猫の語源は「よく寝ることから寝子=ねこ」になったという説もあるぐらい、本当によく寝るのが猫です。一日12~20時間、平均で16時間は寝ています。しかも人間のようにまとまって寝るのではなく、細切れで睡眠をとるのが猫流です。そのため睡眠と睡眠の間も眠そうにあくびをしている姿を一日に何度も見掛けます。
本稿ではそんな猫のあくびについていろいろとご紹介していこうと思います。
猫のあくびの意味、理由とは?
あくびは人間だけでなく、猫や鳥類、爬虫類(はちゅうるい)にも起こる行動です。脳の中でも原始的な室傍核(しつぼうかく)という場所からの指令であくびが出るため、高等な動物でなくてもみられる行動です。
その役割は動物種による差はなく、眠いときや疲れているときに出る行動とされています。以前は、あくびは一種の深呼吸のようなもので、疲労しているときに酸素を補給するための行為と考えられていました。
しかし現在ではあくびをしても体内に入る空気の量はそれほど多くなく、普通の呼吸と同じ程度で、酸素濃度も上昇していないことがわかり、否定されました。諸説あるものの、あくびの役割は現時点では不明とされています。
猫のあくびが多いのは、眠いときやリラックスしているとき
やはり眠いときやリラックスしているときに頻繁にみられます。一方でライオンは交尾の前にあくびをすることがしばしば観察され、緊張状態でもあくびがみられます。
猫のあくびに関係する病気は
獣医学ではあくびのやり方や、回数から病気を疑うことはほとんどありません。突然睡眠発作が起こる病気「ナレコレプシー」などは猫でも報告がありますが、極めて稀(まれ)なケースです。
ただ上記のようにあくびがきっかけで口臭に気が付くケースや、口内炎など口の中のできものを発見することはあるでしょう。口が痛い場合は大きく口を開けられないという症状から、顎(あご)の病気がみつかることもあります。日頃から愛猫の行動を観察し、違和感があれば早めに動物病院を受診しましょう。
猫のあくびが臭いときに考えられる原因は? 不健康のサイン?
猫が口を開けたときにある程度の獣臭がするのは自然なことですが、臭いが強い場合は病気の可能性があります。具体的な病気の種類としては歯周病や腎臓病、そして口腔がん(口の中のがん)などあげられます。
猫にもあくびはうつるの? 飼い主を見るとあくびする?
人間同士ではよく「あくびがうつる」といわれますが、人間のあくびが犬や猫にうつることもあるようです。試しに愛猫に向かってあくびをしてみてください。猫にあくびがうつったときに口や歯を確認できれば、スムーズに健康チェックができるかもしれません。
猫があくびしながら鳴くのはなぜ? どんな心理なの?
猫のあくびには通常、鳴き声はありません。もしはっきりと発声しているようであれば、それはあくびではなく、コミュニケーションとしてこちらに声をかけているのかもしれません。
ちなみにあくびと見間違える可能性があるものとして、「サイレントニャー」があげられます。サイレントニャーとは、猫が口を動かして発声しているにも関わらず、何も聞こえない状態を意味する、猫好きの間で使われる俗語です。サイレントニャーが聞こえない理由として「猫の方が聴覚が優れているため、声が小さすぎる」「声の周波数が人間に聴取できる音域にない」などが考えられます。
かわいい猫のあくびを堪能しよう
あくびは人間だけでなく、鳥や爬虫類にも見られる原始的な行動の一つです。あくびが直接的に猫の病気と関連していることは、基本的にはないと考えてよいでしょう。
あくびは眠いときやリラックスしているときによく見られるものなので、安心してそのかわいさを堪能しましょう。ただし、あくびの際に臭いと感じた場合は病気の可能性があるので、動物病院に連れていくなどするといいでしょう。