帝国データバンクは7月27日、利払いの負担を事業の利益で賄えない「ゾンビ企業」に関する調査結果を発表した。
ゾンビ企業率、2020年度は約11.3%
ゾンビ企業とは、実質的に倒産状態であるにも関わらず、営業を継続している企業のこと。対外的には、「支払うべきものを支払わない」債務不履行の状態が続いている企業や、バランスシート上で累積損失によって債務超過の状態にある企業などが該当する。また、マクロ経済学的視点では「生産性の低い企業」、政治的な視点では「雇用を確保できない企業」なども当てはまる。
今回の調査では、国際決済銀行(BIS)のゾンビ企業の定義である「3年以上に渡ってインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)1未満、かつ設立10年以上」を採用し分析した。
2020年度のゾンビ企業率は約11.3%、ゾンビ企業数は約16.5万社と推計。業種別にみると、「建設」が34.3%と最も多く、次いで「製造」が20.0%、「卸売」が18.9%、「サービス」が10.4%と続いた。
従業員別では、「6~20人」が36.9%、「5人以下」が31.0%、「21~50人」が19.5%、「51~100人」が6.9%となり、20人以下の企業が全体の約7割を占めた。
また、帝国データバンクが2022年2月に実施した「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」に回答した1万1,562社のうち、ゾンビ企業に当たる企業は417社。うちコロナ関連融資を「借りた・借りている」企業は8割近い79.6%に上った。
コロナ関連融資を「現在借りている」企業に今後の返済見通しを聞くと、「返済に不安」があると答えた割合は全体では9.0%だったが、ゾンビ企業に限ると15.5%に上った。同調査では「コロナ禍による金融支援によって、『ゾンビ企業』が延命している可能性がある」と分析している。