ひな祭りには雛人形や雛道具などを飾りますが、いつから飾り、どのように並べるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
人形や道具の数が多いので、正しい並べ方や飾る時期を確認しておきたいところです。そこで本記事では、ひな祭りの飾り方と並べ方、さらに片付け方について、詳しく解説していきます。
ひな祭りの飾り方とは?
ひな祭りにおける、雛人形の標準的な飾り方や、三段・五段・七段飾りの並べ方を詳しく紹介していきます。
なお、雛人形を飾るときには、上の段から人形や道具を並べていくと、人形や道具を落としたときに下段の飾りを傷つけないで済みます。
雛人形の標準的な飾り方
雛人形や雛道具は、格式や序列に沿って並べるのが基本です。ただし、並べ方は地域によっても異なります。また、雛人形の並べ方には絶対的なルールがあるわけでもないので、標準的な飾り方から大きく外れていなければ、各家庭で自由に飾っても問題はありません。
例えば、関東では向かって左側が男雛で右側が女雛となりますが、京都など関西の一部では、向かって右側が男雛で左側が女雛です。
日本には古くから左方上位という考え方があるため、平安時代の帝は妃の左側(向かって右側)に座っていました。京都と関西の一部では、このしきたりにしたがって内裏雛を並べています。現在の皇室は天皇が皇后の右側に立たれますが、これは西洋式のルールにのっとっています。関東では、現在のルールにしたがって内裏雛を並べているわけです。
七段飾りの雛人形・雛道具の飾り方
七段飾りの雛人形と雛道具の飾り方は、下記のとおりです。
- 一段目
男雛と女雛の後ろに金屏風を立てて、両脇にぼんぼりを置きます。男雛と女雛の間には、お神酒を載せた三方(さんぽう)を飾りましょう。
男雛は、冠の纓(えい)を真っすぐに立てるようにします。冠の紐で親指と人さし指で2つの輪を作ってから左右のかんざしにかけるとスムーズです。人さし指で冠の先を軽く押さえながら残りの指で紐をあごにかけて結ぶと、冠をしっかり固定できます。
女雛は、檜扇(ひおうぎ)を広げて手に持たせましょう。持たせるのが難しい場合は、人形の袖口よりも胴体に近い部分を持って動かすようにしてみてください。多少であれば、人形の腕を動かしても問題ありません。
- 二段目
二段目に並べるのは三人の官女です。三人のなかで一人だけ座姿の場合は、座っている官女を中央へ置き、両側に立ち姿の官女を配置します。立ち姿の官女が一人の場合は中央に立ち姿の官女を置き、両側に座り姿の官女を配置しましょう。
中央の官女には三方を持たせ、向かって右側の官女に長柄銚子(ながえのちょうし)、左の官女には加銚子(くわえのちょうし)を持たせます。官女の間には高坏を置いて、お餅などを飾りましょう。
なお、左右の官女もそれぞれ場所が決まっているので、間違えないようにしてください。左手の指が伸びている官女は向かって左側、左手の指がものをつかむように曲がっている官女は向かって右側に置きます。
- 三段目
三段目に飾るのは五人囃子です。向かって左から下記のように並べましょう。
- 座って上着を脱いでいる太鼓
- 立って上着を脱ぎ右手があがっている大鼓
- 立って上着を脱ぎ左手をあげた小鼓
- 座って上着を着ている左手をあげた笛
- 座って上着を着ている謡
- 四段目
四段目に飾るのは、随身(ずいしん)、お膳、菱台です。向かって左側に若い随身、右側に老人の随身を飾ります。お膳の間に菱台を置きましょう。
- 五段目
五段目には、仕丁(しちょう)と桜橘(さくらたちばな)を飾ります。向かって左から下記のように並べましょう。
- 台笠(だいがさ)を持った怒り顔の仕丁
- 沓台(くつだい)を持った泣き顔の仕丁
