住友林業緑化とJR貨物、川崎近海汽船の3社は、樹木輸送のモーダルシフトにより脱炭素化をめざす「緑配便(りょくはいびん)」をこの夏にも始めると発表した。

  • 鉄道による「緑配便」トライアル輸送の様子

「緑配便」は、樹木輸送のおもな部分をトラックから鉄道や船舶による輸送に切り替えた樹木配送サービス。すでに昨年末から「ミライグリーンカーゴ」と名づけたオリジナル開発のコンテナを利用し、貨物列車による樹木輸送に試験的に取り組んでおり、夏をめどに本格運用を始める予定としている。「ミライグリーンカーゴ」は7m程度の樹木を運ぶことができ、庫内温度の上昇や輻射熱を防ぐメッシュ状の屋根材を採用しているという。

首都圏で多く利用される常緑高木は南九州産が多く、現在はトラックが樹木の物流を支えている。今後、ドライバーの高齢化や人材不足、時間外労働への制限など、トラックでの物流オペレーションが困難になると予想される上、CO2排出量削減が社会的な課題になっていることから、3社が手を組み、「緑配便」サービスを運用することに。昨年末から今年2月にかけて、貨物列車で実施したトライアル輸送では、トラック輸送と比べてCO2排出量を約1トン削減した計算になるという。

  • 「ミライグリーンカーゴ」への樹木積込みの様子

サービス開始後、住友林業緑化が低炭素物流で運ぶ樹木や環境資材の販売から都市の緑化工事までを担い、JR貨物は「ミライグリーンカーゴ」による「緑配便」の幹線輸送を担う。川崎近海汽船は、貨物を積んだトラックやシャーシ(荷台)ごと輸送する「RORO船」での海上輸送で緑配便の幹線輸送を担うとしている。