国立劇場は、鉄道開業150年記念として、鉄道と旅をテーマに日本の伝統音楽と明治時代の音楽を振り返りながら、鉄道唱歌誕生の歴史をひも解く特別企画『鉄道唱歌 ~明治の音楽と鉄道~』を7月9日に上演すると発表した。

  • 『鉄道唱歌 ~明治の音楽と鉄道~』ポスター

鉄道唱歌は新橋~横浜間で鉄道が開業してから約30年後、1900(明治33)年に発売された楽曲。親しみやすいメロディーと地名を織り込んだ旅情を誘う歌詞が評判となり、次々と続編が発表された。大正初期までの20年余りで、累計2,000万部を売り上げたという。

公演ではまず、簡単に旅に出ることができなかった江戸時代の人々が、いかに芝居や音楽を通して旅を楽しんでいたかを明治時代の寄席形式で表現。古今亭駒治が鉄道の魅力を描き出す意欲作『鶯の鳴く街』を口演するほか、東海道の宿場を巧みに読み込んだ『仮名手本忠臣蔵「道行旅路の嫁入」』を女流義太夫で、さらに俗曲『お江戸日本橋』などの音曲で旅先の趣を描く。

続いて舞台は鉄道開業後の東京の街角に移る。当時発表された、鉄道を題材にしたさまざまな楽曲の中から、汽車旅の情景を歌う『レールエー節』と、東海道本線沿線の地名や史跡を読み込んだ壮士演歌『汽車の旅』を復活上演する。この2曲はレコードが普及する前の作品のため、初演時の音源がなく、「一世紀以上の時を超えて、幻の鉄道音楽を聴く貴重なチャンス」だという。

公演のラストは『鉄道唱歌』。第一集「東海道編」の発売当時、東海道本線の列車内に楽隊と合唱隊を乗せて曲を宣伝したことにちなみ、その模様を復元したステージで曲を披露する。第一集から第五集「関西・参宮・南海編」までの中から、とくに風光明媚な詩情あふれる箇所を厳選して上演するとのこと。

鉄道旅行が好きなことで知られる六角精児さんと、新作鉄道落語で人気の古今亭駒治さんがナビゲート役を務める。全席指定で、料金は大人5,000円・学生3,500円。6月18日10時から、電話とインターネットで予約を開始する。残席がある場合は、6月19日から窓口でも販売する。