ロッテはこのほど、全国の3〜12歳の子どもを持つ親を対象に「子どもの口腔機能発達」に関する意識調査、「口育意識調査」を実施し、結果を公表した。

  • 「子どもの口腔機能発達」に関する意識調査=「口育意識調査」を実施

「口腔機能」とはしっかりと食べ物を噛んで飲み込める、舌を上手に動かすことができるなど、口周りに関する基本的な機能のことを指す。

2018年には、15歳未満の子どもにおいてこれらの機能が正常でない状態を指す「口腔機能発達不全症」という病名が新たに制定され、治療に公的医療保険が認められるようになったが、むし歯予防等に比べて「口腔機能の重要性」はまだ広く認知されていない。

今回の「口育意識調査」は、その実態を明らかにするため行なったもの。口育とは口腔機能の正常発達を促進することにより、「口腔機能発達不全症」を防止することで正常で健康な心身の発達を目指すことを指す。

食べる・話すなど、生命活動に必要不可欠なこれらの“口腔機能のつかい方"は成長の過程で自然に身につくものと思われているが、歯磨きや箸を使うことと同様に“正しいつかい方"を丁寧に教える"口育"が必要となる。

同調査は2022年5月20日〜5月23日、3〜12歳の子どもを持つ全国の男女を対象にWEBアンケート調査にて実施。有効回答数は400名だった。

  • 約5人に1人の子どもに、 「口腔機能発達不全症」 のサインである「お口ポカン」「いびき」などの症状が

気がつくと口が開いてしまう「お口ポカン」な状態や、鼻が詰まっていないのにも関わらず「いびきをかく」などの症状は「口腔機能発達不全症」のサインである可能性がある。

口腔機能が十分に発達していないことのあらわれである各症状の割合を調査すると、約5人に1人の子どもに「お口ポカン」(18.0%)、「いびき」(18.8%)の症状が見られることがわかった。

また6〜7人に1人の子どもが 「やわらかいものばかり好んで食べている」(16.0%)、「食べ物をなかなか飲み込まない」(15.5%)、10人に1人の子どもが「滑舌が気になる」(11.5%)、「片側の歯・顎ばかりで噛んでいる」(11.0%)といった症状が見られることが判明した。

子どもの年齢を2歳ずつ区切って分析した結果では、3、4歳の子どもの22.5%に「お口ポカン」、3、4歳・9、10歳の子どもの25%にいびきの症状があることがわかった。それぞれの症状を総合して見ても、低年齢の子どもほど症状を持つ割合が高くなる傾向が見て取れる。

この調査に対してみらいクリニック今井一彰院長は、「子どもにそれぞれの症状があることを自覚していない親も多い。いびきやお口ポカンは感染症や歯並びの悪化、アレルギー性疾患の重要なサイン。わが子を注意深く観察してほしい」とコメントしている。

  • 6割以上が「むし歯予防」を日常的に意識する一方で、「口腔機能」への意識は3割未満

64.3%の親が「子どもの成長において『むし歯予防』を普段から意識している」と回答したのに対し、「『口腔機能の発達』を普段から意識している」と回答した親は29.5%で、3割以下となった。

また、自身の子どもの幼稚園・保育園・学校での、むし歯と口腔機能発達の関する取り組みに関する質問でも、「『むし歯予防』のための取り組みが行われていた」と回答した親が58.3%であったの対し、「『口腔機能の発達』のための取り組みが行われていた」と回答した親は27.5%、「分からない」と回答した親が約半数に及び、関心具合の違いがうかがえる結果になった。

  • 大多数が「口腔機能発達不全症」を知らないが、「症状を対処したい」と思う親は7割に

2018年に制定された「口腔機能発達不全症」という病名について、67.3%の親が「病名を知らなかった」と回答した。

その一方で「口腔機能発達不全症」がむし歯や歯周病、やせ、肥満を引き起こす可能性があることを伝えると、74.0%の親が「症状を改善したい・対策が必要だと思う」と回答。病気の認知度は低いものの、具体的な症状やリスクに対する危機感は高く、改善・対策の必要性を感じる親が多いことがわかった。

  • マスク習慣で子どもの口腔機能への意識が向上

「ここ1、2カ月で、子どもがマスクを外す時間が増えた」と回答した親のうち、51.4%の人が「マスクを外す時間が増えたことによって、子どもの『歯・口』の健康状態に対する意識に変化はあった」と回答しました。マスクを外す時間が今後増えることが予想されるなか、口腔に対する意識もあがると考えられる。

今回の調査結果について、みらいクリニック 今井一彰院長は以下のようにコメントしている。

日常的なマスク習慣により、テレビを見たりして集中しているときのお口ポカンや口臭といった将来の病気のリスクが文字通り「マスク」(覆い隠される)されてしまっています。口元への意識が薄れてしまうと、いびきや歯並びの悪化などの増加も懸念されますし、慢性的な口呼吸を引き起こしかねません。

口呼吸は、むし歯や歯肉炎、歯並びの悪化といった口の問題だけでは無く、鼻炎、アデノイド(咽頭扁桃)肥大、中耳炎・副鼻腔炎など鼻疾患も引き起こします。普段から発音、しゃべり方などに注意し、マスクに隠された口の状態はどうなっているのだろうかと気にしてみてください。

口腔機能の健全な発達は、全身の健全な発達を促しますから、噛み応えのある食事を積極的に摂ることや口周りの筋肉を鍛える運動も推奨されます。また心配な場合は小児歯科医など専門家の診断を仰ぐようにしてください。健康な口作りは将来の病気を予防したり、健康的な生活を送るための第一歩です。

  • 口腔機能不全チェック--複数当てはまったら要注意かも ※日本歯科医学会(日本歯科医学会のチェックシートを参考に作成