身内が亡くなると、葬儀などにお金がかかります。一方で、亡くなると遺族が受け取れるお金も意外と多いことをご存知でしょうか。有名なものとしては死亡保険金がありますが、しかるべき窓口に申請することでもらえるお金は、他にもいろいろとあるのです。

そこでこの記事では、身内が亡くなるともらえるお金についてまとめました。お金を受け取るには、一部を除いていずれも申請が必要となるため、内容をしっかり確認しておきましょう。

  • 亡くなるともらえるお金を忘れずにチェック

■亡くなるともらえるお金には何がある?

<国、自治体からもらえるお金>

・死亡一時金

国民年金保険料を3年以上納めた人が老齢基礎年金・障害基礎年金をいずれも受け取ることなく亡くなった場合、その故人と生計を共にしていた遺族が受け取れます。支給される遺族の優先順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順です。

もらえる金額は、国民年金保険料を納めていた期間により変動します。たとえば、15年以上20年未満の場合は、14万5,000円です。

死亡一時金を受け取るには、故人の住所地の市区町村役場で手続きを行いましょう。申請期限は、死亡日の翌日から2年以内となります。

ただし、遺族基礎年金をもらう場合は、死亡一時金は支給されない点に注意しましょう。

・葬祭費・埋葬費給付金

国民健康保険または健康保険の被保険者が死亡した時、葬儀を行った遺族に支給されるお金です。

もらえる金額は、故人が国民健康保険に加入していた場合は5万円または7万円、健康保険に加入していた場合は5万円となります。

申請は、国民健康保険の場合、市区町村役場の保険年金課が窓口です。期限は葬儀の日から2年以内となっています。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、各都道府県支部が窓口です。期限は、死亡日の翌日から2年以内となります。その他の健康保険組合に加入していた場合は、健康保険組合に直接問い合わせてみましょう。

・遺族厚生年金

厚生年金の被保険者または受給権者が死亡した場合、その故人によって生計を維持されていた遺族(妻、18歳未満の子、55歳以上の夫、父母など)に支給されます。

支給額は、本来受け取れるはずだった老齢厚生年金(報酬比例の年金額)の4分の3です。故人の過去の平均標準報酬月額や厚生年金の加入月数に基づいて、総合的に決められます。

手続きは、故人が最後に加入していた制度が厚生年金の場合は勤務先の管轄の年金事務所へ、国民年金の場合と年金受給者の場合は、住所地の管轄の年金事務所へ申請します。期限は死亡日の翌日から5年以内です。

・遺族基礎年金

国民年金の被保険者、または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合、その故人によって生計を維持されていた子のある配偶者、または子に支給されます。もらえる期間は、1番下の子が18歳になった年度の3月31日までです。

給付額は、「基本額+子どもの数による加算」と決まっています。2020年4月以降は、基本額は78万1,700円、第1子と第2子の加算額は各22万4,900円、第3子以降は各7万5,000円です。

申請は、故人の住所地の市区町村役場にて行い、死亡日の翌日から5年以内が期限です。

・労災保険の遺族(補償)年金

労災保険加入者が業務中または通勤中に死亡した場合、死亡当時、故人の収入で生計を維持していた遺族が「給付基礎日額」に応じて受け取れる年金です。

受け取れる金額は、受給要件を満たす遺族の数で変わります。申請先は勤めていた会社を所轄する労働基準監督署で、死亡日の翌日から2年以内が期限です。

<勤めていた会社からもらえるお金>

・死亡弔慰金

企業や役所に勤めていた人が亡くなった時、勤め先が遺族に支払う見舞金です。従業員や役員だけでなく、その家族が亡くなった際にも死亡弔慰金を出す企業もあります。

死亡弔慰金は福利厚生の慶弔見舞金の一種として位置付けられ、支給される金額は企業によりまちまちです。

死亡弔慰金を受け取るために遺族がすべき手続きは特にありませんが、従業員本人ではなくその家族が亡くなった場合は、死亡弔慰金について従業員本人が申請することもあります。

・死亡退職金

死亡退職金は、故人が本来なら会社から受け取るはずだった退職金のことです。会社員などが在職中に亡くなった場合は、死亡退職金という形で、遺族に故人の退職金が支払われます。

ただし、退職金はどこの企業でも必ず支払われるものではありません。死亡退職金についても、退職金制度のある企業で、遺族に退職金を支給する旨を定めている場合に支払われます。

死亡退職金を受け取るには、故人が働いていた企業や団体に「死亡退職届」を提出しましょう。

<生命保険会社からもらえるお金>

・死亡保険金

故人が民間の生命保険に加入していた場合は、保険契約者や保険受取人が生命保険会社に連絡しましょう。その後、必要な書類をそろえ、死亡保険金の請求手続きを行います。

生命保険会社が支払いの可否判断を行い、支払いが認められれば、保険金を受け取ることができます。

■亡くなると戻ってくるお金もある

これまでは、身内が亡くなった後に「申請するともらえるお金」についてご紹介しました。ここからは、「申請すると戻ってくるお金」について解説しましょう。

<高額療養費の払い戻し>

国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険の加入者の1カ月に支払う医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えて支払った分については、払い戻すことができます。対象者が亡くなった場合でも、相続人が代理人となり手続き可能です。

申請は、故人が国民健康保険に加入の場合は、市区町村役場の国民健康保険給付係で行います。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、各都道府県支部が窓口です。期限は、いずれも診療を受けた月の翌月を初日として2年間です。

他の健康保険組合に加入していた場合は、直接問い合わせてみましょう。

<高額介護サービス費の払い戻し>

介護認定を受けた人は、公的介護サービスを1~3割の自己負担で利用できるようになります。また、自己負担の合計が上限を超えた場合、申請することで、超過分を払い戻すことが可能です。この高額介護サービス費の払い戻しは、高額療養費の払い戻し同様、相続人代表者が故人の代わりに申請できます。

申請は、市区町村役場から送付される書類にて行います。期限は、該当する月の利用料の支払日から2年間です。

■身内が亡くなるともらえるお金について覚えておこう

身内が亡くなった時は、普段納めている社会保険料などが、生活の支えになってくれます。万が一の時に受け取れるお金はこれだけあると覚えておき、家族にもこうした情報を共有しておくといいでしょう。