2022年4月から成年年齢が引下げられることにより、クレジットカードの申し込みなど、18歳から金融に関する様々な契約を自ら行えるようになります。お金や経済のリテラシーがさらに求められるなか、2022年4月からの高校学習指導要領改訂では金融経済教育の内容が拡充されます。

そういった状況を受け、金融庁は高校向けの金融経済教育指導教材を3月17日に公表しました。その内容が大人にも役に立つとSNSで話題になっています。

「高校生のための金融リテラシー講座」と題した指導教材は、金融庁の報道発表資料「高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」のページからダウンロードできます。

「全体パッケージ版」は全ての内容を俯瞰するガッツリした114ページの教材、「全体ダイジェスト版」は、「全体パッケージ版」からオススメのスライドをまとめた54ページの教材です。

「自分の将来の暮らし方について考える(ライフプランニング)」「そのために必要なお金と、準備の方法(家計管理・資産形成など)を学ぶ」「金融トラブルにあわないよう、手口や対処法を知る」という3つの目的を持つこの教材は、全7章で構成されています。

  • 金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」1章「家計管理とライフプランニング」より

金融リテラシーの定義や必要性を解説する「はじめに」の次は、働いて稼ぐことと将来設計について説明する「家計管理とライフプランニング」。クイズも交えつつ勉強していきます。社会に出る前、月給20万円なら毎月20万円まで使えると思っていたころもありました。

  • 金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」1章「家計管理とライフプランニング」より

大学生や社会人になって一人暮らしを始めるとどんな支出があるかの紹介や、人生でかかる「教育」「住宅」「老後」の3大費用に備えるために貯蓄しましょう、という話も。

  • 金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」2章「使う」より

2章「使う」でキャッシュレス決済のメリット・デメリットの解説をするのは、今どきらしい内容です。3章「備える」では、保険の仕組みや社会保険と民間保険制度の解説も。

  • 金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」4章「貯める・増やす」より

4章「貯める・増やす」では資産形成の話題に。「預貯金」「債券」「株式」「投資信託」の話にとどまらず、「全体パッケージ版」ではさらに踏み込んでリターンと非課税制度のつみたてNISAとiDeCoの話にも触れています。筆者は社会に出てから必要に迫られて自力で調べましたが、高校時代に教えてほしかった……!

他にも5章ではクレジットカードや奨学金などでお金を「借りる」こと、そして6章では「金融トラブル」をテーマにトラブルを避ける鉄則や、トラブルに遭った場合の法律や相談窓口も紹介しています。

  • 金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」6章「金融トラブル」より

高校生向けの教材ではありますが、これから社会人になる方や、社会人歴は長くてもお金の話はやや苦手かも……という方はぜひ一読してみてはいかがでしょうか。

なお、金融庁ではこの資料のオンデマンド授業動画も公表しています。