「淘汰」という言葉、見たことはあっても正しく読めているでしょうか。淘汰は競争社会において常に起こっている現象。ビジネスパーソンなら意味を正しく理解しておきたいものです。

本記事では淘汰という言葉の意味をくわしくご紹介します。淘汰という言葉を含む生物用語や類語、英語表現、淘汰圧、淘汰度などについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 淘汰の意味をわかりやすく解説

    「淘汰」について解説します

淘汰(とうた)とは

淘汰は「とうた」と読みます。どのような意味があるのでしょうか。

淘汰の意味とは? わかりやすくいうと?

淘汰とは「不必要なものや不適当なものを取り除くこと」という意味です。誤って「陶汰」としてしまわないように注意しましょう。淘汰という言葉それぞれの漢字の意味を押さえておけば、意味も理解しやすくなります。

  • 淘…水洗いすることで不要なものを取り除く、よりわける
  • 汰…いいものと悪いものを選り分ける

つまり淘汰とはわかりやすくいうと、水で洗い流されるように不要なものが取り除かれるさまを表すのです。

生物学用語としての淘汰の意味

淘汰には生物学用語してもうひとつの意味があり、「環境に適応できた生物だけが子孫を残して生き続け、ほかは滅びること」を指しています。

淘汰に関わる生物学用語は、後ほどくわしく紹介します。

  • 淘汰の意味をわかりやすく解説

    淘汰とは不必要なものを取り除くことです

淘汰の例文・使い方

淘汰は「不要なものを取り除く」という意味があることから、ビジネスシーンでもよく用いられます。「淘汰する」「淘汰される」と使います。

例文

  • 宅配サービスへの需要が急速に高まっているが、競争力のないサービスは淘汰されるだろう
  • 少子化が進み、地方の学校では淘汰が進んでいる

淘汰の関連語

ここでは、淘汰の関連語をご紹介します。

淘汰度

「とうたど」と読みます。例えば、大小さまざまな粒がごちゃまぜになっている状態は「淘汰が悪い」と表現されます。反対に粒の大きさがある程度揃っている状態は「淘汰がよい」と表現されます。

このように、ある集団の状態がどの程度そろっているかを表しているのが「淘汰度」です。

自然淘汰・人為淘汰

自然淘汰・人為淘汰は、生物学用語です。

淘汰には自然淘汰と人為淘汰があるとされています。自然淘汰はダーウィンが重要視したとされる、生物界で重要なテーマです。地球の環境に少しでも適応できたものがわずかに変化しながら生き残り、新たな種が生じる、というものです。

一方、人為淘汰とは、ある生物集団から望ましい個体だけを選別し、そこから新しい種を育成するというものです。

性淘汰

性淘汰も、生物学用語です。

進化の過程で、異性に向けてより魅力的に進化したと考えられる現象を性淘汰といいます。雄クジャクの羽やライオンのたてがみなどがその代表的なものだと考えられています。

淘汰圧

淘汰圧も、生物学用語の一つです。

「とうたあつ」と読みます。生物の進化において、環境条件や他種との競合など、淘汰のきっかけになりうるもので逆らうことのできない圧力のことを言います。「選択圧」とも呼ばれます。

  • 淘汰の使い方・関連語をわかりやすく解説

    淘汰は生物学において重要な用語のひとつです

淘汰の類義語

ここからは、淘汰の類語をみていきましょう。類語を確認することで、淘汰という言葉への理解を深めることができます。

排除(はいじょ)

排除とは「あるものを押しのけて、そこから除くこと」という意味です。淘汰の類語ではありますが「そこから除くこと」のほうに重点が置かれ、淘汰にある「不必要なもの、不適切なもの」というニュアンスは含まれません。

なお、除かずに退けることは「排斥(はいせき)」と言います。

選別(せんべつ)

選別とは「選り分けること」という意味です。単にいいものと悪いもの、必要なものと不必要なものなどを選り分けるのであり、淘汰のように「必要なものだけが残る」というニュアンスは含まれません。

ふるい分け

ふるい分けとは「多くの中から選び分けること」という意味です。淘汰は「不必要なものを除いていくことでいいものが残る」であるのに対して、「いいものを残すために取り除いていく」という、ニュアンスの違いがあります。

適者生存(てきしゃせいぞん)

適者生存とは「生存競争のなかで、環境に適応できた生き物だけが生き残り、子孫を残していくこと」という意味です。哲学者のスペンサーが提唱したとされる言葉で、ダーウィンが「種の起源」でも用いています。

  • 淘汰の類義語をわかりやすく解説

    淘汰の類語は排除や選別などです

淘汰の対義語

続いて淘汰の対義語を確認しましょう。「不必要なものを取り除く」という淘汰とは反対の意味なので、「存続させること」という意味の言葉です。

共存(きょうぞん)

共存とは「2つ以上の異なるものが、同じ環境下で同時に存在している状態」という意味です。共存の本来の読み方は「きょうそん」です。

存続(そんぞく)

存続とは「引き続き、残していくこと」という意味です。「企業の存続がかかっている」などのように、ビジネスシーンではよく使われます。

導入(どうにゅう)

導入とは「外部から導き入れること、選んで取り入れること」という意味です。小説や音楽の最初の部分を指し、読者や聴衆に興味をもたせるきっかけを持たせることもあります。

受容(じゅよう)

受容とは「受け入れること」という意味です。自分とは異なる意見や外国の文化などを受け入れる、という意味で使います。

  • 淘汰の対義語をわかりやすく解説

    淘汰の類語や対義語を覚えましょう

淘汰の英語表現

淘汰は英語で「selection」と訳されます。動詞の「淘汰する」は「select」「weed out」などと表現されます。

例文
・nutural selection(自然淘汰)
・Week ones are weeded out.(弱い者は淘汰される)

淘汰の類語である「適者生存」は「Survival of the fittest」となります。

  • 淘汰の英語表現をわかりやすく解説

    淘汰の英語訳は「selection」です

淘汰の意味は不必要なものを取り除くこと

淘汰は「とうた」と読みます。「不必要・不適当なものを取り除くこと」という意味のほかに、「生物の進化において、環境に順応できた種だけが生き残っていくこと」という意味もあります。生物界において重要な用語のひとつです。

ビジネスシーンなどの競争社会において、常にくり返されている「淘汰」。この機会に類語や対義語、英語表現などを通し、しっかり理解しておきましょう。