- 立傘(たちがさ)を持った笑い顔の仕丁
最後に、向かって左の端に橘、向かって右側の端に桜を置きます。
- 六段目
六段目には道具類を飾ります。向かって左から下記のように並べましょう。
- 箪笥(たんす)
- 長持ち
- 挟箱(はさみばこ)
- 鏡台
- 針箱
- 衣装袋
- 火鉢
- 茶道具
なお、衣装袋は含まれていない場合もあります。
- 七段目
七段目には、向かって左から駕籠(かご)、重箱、御所車を飾ります
三段飾り・五段飾りの雛人形・雛道具の飾り方
雛段は七段飾りが基本ですが、コンパクトにした三段や五段のタイプもあります。それぞれの一般的な並べ方は、下記のとおりです。
- 三段飾り
一段目:内裏雛
二段目:三人官女
三段目:雛道具
- 五段飾り
一段目:内裏雛
二段目:三人官女
三段目:五人囃子
四段目:随身
七段目:雛道具
インテリアとして飾れるおしゃれな雛人形も選べる
近年では、インテリアとして飾れるおしゃれな雛人形も登場しています。コンパクトなデザインや飾り台の箱の中に収納できる収納飾りなど、さまざまな雛人形が登場しているので、ライフスタイルに合った雛人形を選んでもいいでしょう。
雛人形はいつから飾る?
雛人形を飾りはじめるのは「節分の翌日にあたる立春~2月中旬頃まで」が好ましいとされています。
ただし、明確なルールとして決められているわけではないため、節分より前に飾っても問題はありません。早めに雛人形を飾って、華やかな気分を長く楽しんでみてもいいでしょう。
雛段飾りの意味は?
雛段飾りは平安貴族の婚礼を表しているといわれています。当時は夜に婚礼が行われたのでぼんぼりに明かりをともし、新郎新婦にあたる内裏雛や世話をする官女、音曲で宴を盛りあげる五人囃子、嫁入り道具などを並べるのです。
雛人形の片付け方
「雛人形をしまうのが遅いとお嫁にいけなくなる」という言い伝えもありますが、そのようなことはありません。この言い伝えには、「片付けができない大人にならないように」という意味合いが込められています。
現実的には、3月中旬までの天気のいい乾燥した日に雛人形を片付けるのがおすすめです。縁起のいい日を選ぶよりも、人形に優しい日を選択して片付けでもよいでしょう。
雛人形を片付ける前に、ホコリや汚れをしっかり除去することも大切です。また、外気を当てて湿気をとりましょう。白手袋と毛ばたき、柔らかい布、人形用防虫剤などを用意しておくと、片付けがスムーズにすすみます。
折り紙で作れる、ひな祭りの手作り飾りも
雛人形や雛台、ぼんぼり、桃の花といった飾りを折り紙で作ることも可能です。簡単なものから少し難しいものまであるため、子どもと一緒に作れそうな折り紙にチャレンジしてみると楽しいでしょう。
内裏雛や三人官女、五人囃子だけではなく、桃の花や菱餅、屏風などの小物を折り紙で作ることもできます。手作りの折り紙も雛人形と合わせて室内に飾れば、より華やかな雰囲気になるでしょう。
ひな祭りの飾りは折り紙で作れる! 簡単な作り方もご紹介
ひな祭りの飾りつけや片付けの時期に絶対的なルールはない
今回は、ひな祭りの飾りつけを始める時期や雛人形の並べ方などを紹介しました。雛人形をいつから飾るかについては絶対的なルールはありません。一般的には「節分の翌日である立春~2月中旬頃まで」に飾るのが好ましいとされています。
直前になってから飾りはじめると慌ただしく、華やかな雰囲気を楽しむ時期も短くなってしまうので、できるだけ早めに飾りたいところです。
ひな祭りの並べ方も地域や時代によって異なるため「これが正解」という並べ方はありませんが、標準的な並べ方はチェックしておきましょう。なお、ひな祭りの飾りは折り紙でも作れるので、家族でチャレンジしてみるのも楽しいのではないでしょうか。