国内最大級の奨学金サイト「ガクシー」を運営し、「諦めなくていい」社会の実現を目指すSCHOL(スカラ)はこのほど、「奨学金に対する実態調査2022」を実施し、結果を公表した。

同調査は2021年12月27日〜2022年1月12日、全国の大学生およびその保護者1,941名を対象にインターネット調査にて実施。調査会社はLupeだった。

  • 「奨学金に対する実態調査2022」を実施

調査内容から見えてきた奨学金における実態について前回発表を行い、第二弾となる今回は、奨学金受給の必要不可欠度と利用目的についての調査結果と、そこから見えてくる最近の若者(Z世代)の奨学金を活用して学生時代をより有意義にしようとするポジティブな姿勢について明らかにしていく。

  • 63.4%が奨学金を検討または興味があり、そのうち実際に受給に至ったのは63.1%に

全体のうち、奨学金を受給した(したことがある)層は777人で全体の40.0%、奨学金を検討または興味を持ったが受給に至らなかった層が454人で23.4%、奨学金にまったく興味がないまたはそもそも知らなかった層が、710人で36.6%という結果だった。半数以上の63.4%が奨学金を検討または興味があり、そのうち実際に受給に至ったのは63.1%と6割を超えている。

  • 奨学金を受け取ったのは低学力層48.5%、中学力層45.7%、高学力層31.6%に

​さらに、学力別で受給状況をみてみると、学力層ごとの傾向が見受けられた。奨学金を受け取ったのは、低学力層が48.5%、中学力層は45.7%と各層の中で最も多い回答となり、約半分を占めている。

一方、高学力層で奨学金を受け取っている人も31.6%にまで達している。奨学金を受け取ったのが最も多い層は高校偏差値が40未満の層で、過半数越えの52.5%だった。

なお、同調査では低・中・高の学力層を、(1)低学力層:高校偏差値40未満から50未満、(2)中学力層:高校偏差値50以上60未満、(3)高学力層:高校偏差値60以上に分類している。

  • 約5人にひとりは奨学金受給の必要性の低い学生および保護者であることが判明

次に、奨学金受給者における、奨学金の必要度について調査を行った。奨学金の必要度は、「必要不可欠」が最も多く43.9%、続いて「できれば必要」が38.1%。一方で、「あまり必要でない」(14.4%)、「まったく必要でない」(3.4%)という層は合わせて17.8%おり、約5人にひとりは奨学金受給の必要性の低い学生および保護者であることがわかった。

  • 進学のために必要不可欠と回答するのは、低学力層が最も多く過半数の54.6%に

奨学金受給の必要性について学力ごとに調べたところ、進学のために必要不可欠と回答するのは、低学力層が最も多く過半数の54.6%だった。中学力層においても「進学のためには必要不可欠」の回答が最も多く44.1%。高学力層は、「できれば必要」が最も多く43.9%という結果となった。

  • 学生生活を有意義に過ごすために積極的に奨学金を活用している

続いて、奨学金の必要度の調査結果を踏まえ、受給者が奨学金利用に至った目的を明らかにしている。特に、必要性が高くない学生および保護者に着目した。

必要度が最も高い「必要不可欠」と回答した層は、「進学するためには必要不可欠」との利用目的が80.6%、「できれば必要」と回答した層は、「必要不可欠というほどではないが、あったら家計が助かる」との利用目的が56.6%で、各々の必要不可欠度のなかで最も高い利用目的だった。

「あまり必要でない」「まったく必要でない」と回答した層の利用目的において、「部活に集中したいため」10.9%、「研究や学業に集中したいため」8.8%、「アルバイトする時間がもったいないため」8.8%、「海外進学のため」5.5%、「趣味の活動に専念したいため」2.6%、「海外留学のため」1.7%といった学費のためという理由以外の項目も多くを占めている。

奨学金の必要性が高くない学生および保護者においても、金銭的理由以外で奨学金を利用する人たちが多くおり、学生生活を有意義に過ごすために積極的に奨学金を活用していることがわかる。

  • 学生生活を有意義に過ごすために奨学金を積極的に活用する傾向は、高学力層で強まる

また、奨学金の利用目的を学力別で調べた。低学力層は、多い順に「進学するには必要不可欠なため」が最多で半数の50%、続いて「学費が高い進学先のため」35.2%、「必要不可欠というほどではないがあったら家計が助かるため」32.4%と続く。

特徴的なのは、低学力層においては「アルバイトだけでは足りないため」が28.2%と4番目に多く、他学力層と比較しても多い割合を占めている。

高学力層においては、「研究や学業に集中したいため」15.3%、「アルバイトする時間がもったいないため」11.5%、「海外留学のため」8.5%、「趣味の活動に専念したいため」3.1%、「部活に集中したいため」2.5%、「海外進学のため」1.9%、といった学費以外の理由も多くを占め、高学力層において、金銭的な理由以外が42.7%と半数近い回答を占める結果となった。

なお、高学力層の中でもさらに偏差値70以上の層に絞ると、より顕著な結果となった。「研究や学業に集中したいため」22.4%、「アルバイトする時間がもったいないため」19.7%、「海外留学のため」9.2%、「部活に集中したいため」5.3%、「海外進学のため」2.6%、「趣味の活動に集中したいため」5.3%であり、海外進学・留学や学業に専念するための用途が64.5%を占めている。

このように、金銭的な必要性に乏しい学生においても、学生生活および将来に向けて必要な時間やお金を確保し、より学生生活を有意義に過ごすために奨学金を積極的に活用する層も相当数いることがわかった。またその傾向は、高学力層であるほど強まることも判明した。

今回の調査にて、最近の学生の奨学金に対する以下のようなポジティブな姿勢が明らかとなった。

  1. 奨学金受給者の必要度とその利用目的において、必要不可欠と回答する学生の多くは、従来のイメージ通り、「進学のため」という金銭的な理由を挙げている。

  2. 一方で、金銭的な必要性に乏しい学生においても、学生生活および将来に向けて必要な時間やお金を確保し、より学生生活を有意義に過ごすために、奨学金を積極的に活用する層も相当数いることがわかった。またその傾向は、高学力層であるほど強まることも判明している。