「教育 総合展(EDIX)東京」が東京ビッグサイト5月11日〜13日の3日間にわたって開催された。今回は13回目の実施となった教育ITソリューション EXPOの出展企業を取材。前編に続いて各社が展開する最新プログラミング教材について紹介する。

小学校低学年から高校まで活用できる「アーテックロボ」

  • 老舗メーカー「アーテック」の「アーテックロボ」シリーズ

多彩な学校教材を取り扱う老舗メーカー「アーテック」。同社の「アーテックロボ」シリーズは、マイコンボード内蔵のプログラミング教材として高い認知度を誇り、すでに広く学校現場で取り入れられている。豊富なブロックやセンサーといったパーツとプログラミングソフトを活用し、ロボットがつくることができるシリーズだ。

「Studuino Lite」は小学校プログラミング教育に対応したスタートキット。アーテック社の基板「Studuino」を使い、「アーテックロボ2.0」というバージョンではBluetooth、Wi-Fiを搭載する。

  • 小学校プログラミング教育のスタートキット「Studuino Lite」

プログラミングの初歩から本格的なSTEAM教育まで対応できる拡張部品の豊富さが特徴で、小学校低学年から高校まで連続的に活用できる。また、授業での導入実践事例やレンタルサポートなどもパッケージにして提供している点も、学校関係者から支持されている理由のようだ。教員用テキストは同社独自のコンテンツ開発チームが、教員の意見を汲み取りながら作成したもので、公式サイトなどで広く無料公開もしているという。

アーテック社は、近年の教育現場のニーズを受けてICT機器商品のラインナップを充実させており、子どもたちが自分たちで考える授業を行う"探求学習"にも注力している。ブースでは電力、電圧、水温、酸素などを計測する「アーテックロガー」というデータロガーを展示。理科の授業などの理解を深めるためのさまざまなセンサーの活用例なども紹介していた。

  • 電力、電圧、水温、酸素などを計測する「アーテックロガー」

プログラミングできるデジタルスケッチブック「Springin’ Classroom」

昨年11月にリリースされたしくみデザイン社の「Springin’ Classroom」はICT端末を「プログラミングができるスケッチブック」に変える教育向けアプリ。ペイントツールなどを使い、スケッチブック感覚で描いたイラストや写真に音をつけて、自由に動かすことができる。

  • しくみデザイン社の「Springin’ Classroom」

創造力や表現力を養う図画工作をはじめ、オリジナル楽器作りなどさまざまな科目で活用しやすく、プログラミング学習教材として広く利用できるようだ。

アニメーションで動きや音をつけられるため、模造紙の代わりのプレゼン発表ツールとして使うことで、よりインタラクティブな学びが期待できる。より子どものクリエイティビティを発揮しやすいと、現在すでに約100校で導入されているそうだ。

今回初出展となったしくみデザイン社はメディアアート事業を手がける福岡の会社で、デジタルアート分野では体の動きを音楽に変える「KAGURA」で特許を取得している。

  • 模造紙の代わりのプレゼン発表ツールとして活用できる

地図を活用したプログラミング教材「まなっぷ School Edition」

ゼンリンが提供する「まなっぷ School Edition」は、デジタル地図を活用したブラウザ型のプログラミング学習ツール。スクラッチのようにブロックをパズル感覚で組み合わせるだけで、写真や動画を表示させたり、キャラクターを動かしたり、地図上で自由な表現をすることができる。

  • ゼンリンが提供する「まなっぷ School Edition」

社会科をはじめ地図を使う多くの授業で活用でき、既存単元での活用のしやすさが魅力のようで、地図や地域への関心も高まりそうだ。地域の防災学習の例ではフィールドワークをして身近な危険な場所などを情報収集し、写真などを使いながらプログラミングをしてマッピング。発表や意見交換をするといった活用事例があるという。

  • 社会科をはじめ地図を使う多くの授業で活用できる

「まなっぷ」のリリースは昨年3月で、今年3月17日にチュートリアル機能などをつけた「School Edition」としての提供を開始。よりスムーズにプログラミングの授業を行えるようになった。

米国3万1000校で導入されるタブレット知育玩具ブランド「Osmo」

「Osmo」は2014年にアメリカで販売を開始し、現在、世界42カ国で販売されているタブレットを使う知育玩具ブランド。日本では2020年から販売を開始しており、とくにアメリカでの認知度は非常に高く、タブレット知育玩具としては最も売れている製品シリーズだという。

タブレットのカメラにリフレクターを取り付け、積み木などの付属パーツを使いながら実際に手を動かしてつくったものが、タブレット画面に反映されるユニークな体験がウケているようだ。

  • タブレット知育玩具ブランド「Osmo」

直感的に子どもが遊べることをモットーにつくられている同ブランドのなかでも、No. 1の売り上げを誇るのが「ジーニアス スターターキット」という、STEAM教育に関わる素養を包括的に育めるセット製品。5つのゲームアプリがあり、対象年齢は6〜10歳と習熟度に合わせてレベルを選べる。画面に出たパズル図形に合うように、実際のピースを組み立てる「タングラム」(パズル)という空間認識能力を鍛えるゲームが特に人気らしく、最難易度の"色なし"問題は大人でも少し苦戦しそうだ。

また、スクラッチを使う「コーディング スターターキット」は、6歳から初級・中級・上級とレベルに応じてプログラミング学習ができる製品となる。

  • スクラッチを使う「コーディング スターターキット」

アメリカ本国では3万1000校以上の学校で活用されており、教育関係者のファンが多いことも同シリーズの特徴で、日本の教育現場でも認知度を向上させたいという。日本では今年4月中旬からトイザらス全国約30店舗での販売も開始している。