ダイキン工業は8月3日、節電にも気を付けながら快適で健康に過ごす「上手なエアコンの使い方」について公開した。

  • 65歳以上の高齢家族は、夏場にエアコンの使用を控える傾向にある

戻り梅雨や台風などの不安定な天気を経て、本格的な猛暑の到来が予想されている。電力需給ひっ迫も重なっているが、節電のため無理をしてエアコンの使用を控えると、熱中症を引き起こすリスクが高まるとのこと。

熱中症の専門家である帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長・三宅康史氏によると、人は年齢と共に基礎代謝が下がり、暑さを感じる感覚器の機能も低下するという。このため高齢者は、若者と比べて暑さを感じにくく、同時に、冷房による寒さを感じやすくなるとのこと。

高齢者はエアコンを使うことに消極的なことが多いが、このような身体機能的な変化があることも理由のひとつ。今年は節電要請もあり、いつも以上にエアコンの使用を控えるケースも考えられる。三宅氏は「高齢者は命の危険につながりかねないため、適切にエアコンを使ってください」とアドバイスしている。

今後、猛暑日や熱帯夜が続くことも予想されるが、エアコンを使わないでいると、身体や自律神経が休まる暇がなく疲労がたまり、熱中症のリスクが高まるという。猛暑日だけでなく、熱帯夜にも注意しながらエアコンを積極的に使い、熱中症のリスクから身を守ることを心掛けることをすすめている。

同社が2022年4月に、65歳以上の高齢家族がいる家庭を対象に行った意識調査でも、高齢家族の40.8%が夏場のエアコンの使用を控える傾向があることがわかっている。体感だけで判断せず温湿度計で室内の状態をチェックすることや、エアコンを適切に使うことを、高齢者に呼び掛けることも大切だという。

また、2022年6月の意識調査では、節電意識の高まりからか、高齢者に限らず64.7%が「省エネ・節電のために夏場のエアコン使用を我慢しようと思うことがある」と回答している。そこで同社は、家庭で今日から手軽に取り組めるエアコンの上手な使い方や節電のヒントを紹介している。

  • 省エネ・節電のために夏場のエアコン使用を我慢する傾向

節電しながら快適に過ごす上手なエアコンの使い方はとして、「フィルター掃除」を挙げている。フィルターにホコリが堆積すると、室内機を通り冷やされる空気の量が減り、室温が設定温度に到達するまでに時間がかかってしまう。その分、無駄な電力の消費につながるため、2週間に1回のフィルター掃除を行うことをすすめている。フィルターを一年間掃除しないと、約25%の電気代の無駄につながる場合もあるという。

  • フィルタ掃除の有無による消費電力の比較

室外機の吸込口や吹出口がふさがれると、エアコンに負荷がかかってしまうことから、室外機の周辺に荷物は置かず、室外機周辺の風の流れを妨げないようにすることも大事とのこと。室外機周辺が高温になった場合も、エアコンの運転効率が下がることがあるため、日陰を作ることも節電に有効だという。

  • 室外機周辺の整理も節電には大切

暖かい空気は上昇する性質があり、夏場の室内では、天井付近と床付近の空気の温度に差が出る「温度ムラ」が起こりやすくなっている。そこでエアコンの風向を水平にしたり、扇風機などを使って室内の空気を撹拌したりするなど、温度ムラを抑えることができる。

  • 空気の攪拌によって温度ムラを抑える工夫

また、エアコンの風量は「自動」にすることをすすめている。微風や弱風に設定すると、風量が少なく設定温度にするまでに時間がかかり、その分、無駄な電気代がかかってしまうこともあるとのこと。

  • 風量は自動運転が効果的

節電のためには、エアコンはつけっぱなしがいいという話も聞かれるが、同社が行った実験では、30分に5分の窓開け換気のたびにエアコンの電源を小まめにオンオフにするよりも、エアコンをつけっぱなしにした方が、電気代が1日で約45.7円(1カ月換算で約1,371円)低くなる結果となった。30分程度の外出や、定期的な窓開け換気時も、エアコンは「つけっぱなし」がよいという。

  • 30分程度の外出や、定期的な窓開け換気時、エアコンは「つけっぱなし」が節電になる