新年の行事の一つ「初詣」。とくに意識せず、なんとなく習慣として参拝している人も多いのではないでしょうか。
この記事では、初詣とは何なのか、初詣をする意味・由来や期間を解説しながら、行き先や正しい参拝方法などを紹介します。初詣として寺社へ参拝する前に、ぜひご一読ください。
初詣とは?
初詣とは、その年初めて、とくにお正月に、神社や寺に参詣することを指します。一般的には、お正月の三が日いずれかに、1年間の厄払いや無病息災を願い、地域の神社にお参りします。
初詣をする意味・由来
現在の初詣の由来となったのは、恵方参りと年ごもりです。
恵方参りとは、その年の歳徳神の方角である「恵方」にある社寺に、大晦日(おおみそか)の夜半または元日の早朝にお参りすることを指します。年ごもりとは、家長が一族の繁栄を祈るため、大晦日の夜から元日の朝まで、氏神様の社にこもったりたき火しつつ徹夜したりすることです。
この風習が一緒になって、初詣のもとになったと考えられています。
初詣の期間
初詣は、お正月の三が日(1月1日~3日)に出かけることが多いです。
三が日に初詣へ行けなかった場合は、門松を飾っている期間である松の内か、2月3日の節分までに参拝します。松の内の期間は地域によって異なり、1月7日あるいは15日までを指すことが多いです。
オンライン参拝の初詣も増えている
コロナ禍の影響で、オンライン参拝を導入する寺社も増えています。オンライン参拝に対応している神社の公式サイトにアクセスすると、実際に参拝しているかのような手順で参拝可能です。
人の密集を避けながらも初詣の参拝をしたければ、オンライン参拝も検討してみましょう。
忌中であれば神社への初詣は避ける
忌中(きちゅう)とは、近親者が亡くなった時に家族や親族が死者を弔う期間のことです。仏式なら四十九日の法要まで、神式なら五十日祭までと考えられています。また、喪中(もちゅう)は一周忌を迎えるまでです。
忌中や喪中には、故人の2親等に当たる人までが喪に服す必要があると考えられています。忌中期間は死の穢れが残っているとされていて、お祝いごとや初詣は避ける方がいいでしょう。
喪中の場合は三が日期間中の初詣は避け、お正月期間を過ぎてからお参りするのが望ましいです。
初詣の行き先
初詣にお参りする寺社は、どこにしなければならないなどの決まりはありません。各家庭の風習によって異なります。そこで、初詣のお参り先としてよく選ばれる寺社を紹介します。
氏神様
「氏神」には下記のような意味があります。
・神として祀られている氏族の先祖
・その氏族に縁がある神やその神を祀った神社
・土地の人々を守る神
このような、氏神様をお祀りした神社を、初詣に参拝する家庭は多いです。
恵方の寺社
恵方とは、その年の十干(じっかん)によって異なる、最もいいとされる方角を指します。十干とは「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」の10の要素からなる暦の要素のことです。
毎年恵方の寺社へ初詣する習慣がある家庭では、自宅を基準に恵方にある寺社に、初詣に参拝します。
有名な寺社へ参拝する人も増えている
毎年お正月になると、初詣の参拝客数の多さがニュースになります。とくに住んでいる人が多い関東や関西の寺社には、たくさんの人が集まります。
毎年人気がある寺社としては、関東なら川崎大師や成田山新勝寺、明治神宮などがあります。関西なら住吉大社や伏見稲荷、平安神宮などが初詣に人気のスポットです。
初詣の参拝方法【神社】
初詣の参拝方法は、お寺か神社かによって異なります。ここでは、初詣における神社の参拝方法を見ていきましょう。
鳥居をくぐる前には1礼する
神社の入り口には、鳥居があります。鳥居の役割は、神社の外と内を区切ることです。鳥居をくぐると神様の領域に入ることになります。
鳥居をくぐる前には、目上の人の家にお邪魔するような気持ちで、1礼してからくぐりましょう。
真ん中を避けて歩く
参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれていて、神様の通り道と考えられています。参道を歩く時には神様の通り道を避け、少し左右に寄って歩きましょう。
参道を横切る際は軽く1礼するか、中央で神前に向き直って1礼すると、敬意を表せます。
手水を行う
参道から本殿に向かう前には、手水舎(てみずや、ちょうずや)がありますので、心身を浄化するために下記の手順で手水を行いましょう。
・右手で柄杓(ひしゃく)を取る
・水盆の水を汲んで左手にかける
・柄杓を左手に持ち替えて水を汲み、右手にかける
・柄杓を右手に持ち替えて、丸めた左手に水を入れ、口をすすぐ
・水を左手に流す
・柄杓を立てて枝に水をかけて戻す
左手、右手、口の順にすすぐことを覚えておきましょう。
拝礼する
本殿にたどり着いたら、お賽銭を入れましょう。拝礼は、下記のような2礼2拍手1礼で行うのが一般的です。
・姿勢を正して深いおじぎを2回する(2礼)
・両手を2回打つ(2拍手)
・手を合わせて祈る
・深いおじぎを1度する(1礼)
神社によっては拍手の回数が違う場合もありますので、神社内に表示があれば従いましょう。
絵馬はどう描く?
絵馬は、自分の願いを明確に神様に届けるために書きます。絵馬の裏側には、油性ペンで願いとともに、住所・名前・日付などを書いて奉納しましょう。
住所は市町村まで、名前はニックネームでも構いません。もし願いが成就したなら、お礼参りに行くといいでしょう。
引いた後のおみくじの扱い
初詣に訪れた神社でおみくじを引いたら、境内の指定場所に結んでも、持ち帰って1年間のお守り代わりにしても構いません。結ぶ場合には、感謝しつつご加護を祈願しながら結びましょう。
お札やお守りの扱い
お札や破魔矢を授かった場合は、神棚や家具の上など高い場所に祀りましょう。お守りは常に持ち歩くと、ご加護を受けられます。
初詣の参拝方法【お寺】
ここからは、初詣にお寺を参拝する場合の手順を見ていきましょう。
門で1礼する
お寺の入り口に門がある場合は、1礼してから境内に入りましょう。
手水舎で手と口を清める
お寺にも神社と同じような手水舎があります。柄杓で水をすくって左右の手をすすいだ後は、手のひらに水を注いで口をすすぎ清めましょう。
香閣で心を清める
中に進んでいくと、お寺によっては香閣があります。香閣とはたくさんのお線香が供えられていて、煙が立ち上っている場所です。お線香を購入して供えられるお寺もありますし、煙を浴びるだけでも心を清められると考えられています。
煙を身体で具合の悪い場所に当てるとご利益があるという説もあります。
1礼して合掌
本堂に入ったらお賽銭を入れ、鰐口(わにぐち)があれば鳴らします。その後賽銭箱の前で1礼し、合掌してお祈りしたら、1礼して退きましょう。
初詣は寺社にお参りして1年の幸福を願おう
初詣とは、お正月にその年初めて神社や寺に参詣することを指します。氏神様や年神様に対して、今年1年の幸運をお願いすることが初詣の目的です。有名な寺社で初詣を行う人も増えていて、毎年たくさんの人で賑わう寺社もあります。
また、外出しにくい社会情勢の影響もあって、オンライン参拝に対応している寺社も増加中です。
初詣の参拝方法は神社かお寺かによって異なりますが、通常の参拝方法と変わりありません。初詣を機会に参拝方法を復習して、初詣の時に戸惑わないよう覚えておきましょう。
国立国会図書館「暦の中のことば」