いつやってくるか分からない自然災害。心身ともに大きなストレスのかかる災害時、食べるものや飲むものはとても大切です。しかし、どれくらいの量を備えればいいのか、どんなものがあればいいのか、いまいちよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、子どものいる家庭における非常食、飲料水の備えについて、防災士の平山優子さんにお話を伺いました。
非常用として必要な食料と水の量は
――まず、子ども(幼児~小学生)がいる家庭では、どれくらいの量の非常食と飲料を常備しておいた方がいいのでしょうか?
基本的に、子どもであっても備える量は大人と同じです。食料は、家族全員分を3日分、できれば1週間分用意しましょう。飲み水は1人一日3リットルが目安です。
災害直後の行政備蓄は、市民みんなに行き渡る量はありません。また、支援物資に家族が必要とする物が必ず入っているとは限りませんし、物資の受け取りに子連れで長時間並ぶというのは過酷です。
災害発生後、支援物資が届き始めるまでに約3日、店舗が営業を再開するまでに約1週間かかります。そのため、冷蔵庫・冷凍庫に3日分の食材と、4日目以降のために缶詰やレトルト食品などを備蓄しておきましょう。
飲料水は1人1ケース(2リットル×6本=12リットル)が目安です。そのほかに、給水車の水をもらいに行く袋(給水袋)と、それを運ぶ手段も考えておくとよいでしょう。
――非常食を選ぶ際、どのような種類のものをそろえるとよいのでしょうか?
主食、副菜、主菜、果物、乳製品、菓子・嗜好品など、バランスよくそろえることが大切です。食べ慣れたものを選びましょう。
災害時には調理法も重要
――非常食の調理方法について、おすすめのもの、また、注意するべきものはありますか?
災害直後は、電気・ガス・水道が停止します。配管が損傷している可能性があるため、排水も禁止となります。食料備蓄はこれらを基本に考える必要があります。
そういった場合に備えて、カセットコンロとボンベも用意しておくといいでしょう。また、食材を焼く際や切る際にクッキングシートを敷く、ボールに袋をかけたり袋の中で混ぜたりするなどの工夫で洗い物を減らし、節水することができます。
ポリ袋に食材を入れて空気を抜き、鍋で湯せんする「パッククッキング(真空調理)」ですと、鍋の水は繰り返し使えて節水になりますし、複数の料理が同時にできるのでおすすめです。
災害時の調理の注意点としては、腐るものから消費すること、しっかりと火を通すことを心がけましょう。
――非常食のそろえ方のポイントがあれば教えてください。
災害時こそ、いつもの食べ慣れた味、いつものあたたかい食事ができる備えがとても大切です! 普段食べ慣れた食事こそ、明日への活力・免疫力の向上につながるのです。
ふだん食べているものを多めに買い置きする(日常備蓄)、食べたら買い足す(ローリングストック)、炭水化物だけではなくバランス良く備蓄するようにしましょう。
いざという時のために
――災害時に非常食を活用するために、普段からやっておくといいこと、気を付けておきたいことはありますか?
みんなで、やってみる・食べてみる。災害時をイメージしておくことです。
・ライフラインが途絶えても、調理ができる備えをしておく。
・調理法をやって、食べてみる(やったことがないことは、災害時もできない)。
・懐中電灯だけでの夕食タイムの体験
・備蓄品を食べてみる。
とくに子どもは、食べたことがないもの、美味しくない物は災害時であっても食べません。だから、子どもが食べるものを中心に備えておきましょう。
カレーばかりでは子どもも飽きてしまいます。主食であれば、米・パスタ・ホットケーキなど、毎日美味しく食べられる備蓄を心がけてください。
いかがでしたか? ただ量をそろえるだけでなく、食べてみる、(調理を)やってみるということもとても大切なんですね。とくに子どもがいる家庭では、美味しいもの、普段食べているものを多めに備えるようにしましょう。
監修者プロフィール: 平山優子(ひらやま ゆうこ)
NPO法人 日本防災士会 理事。NPO法人首都圏防災士連絡会理事のほか、公益社団法人 SL災害ボランティアネットワーク 船橋SLネットワーク 理事などを務める。