本記事では、「プロパガンダ」の意味、使い方や例文、語源などを紹介します。プロパガンダの種類や類語、洗脳との違いも紹介しますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
プロパガンダとは? どういう意味かをわかりやすく解説
早速、プロパガンダの意味を見ていきましょう。
プロパガンダ(propaganda)の意味は「特定の主義に集団や個人を誘導する宣伝戦略」
プロパガンダとは「特定の主義や思想を強調し、広く知らせる宣伝戦略」のことで、英語の「propaganda」をカタカナ語にしたものです。また、宣伝をすることで、特定の主義や思想で集団や個人に影響を与え、意図した方向に行動するよう仕向けるという意味合いがあり、ネガティブなニュアンスで使われることも多い言葉です。
現在は特に「政治的意図を持つ宣伝活動」というイメージが強い言葉です。ただし、ある思想や主義、教義などがあれば、ビジネスや宗教のために行う喧伝(けんでん)もプロパガンダといえます。例えば「健康のためにはAという栄養素が必要」「Bという商品にはAが豊富に含まれている」と宣伝することにより、Bという商品の購入を促すこともプロパガンダといえるでしょう。
なお近年では一方的で押しつけがましい宣伝だけではなく、戦略化した巧妙なプロパガンダも増えてきています。
プロパガンダの使い方と例文
プロパガンダの例文も参考に、使い方のイメージをとらえましょう。
- このニュースはプロパガンダの可能性もあるから、むやみに信じず、公正な目で事実を確認すべきだ
- あの政治家の主張は、自らの不正な行いを正当化するための、巧妙なプロパガンダではないか?
- 最近の彼のスピーチは、戦争賛成のプロパガンダに満ちているように思える
- あの映画は実は、とある宗教のプロパガンダのために制作されたのではないかといううわさがある
- プロパガンダに踊らされることなく、自らの考えを持って情報を見極めることが大切だ
- 製品の効果を明確に伝えるためのコーポレートプロパガンダとして、テレビCMを制作する
プロパガンダの語源・由来と歴史
プロパガンダの語源・由来
プロパガンダは、もともと「種をまく」や「広がる」、「接ぎ木」などを意味するラテン語の「propagare」が転じたもので、キリスト教のカトリック教会が1622年に創設した「Sacra Congregatio de Propaganda Fide(布教聖省)」に由来しているとされています。
プロパガンダの歴史 - ナチスの行為もプロパガンダと呼ばれた
第二次世界大戦下においては、ナチスが行った政治的宣伝を「プロパガンダ」と呼んで嫌悪する風潮があったため、日本でも悪いイメージが定着したようです。
プロパガンダの種類
プロパガンダは、さまざまな種類に分類されています。
政治・国家におけるプロパガンダ
政治的意図に基づく主義や思想を強調した宣伝活動によって、人々の意見や態度、感情、行動などを特定の方向に誘導しようとする行為が、政治的なプロパガンダです。独裁政権国家における自国民に向けた報道や演説も政治的なプロパガンダといえるでしょう。現在では「プロパガンダ」というと、この政治的な意味合いで使われることが多いようです。
芸術の分野におけるプロパガンダ
特に第一次世界大戦以降は、ポスターや写真、映画などの媒体もプロパガンダに利用されました。戦時下の日本でも、愛国心をあおるポスターや、常勝しているかのように描かれたり、戦争が良いこととして描かれたりした日本軍のドキュメンタリー映画などが制作されています。
ブラックプロパガンダ
情報発信元の偽装や、隠ぺいによって発信者が特定できないようにする宣伝活動、また虚偽を広めることを「ブラックプロパガンダ」と呼びます。なお、情報発信元が明確であり事実に基づいたプロパガンダは「ホワイトプロパガンダ」と呼ばれます。
コーポレートプロパガンダ
企業が利益のために行う宣伝活動を「コーポレートプロパガンダ」と呼びます。「コーポレートプロパガンダ」は一般的に「ホワイトプロパガンダ」です。有名な俳優やタレントなどを起用して、大々的に広告やテレビCMを展開することも多いですね。またSNSやブログのPR案件も、コーポレートプロパガンダの一種といえるでしょう。
カウンタープロパガンダ
「カウンタープロパガンダ」は、現在行われている相手のプロパガンダに勝つために行う宣伝活動のことです。相手の宣伝を利用する、他社商品と自社商品の機能を比較して優れている部分を強調するなどの逆宣伝のことをいいます。
プロパガンダの類語・言い換え表現
ここからは、プロパガンダの類語を紹介します。
宣伝、宣伝活動
主義や商品の効能などへの賛同を得るために、情報を拡散することを意味します。
政治的宣伝
政治的な意図が含まれているプロパガンダは「政治的宣伝」と言い換えることもできます。
世論操作、世論誘導
人々の意識をある方向に誘導するという意味で「世論操作」や「世論誘導」もプロパガンダの類語といえるでしょう。
アジテーション
「アジテーション」は、英語の「agitation」が由来です。「大衆の潜在的不満をそそのかして行動を起こさせること」や「扇動」という意味の言葉です。プロパガンダよりも「あおり」の意味合いが強く、口語では「アジ」ともいわれます。
プロパガンダと洗脳の違い
「洗脳」とは、「ある人の主義・思想を、必ずしも本人の欲しない方向へ根本的に改造すること」という意味の言葉です。プロパガンダは「意図を持って特定の主義や思想に誘導する宣伝戦略」のことなので、似ている部分もあります。
しかし「洗脳」の方が、精神的・物理的圧迫や社会的圧力などを用いて強制的に、そして急速かつ大幅に、という意味合いが強い言葉です。
「洗脳」は「マインド・コントロール」とも呼ばれます。
プロパガンダに踊らされないように注意しましょう
プロパガンダは本来、キリスト教のカトリックの布教で使われていたとされる言葉ですが、次第に「特定の主義や思想に誘導する宣伝戦略」という意味で広く知られるようになりました。
戦中戦後は政治的な意図で用いられるケースも増えました。近年ではプロパガンダの方法が多様化・巧妙化しているため、発信元や真偽を確認した上で、情報の内容を判断するようにしましょう。