席巻という言葉は、日常会話やビジネスシーン、ニュースなどでも耳にする機会の多い言葉です。一方で、多用される言葉でありながら正確な読み方や意味がわからないという方もいるでしょう。

今回は席巻という言葉の意味や、適切な使い方を例文付きで具体的にご紹介します。

  • 席巻の読み方と意味

    席巻はいろいろなシーンで使うことができる言葉です

席巻とは

ここでは席巻の意味や読み方などについてご紹介します。

席巻の読み方

席巻は「せっけん」と読みます。単体で「巻」という字は「かん」や「まき」と読みますが「せっかん」や「せきまき」という読みは誤りです。また、席という字も音読みでは「せき」と読みますが「せきけん」も誤りなので注意しましょう。

席巻の意味

「席巻」は「対象となる範囲を勢いよく自分のものにしていく」といった意味を持ちます。ビジネスシーンにおいては「圧倒的な競争力を発揮して市場を支配していく」といった意味で使われることもあります。日常会話やニュースなどのさまざまな場面でも使われる言葉です。

席巻と席捲

席巻は漢字で席捲と書くこともあります。巻は「巻きとる、まとめる」といった意味があり、捲には「巻きとる、巻きつける」といった意味があります。

一般的には席巻と表記しますが、席捲も誤りではありません。もちろん、読みや意味も同じです。

席巻の由来

席巻という言葉の原義は、むしろなどの敷物を端から丸めていくように、領土を攻めとる様をあらわしています。

そこから転じて、現在では特定の市場などにおいて、圧倒的な勢いで、自分の勢力範囲を広げていく様子をあらわす言葉として使われることが多くなりました。

  • 席巻の読み方と意味

    まずは席巻の意味を正しく理解しましょう

席巻の使い方と例文

「席巻」はさまざまなシーンで使うことができます。ここでは例文を挙げながら適切な席巻の使い方をご紹介します。

ビジネスシーンでの使い方

ビジネスシーンでも席巻という言葉は使えます。具体的には以下のような使い方があります。

  • 例の新製品が市場を席巻している
  • 近いうちに当社の新製品が世界を席巻することになるでしょう
  • この商品は市場を席巻する可能性を秘めています
  • C社の製品が世の中を席巻していたのは過去の話です
  • 世の中を席巻しているあの商品のアイデアは素晴らしい

席巻という言葉は基本的にポジティブな意味あいで使われ、マイナス表現になることはあまりないといえます。

日常会話での使い方

席巻という言葉はそれほどかたい表現ではないため、日常会話などでも使われます。そこで、

  • 90年代を席巻したあのバンドの曲を久々に聴きたい
  • 彼女は今年デビューしたばかりのアイドルだが、世間を席巻する日も近いだろう
  • 今年一番の大ニュースは瞬く間にSNSを席巻した
  • ミニマムなデザインがWeb業界を席巻している

日常会話の中では「注目を集める、大流行している」といったニュアンスで使われることが多い傾向にあります。

メールでの使い方

席巻という言葉はメールなどの文面で使われることもあります。

  • 昨今、市場を席巻している御社の製品を弊社でも導入したいと考えております
  • 世の中を席巻している御社の新商品の詳細な資料をいただけるでしょうか
  • 世界を席巻している疫病への対策会議を行いたいと思います
  • 御社の新製品は今後世の中を席巻するものと考えております
  • かつて欧州全土を席巻した英雄ナポレオンのように勢力を伸ばしていきたいと思います

すでにご紹介した通り、席巻という言葉はそれほどかたい表現というわけではありません。そのため、文面でもさまざまな形で使用できます。ビジネスメールではもちろんのこと、日常のメールやチャットでも使える言葉です。

  • 席巻の使い方と例文

    正しく席巻という言葉を使いこなせるようになりましょう

席巻の類語

席巻という言葉はさまざまなシーンで使用可能な言葉ですが、置き換えられる類語を頭に入れておくことで表現の幅を広げることができます。

ここでは席巻と置き換えることのできる言葉をいくつかピックアップしてご紹介します。

もてはやされる

「もてはやされる」は「多くの人からの評判がよい」または「さかんに多くの人に褒められる」という意味を持つ言葉で、席巻と置き換え可能です。

勢力を広げることは多くの人に認知され、話題になる、あるいは褒められるといった意味あいもあります。こういった意味で席巻という言葉を使用する際にはより置き換えやすいでしょう。

今を時めく

前述の「もてはやされる」と近い意味で使われる言葉が「時めく」です。「さかんに世間でもてはやされる」という意味を持ち、「今を時めく」といった形でよく使われます。

耳目を集める

「耳目を集める」という言葉には「多くの人々の注目を集める」「人々の注意を引きつける」といった意味があります。

特定の範囲の中で勢いを増すという意味で、席巻という言葉を使う際に置き換えることができる言葉のひとつです。

脚光を浴びる

「脚光を浴びる」は「世間の注目を集める」という意味で使われ、席巻と置き換えることができます。席巻は特定の範囲の中で勢力を広げるといった意味を持ちますが、注目を集めるといった意味で使われることもあります。その場合、脚光を浴びるという言葉に置き換えることができます。

  • 席巻の類語

    いろいろな表現を知ってコミュニケーションの幅を広げましょう

席巻の英語表現

ここでは席巻の英語表現をご紹介します。

storm

席巻の英語表現のひとつとして挙げられるのが「storm」です。

「storm」を使用する場合、「○○をたちまち心酔させる、席巻する」といった意味を持つ「take ○○ by storm」という表現が使われます。「物議を起こす」というニュアンスで「to raise a storm」という表現をすることもあります。

sweep

また、「掃除する、なぎ倒す」といった意味を持つ「sweep」が、席巻と近いニュアンスで使われることがあります。

「sweep over ○○」で「○○を席巻する」といった形で使われるのが一般的です。

conquer

より形式ばった表現としては、「conquer」が挙げられます。こちらは「武力で征服する、攻略する」といったニュアンスが強く、「conquer a country」で「国を制圧する」といった表現に用いられます。

  • 席巻の英語表現

    英語表現を身につけるといろいろなコミュニケーションができます

席巻の意味や使い方を理解しよう

席巻は「せっけん」と読み、席捲と表記されることもあります。「特定の範囲で勢いよく自分のものにしていく」という意味を持ち、ビジネスシーンをはじめとしてさまざまな方法で使うことができます。

日常会話やニュースなどで目にする機会も多いので、多くの方が意味をある程度知っているかもしれませんが、適切な使い方や置き換え表現などを正しく理解することでコミュニケーションの幅を広げることができるでしょう。

席巻のようにいろいろなシーンで使われている言葉の意味や使い方を改めて考え直すことによって、適切に相手に意思を伝えたり、受け取ったりできるようになります。それはビジネスシーンや人間関係の構築にきっと役立つはずです。