みなさんにはなにか「目標」がありますか? 目標というからには、「実現したい!」と思うのが当然のこと。では、どうすればその実現可能性を高められるでしょうか。

  • 「なにも目標がない…」。そんな人の、やるべきことが明確になる「イメトレ文章完成法」/心理カウンセラー・中島輝

『人生が変わる! 自己肯定感を高める心のセルフケア大全』(宝島社)という著書を上梓したばかりの心理カウンセラー・中島輝さんが、「イメトレ文章完成法」というメソッドを紹介してくれました。「目標が見えない…」と悩む人に向けてのアドバイスと併せて、その具体的な活用法を解説してくれます。

■目標を持てないと、幸せな人生を歩みにくくなる

——世の中には「なにも目標がない」「目標が見えない…」と悩む人もいます。目標を持てないままだと、どんな人生を歩むことになるとお考えですか?
中島 端的にいって、「幸せな人生を歩めない」ということになるでしょう。幸福感を味わうには、なにかが「できた!」という達成感や充実感を得ることが欠かせません。そして、達成感や充実感を得られるのは、なんらかの目標を叶えたときです。

もちろん、目標を持たなければ失敗することもなくなり悔しい思いをすることもないかもしれません。波風立たぬ人生を歩めるでしょう。でも、目標がなければそれを叶えることも達成感や充実感を得ることもなくなるのですから、あまり幸せな人生とはいいにくいと思います。

——いま現在、なにも目標を持てていない人はどうすればいいでしょうか。
中島 まずは、自分が「好きなこと」を紙に書き出してみましょう。目標は、自分が好きなことや興味があることのなかから生まれることが多いものです。ところが、自分が好きなことは「好きであたりまえ」と思っていますから、意外と自覚していないということもよくあるケースです。

そこで、好きなことをあらためて書き出すのです。ぼんやりと好きだと思っていたことをいくつも書き出してみると、それらを俯瞰して見ることができます。そうするなかで、これまで認識していなかったつながりが好きなことのあいだに見えてきて、目標が見つかることもあります。

「好きなことなんてよくわからない」という人なら、逆に「嫌いなこと」を書き出してみましょう。当然のことですが、「好きなこと」は「嫌いなこと」の真逆のことであることも多いものです。嫌いなことを認識することで、好きなことが見えてきて目標が見つかるということもあります。

■「アファメーション」を利用した目標実現メソッド

——そうして目標が見つかったら、どうすればその目標の実現に近づけるでしょうか。
中島 いくつもメソッドがありますが、ここでは「イメトレ文章完成法」というものを紹介します。これは、9つの定型文を埋める言葉を書くだけで、「アファメーション」の効果を高め、目標実現に向かう行動を促すメソッドです。

——アファメーションとはなんでしょう?
中島 「ポジティブな言葉で自分自身に宣言をして、なりたい自分を引き寄せる」というマインドセットのことです。海外の映画などには、登場人物が鏡に映る自分に向かって「しっかりしろ!」「おまえならできる!」といった声をかけているシーンがよくありますよね? あれなどはまさにアファメーションそのものです。

——では、イメトレ文章完成法の具体的なやり方を教えてください。
中島 まずは、下の定型文の空欄をすべて埋めましょう。この作業によって、自分には目標に向けたビジョンがあること、協力してくれる人がいて恵まれた環境があること、目標実現のためにやるべきことがはっきりと見えてきます。

【イメトレ文章完成法】

■目につく場所に貼り、1日1回は読み上げる

——文章を完成させたあとはどのように活用すればいいですか?
中島 目標を実現できるまで、毎日内容を確認してほしいと思います。イメトレ文章完成法には目標の実現可能性を高める効果がありますが、その効果は内容を確認する頻度に大きく左右されるからです。

同じように「将来は出世して社長になるぞ!」という目標を立てたAさんとBさんがいるとします。Aさんは毎日のように「将来は出世して社長になるぞ!」と自分に宣言しますが、Bさんは一度書き出してそれっきりでした。ふたりのどちらが出世する可能性が高いかは明白ですね? Aさんは、出世するという目標をつねに確認していますから、その実現に向けた努力を少しずつでも積み重ねることができます。そうして、目標の実現可能性が高まるのです。

そこで、自宅の机の前や玄関、あるいはふだんから持ち歩いている手帳など目につきやすい場所に完成した文章をコピーして貼っておきましょう。机に向かったり家に出入りしたり手帳を開いたりするたび、無意識のうちにも目標を確認することとなり、アファメーションの効果を高めることができます。

それから、1日に1回でもいいので、書き出した内容を声に出して読むこともおすすめしておきます。気に入って買ったポスターも、壁に貼った直後にはうれしくて何度となく目を向けるものですが、時間がたつうちにあたりまえの風景となって見過ごすことになってしまいます。

せっかく貼り出した目標やその実現のための手段を見過ごすことがないよう、1日に1回は声に出して読み上げるように習慣づけましょう。そうすれば、あなたは目標実現に向かってどんどん近づくことができるはずです。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