「20代女性のファッション」「40代女性のファッション」と聞いて、何となく頭に思い浮かぶイメージはありませんか?
そんなイメージと「自分が着たい服」のあいだに大きなギャップを感じ、自らファッションブランドを立ち上げた漫画家さんがいます。
ファッションブランド「Antique Carrie(アンティークキャリー)」を立ち上げた小柳かおり(@kaokaokaoriri)さんが綴った想いに対し、世の女性から共感が集まっています。
昔に比べ、ファッションを年齢で縛る風潮は薄れているものの、まだまだ「〇代女性のファッション」といったステレオタイプが残っているのが現状。
小柳さんは、世間が提案するアラフォー女性のファッションと、「自分が好きな服」「自分が着たい服」とのあいだに横たわるギャップに直面します。
そこで、アラフォー女性が楽しめる可愛いファッションを模索したところ……
「クラシック」という答えにたどり着いたそう。
普遍的な魅力に彩られたクラシック映画では様々な年代が描かれますが、小柳さんはとりわけ1950年代のファッションに心を奪われたと言います。
ところが、身近で思い描くクラシックファッションを手に入れるのは難しいと感じ、ファッションブランドの立ち上げに挑むことに。
「明るい色の服を可愛く着こなすおばあちゃんがいてもいい」―自分が作るお洋服で、そんな世界を表現することを目指しています。
アパレル業界は未経験だったため服飾学校に通って学び、ファッションブランドを立ち上げたという小柳さん。ブランド立ち上げの経緯、洋服作りの苦労や喜びなどについてうかがいました。
「わたしがファッションブランドを立ち上げた理由」、投稿者に聞いてみた
――ファッションブランドを立ち上げたのはいつ頃ですか?
正式な立ち上げは2021年10月です。ブランドの認知度を向上させたかったため、「Makuake」というクラウドファンディングのサイトを使って販売したところ、ありがたいことに応援購入が集まり、目標を達成できました。
現在も少しずつ商品を増やしながら、オンライン販売を継続しています。また12月以降は月イチで展示・試着会の場を設けてお客様に魅力を伝えていこうと思っています。
――服飾学校に通われたとのことですが、服飾関連のお仕事は未経験だったのでしょうか?
まったくの未経験でした。母が被服科出身だったので幼少の頃から手芸が身近にあり、編み物やビーズ手芸、簡単な洋裁など、「作ること」は好きでした。しかしアパレル業界は華やかなイメージがあったため、学生時代は「自分とは無縁かな」と考えていました。
ところが、35歳を過ぎた頃から「似合う洋服がわからない」「アラサー、アラフォーでも可愛い洋服が着たい」「流行に流されず、着たい洋服を着たい」と思うようになり、40歳になるタイミングで社会人向けの服飾学校に通い始めました。学校ではパターン技術のほかにブランドビジネスについても学ぶことができたため、学んだことを即実践して、ブランド立ち上げまでこぎ着けました。
――実際に洋服を作るうえで、苦労されたことはありますか?
パタンナーさん、縫製工場の方、カメラマンさん等さまざまな関係者の方とお仕事をしていますが、「業界の常識」がわからずコミュニケーションに齟齬が生まれるなど、ひとつひつの工程で苦労があります。
また、デザイン画制作、パターン化、縫製、商品撮影、販売と、すべての工程を1人でディレクションしているため、たとえ洋服の型が1つだけでも苦労しています。1つの型のお洋服をお客様のもとへ届けるまでには数ヵ月かかりました。
逆にいえば、各工程の難しさを知ることができたので、アパレルのお仕事をこの数ヵ月で幅広く知れた気がしています。知れば知るほど新しい課題が見えてくるので、今はひとつひとつの課題に対応しながら、自分なりのブランド運営のあり方を見出していこうと思っています。
――ユーザーからの反響はいかがでしょうか?
「Makuake」で応援購入して下さった方の多くは、SNSで連載している服飾学校入学からを描いたエッセイ漫画「アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話」を通してブランドを知ってくださった方々です。ブランド立ち上げに至った経緯やブランドコンセプトに共感していただいているので大変ありがたいです。
アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 1 (1/2)
— 小柳かおり @漫画家/AntiqueCarrie (@kaokaokaoriri) March 31, 2021
(カラー化したので上げます…!)#漫画が読めるハッシュタグ #エッセイ漫画 pic.twitter.com/v6SyOh3YFl
SNSではデザイン画の段階からイラストを公開してご意見をもらうことにも取り組んでおり、お洋服作りに一緒に参画していただいている感覚です。それによってさらにやりがいを感じることができ、苦労があってもモチベーションを維持できています。
【アンケート】
— 小柳かおり @漫画家/AntiqueCarrie (@kaokaokaoriri) October 13, 2021
ビッグカラー のクラシカルワンピースを秋冬の暖かみのある生地で作ろると、シックで上品な仕上がりになるのではと期待しています。
グレー(46)と焦げ茶(69)は秋冬の定番色だと思うのですが、どちらが好きですか?
(黒は重くなるため候補から外しました) pic.twitter.com/Vh0qXEfrlt
デザイン画の段階からTwitterアンケートなどを実施し、ユーザーの声を反映した4種類の新作を12月に発売予定。そのうち「ウールとレースのお嬢様ワンピース」は12月1日に販売を開始しました。
個人ブランドなので企業のような大々的な展開はできていないものの、展示・試着会なども実施しています。12月25・26日には東京・三鷹のギャラリー「JanusCreation(ジェーナス クリエイション)」で展示・試着会を行うそう。また2022年からは、渋谷のイベントスペース「novore」で第4日曜日にショップも開くとのこと。クラシカルテイストが好きな人に届くよう、少しずつ前進中です。
「Antique Carrie」のお洋服は特にアラフォー向けというわけではなく、「クラシカルテイストが好きな人に着てもらいたいと思って作っています」とのこと。「Antique Carrie」を楽しみたい方のへの支持の輪とともに、年齢に縛られず好きな服が着られる風潮がもっともっと広がっていくといいですね。
わたしがファッションブランドを立ち上げた理由 2/2#漫画が読めるハッシュタグ #コミックエッセイ #エッセイ漫画 pic.twitter.com/5mUFgqMh5u
— 小柳かおり @漫画家/AntiqueCarrie (@kaokaokaoriri) November 27, 2021