボテンなど、思いもよらない素材が活躍しているヴィーガンレザーの世界。環境に優しいのはもちろんのこと、軽さや耐久性、上質な質感など、知らなかった魅力が満載です。