障がいのあるアーティストの多様な表現で街全体を彩る世界で唯一の市民芸術祭『アートパラ深川おしゃべりな芸術祭』が10月22日から31日までの10日間開催されている。

初日となった22日には清澄白河庭園内の「大正記念館」で、オープニングセレモニーとアートパラ深川メインビジュアル大賞授賞式が執り行われ、スペシャルアドバイザーを務めるコシノジュンコ氏らが出席。「アートパラ深川メインビジュアル大賞」の大賞には、南部たきさん作「鳥達と、ネコたち」が輝いた。

  • アートパラ深川おしゃべりな芸術祭開催中

■約400点を展示、假屋崎省吾とのコラボ企画も

2020年の初開催では9日間で約7万5000人が来場した『アートパラ深川おしゃべりな芸術祭』。会場は富岡八幡宮、深川不動尊を拠点とした門前仲町、カフェとアートの街として知られる清澄白河、そして深川発祥の地である森下の街なかに作品を展示する。

昨年に引き続き2回目の開催となった今回は、障がいのあるアーティストの作品約400点を展示。地元を中心に延べ約800名が運営に携わり、街全体を美術館にしてしまう世界でも類を見ない市民芸術祭となった。

本年の目玉企画として華道家・假屋崎省吾氏のいけ花と昨年度の「アートパラ深川大賞」コンペティション入賞・入選作品とのコラボレーション展示「アート×∞プロジェクト in 清澄庭園 produced by 假屋崎省吾」実施。假屋崎氏はビデオメッセージを寄せた。

「『アートパラ深川』の作品は本当にひとつ一つ個性豊かで本当に素晴らしい作品です。私も感銘を受け、そうした作品に触発されて、今回の作品をつくりました。秋の気配が漂う季節ということで紅葉や菊の花を使ったいけ花で表現しています」

  • アートパラ深川代表理事・北條裕子氏

主催者である一般社団法人アートパラ深川代表理事・北條裕子氏は「『アートパラ深川おしゃべりな芸術祭』は、共に生きる社会をテーマに障がいのあるアーティストたちの作品を社会につなぐ、そんな志を持つ世界初の芸術祭。感動と感激、ワクワクを感じられるこの芸術祭で、ぜひ作品に触れていただき、多くの人に応援をしていただければ」と、あいさつ。

昨年に引き続き芸術祭のスペシャルアドバイザーを務めるコシノジュンコ氏は「オリンピックイヤーでコロナ禍にあるいま、こうした芸術祭が行われることはたいへん大きな意味がある」と語った。

■世界のアート愛好家から注目される日も近いかも

『アートパラ深川おしゃべりな芸術祭』は、深川の地で障がいのあるアーティストの表現力に触れ、多様な人たちと暮らしている事実に気づき、互いに自分らしく生きる共生社会の実現と、100年続く芸術祭を目指している。

  • スペシャルアドバイザーを務めるコシノジュンコ氏

「これをきっかけに今後も皆さん創作活動を続けてほしいし、世界中に発信していけば必ずこのアート性を理解してくれる方がきっと出てくる。今回、“コシノジュンコ賞”をつくりましたが、私もその活動の後押しをしていきたいと思っています。アートに造詣のある世界中の多くの人にも見てもらい、最終的には買っていただければ、きっとアーティストのやりがいにもなる。この芸術祭がアーティストの収入につながるチャンスの場になればと思っています」(コシノ氏)

コロナ禍でコミュニティの力やつながりの大切さが意識されているなか、市民芸術祭として開催される意義についても語り、昨年に続いてアドバイザーを引き受けた理由については、こうコメントした。

「こうした障がい者の方たちのアート展覧会は、私自身がもともとやりたいことでした。例えば、パラリンピックに合わせて、障がい者の絵画などを羽田空港などで展示するようなことができればいいなと。コロナ禍でそれが実現できなかったのは残念でしたが、その意味ではもともと私がやりたかったことと方向性が一致しているんです」(コシノ氏)

  • 「アートパラ深川メインビジュアル大賞」南部たきさん作「鳥達と、ネコたち」

また、オープニングセレモニー後は応募された作品のなかから、来年2022年のメインビジュアルを選定するコンペティションの大賞・入賞者を表彰する「アートパラ深川メインビジュアル大賞」授賞式が開催。大賞には南部たきさん作「鳥達と、ネコたち」が輝いた。 ※正式な「鳥達と、ネコたち」の作品名は、前後にハートマークが入ったもの

●information
日程:2021年10月22日~31日
会場:門前仲町、清澄白河、森下
※緊急事態宣言等により延期及び中止になる場合がある