猫は動物の中でも珍しく、爪を出し入れすることができます。これは爪を尖ったままで維持するためです。爪は獲物を襲うときや木登りするときに使うため、日頃から爪研ぎをするのが猫の特徴です。一方で、猫の飼い主からすると尖りすぎた爪はのっかられたときに痛かったり、家具を傷つけたりと困った面もあります。
今回は猫の爪切りをうまくできるポイントについて解説していきます。
猫の爪切りはいつからすべき?
生後数週間の猫はまだ爪をしまうことができません。爪切り自体はいつから行っても問題ありませんが、あまりに小さいと爪の血管を切ってしまう可能性があるので、3~4週齢頃から切ってあるのがよいのではないでしょうか。
猫の爪切りの頻度は?
爪切りをしてからまた爪が鋭くなるまでの期間は平均で1カ月持たないぐらいです。3~4週間に1回を目安に切ってあげるとよいでしょう。
「爪が伸びやすい指があるのか」「年齢によって伸びる速度が違うのか」といった疑問を持たれる猫好きもいるでしょう。私が調べた限りでは、これらの質問に関する詳しい報告はありませんでした。ちなみに人間は人差し指が伸びやすく、20歳前後が最も爪の伸びが早いようです。
猫の爪を切らないとどうなる?
自分で爪研ぎをしていれば問題ありません。爪研ぎが下手だったり、関節炎で痛みがあったりすると爪が過剰に伸びてしまう可能性があります。足の短いマンチカンや関節炎になりやすいスコティッシュフォールドなどの猫種は、特に注意して爪が研げているかを確認しましょう。
また高齢になって爪研ぎをしなくなったり、甲状腺機能亢進症という病気で爪が伸びすぎたりするケースもあります。その場合は飼い主が爪を切ってあげないと、伸びた爪が自分の肉球に刺さってしまう恐れがあります。
爪切りを自宅でやる場合の手順は?
ここからはご家庭で実際に爪切りをする際の手順を紹介します。
爪を出す
猫の指先の構造上、肉球を押さないと爪が出てきません。できるだけ小さい力で爪を出しましょう。真ん中の肉球と切りたい爪の指の間を押すと爪が出てきます。
血管を確認する
うっすらと爪の中に赤い領域があるはずです。そこが血管ですので、血管から2mmほどは余裕を持って切る目安をつけましょう。猫が小さすぎると血管が見えないことがあります。
切る
狙いを定めたら用意した爪切りで躊躇なく切りましょう。この際、爪を押さえる手に力が入りすぎたり、切るタイミングが遅れたりすると猫が動いて狙いが定まりません。
猫が爪切りを嫌がる! 対策法やコツは?
続いて、ご家庭で爪切りをする際のコツを紹介します。
可能であれば2人で行う
1人で爪切りをするとなると、両手が塞がってしまい、猫が自由に逃げてしまいます。可能であればもう1人に助けてもらいましょう。
外側から切っていく
多くの猫は内側(親指側)の爪の方が嫌がるため、外側から切っていきます。前手の中で最も嫌がるのは親指です。そして多くの猫は前手よりも後ろ足の方が嫌がらないので、先に後ろ足から切るとよいでしょう。
できるだけ猫の手先には触らない
肉球を押さないと爪は出ないのですが、猫は手先を触られるのを嫌います。そのため最小限の接触で肉球を出すことが重要です。反対に、手の先をつかんで引っ張ろうとすると多くの猫は強く抵抗します。腕が縮んでしまう場合は、押さえる人の方が肘や膝を押して伸ばすようにしましょう。
猫の爪切りにおすすめのグッズは?
爪切りにはハサミタイプとギロチンタイプがあります。ギロチンタイプは輪の中に爪を入れ、刃が滑って爪を切る構造になっています。
どちらの爪切りが良いのかは好みによりますが、私はギロチンタイプの方が切りやすいと感じています。その理由としては、切るときに刃がぶれないので抵抗が少ないからです。爪を切るときに切れ味が悪いと振動が発生して、猫はその振動を嫌います。
それ以外のグッズとして爪切り用の目隠しなどもありますが、私はあまり使っていません。タオルでも代用できるのと、何より素早く終わらせることが大事だと思っており、装着するのが手間に感じるのが理由です。
まとめ
猫の爪切りは奥が深いと思っています。私も日々診察で爪を切っていますが、ある猫でうまくいった方法が他の猫ではうまくいかなかったり、「この方法はどの猫でも共通で通用するな」などと思ったりと、日々悪戦苦闘しています。 愛猫にあった方法を編み出すのが一番ですが、あまりにも嫌がる場合は動物病院やペットサロンでも切ってもらえるのでお願いしてもよいでしょう。外でやると驚くほど素直に切らせてくれる猫もいますよ。