FOOD & LIFE COMPANIESは9日、都内で事業戦略発表会を開催した。グループで進めているSDGsの取り組み、子どもの食育、海外展開について詳細が語られたほか、料金改定についても説明。また、年に1度の「スシロー大創業祭」の詳細も明らかになった。

  • FOOD & LIFE COMPANIESの事業戦略発表会で語られたこととは?

SDGsの取り組みを加速

冒頭、登壇したFOOD & LIFE COMPANIESの水留浩一社長は、グループ全体で進めている取り組みについて紹介した。フードロス削減の取り組みでは、資源を最大限に活用すべく、スシローでネタとして提供している魚介類の頭やアラを使用した「鯛だし塩ラーメン」や、骨を揚げた「アジの骨せんべい」などを販売。好評を得ているという。

  • FOOD & LIFE COMPANIES代表取締役社長 CEOの水留浩一氏

プラスチックの使用量も削減。AIを活用したフードロス削減にも取り組んでいる。また水産資源の安定的な生産・活用を目指して2022年4月15日付けで新会社マリンバースを熊本県熊本市東区に設立。魚の養殖、販売、種苗生産、飼料の仕入・製造・販売などを行なっていくと説明した。

  • 養殖会社の拓洋と共同でマリンバースを設立した

このほか未来に向けた取り組みとして、子どもの食育に注力していく。「作り、育てるところから、食材を使い切る、美味しく食べ切るところまで。一連の流れのなかで、子どもに色いろな体験をしてもらう。そんな機会を作っていければ」と水留社長。子ども食堂などNPO法人とも連携して取り組んでいくという。

  • 食育の推進の一環として(小学生以下限定で)黄皿3皿相当額を無料にするキャンペーンも6月15日~6月26日まで実施する

海外展開も加速する。現在、スシローの海外店舗は、韓国9店舗、台湾28店舗、香港15店舗、シンガポール10店舗、タイ8店舗、広州4店舗に拡大中。4月には中国法人を深セン・成都に設立した。また2021年10月に開催されたドバイ国際博覧会に出店した経験を活かし、今後、ハラル圏への出店も視野に入れる。また大衆寿司居酒屋の形態で展開している鮨・酒・肴の「杉玉」の香港出店も決定した、と報告した。

  • 海外展開を加速する

料金改定についても説明した。一部のメニューを10月1日から10~30円値上げする。水留社長は「事業環境が大きく急激に変化するなかで、我々の業態も変化しないといけないタイミングが来ました。家族で気軽に楽しめる旨い寿司の文化を、良い形で次の世代に残したい。生活者の皆さんの負担になってしまうのは大変、心苦しいことですが、ひと皿が(税込みで)120円になります」と説明した。

いかに新しい風を吹き込むか

このあと、各事業の責任者から説明があった。

京樽の堀江陽社長は「京樽は創業90年。茶きん鮨を始めとした上方鮨を中心に展開しています。昨年10月には、京都 美山荘の中東久人さん監修のメニューを取り入れるなど、いま改革を進めているところ。スシローと京樽のダブル看板がついた店舗もスタートしています。伝統のなかに、いかにして新しい風を吹き込むか。チャレンジを続けています」と説明。グループで展開する「海鮮三崎港」も昨年11月から「回転寿司みさき」にリブランディングを進めている。

  • (左から)京樽 代表取締役社長の堀江陽氏、FOOD & LIFE INNOVATIONS 代表取締役社長の木下嘉人氏、あきんどスシロー 代表取締役社長の新居耕平氏

  • 京樽ではレンジで解凍すれば食べたいときに食べられる、冷凍の茶きん鮨も開発中。試作商品は玉子が柔らかくてシャリもほどよく甘く、非常に美味だった

FOOD & LIFE INNOVATIONSの木下嘉人社長は、杉玉の進捗について説明。コロナ禍の厳しい状況ではあるが、”コロナ明け”を見据えて出店を続けてきたという。「現在、国内で56店舗を展開しており、まだ出店していない地域にも店を出していく計画です」(木下社長)。今夏には香港に1号店を出店する。日本で培われた美味しい酒、料理を出すなどして、国内の杉玉と同じ体験価値を提供していく、と意欲を見せた。

  • 出店を続けている杉玉。国内に56店舗を出店した

新たに4月1日付けであきんどスシロー 代表取締役社長に就任した新居耕平氏は、自身の経歴を説明。「16歳のときに、スシローの前身のすし太郎でバイトをしていました。従業員になり、店長、営業課長、品質管理室長、営業本部長、商品部の役員を経てきました。古参の従業員です。これからも従業員を大事にしながら、お客さんに還元できるような会社にしていきたいと思います」と話していた。

スシロー大創業祭が開催

ここでステージ上には、年に1度の「スシロー大創業祭」において丹精込めた魚を提供する水産業者および料理人が登壇した。テーマ『輝け、日本のうまい魚』を掲げる第1弾の開催時期は5月12日から29日まで。鹿児島の小浜水産の日本最高峰とも言われるアカバナかんぱち、青森のオカムラ食品工業の自然の恵みを受けて育った絶品生サーモン、熊本の拓洋、愛媛の宇佐水産の鮮度と旨味が抜群な真鯛など、旬のネタを数多く取り揃えて提供する。第2弾として『輝け、日本のすごい技』、第3弾として『輝け、子ども達の笑顔』を予定している。

  • (左から)宇佐水産の宇佐和人氏、拓洋の山本宇宙氏、小浜水産グループの小浜洋志氏、オカムラ食品工業の岡村大祐氏、鮨し人の木村泉美氏

  • 第1弾『輝け、日本のうまい魚』の開催時期は5月12日から29日まで

最後のセクションに登壇した水留社長は、2022年8月19日に全国上映がスタートする映画「サバカン SABAKAN」をスシローがバックアップすると明言。ゲストとして、映画に出演する草彅剛さん、番家一路さん、原田琥之佑さんがステージ上に招かれ、スシローの新商品を頬張る一幕もあった。

  • アカバナかんぱち、店内蒸しふわとろうなぎ(握り寿司)などを美味しそうに頬張っていた草彅さん

  • フォトセッションにて