菅井八段は2勝2敗の成績に
第80期A級順位戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の4回戦、▲菅井竜也八段(2勝1敗、5位)-△斎藤慎太郎八段(3勝0敗、1位)戦が10月21日に関西将棋会館で行われました。結果は96手で斎藤八段が勝利。今期A級でただ一人無敗をキープしています。
29歳の菅井八段と28歳の斎藤八段という同世代のライバル対決となった本局は、先手の菅井八段の中飛車対後手の斎藤八段の居飛車という対抗形の将棋になりました。
中盤で優位に立ったのは斎藤八段。右銀を繰り出して先手の角を圧迫し、7~8筋を制圧します。そして△8八歩と桂取りに歩を打ってと金作りが約束されました。
ゆっくりしていては勝負所がなくなるとみた菅井八段は、桂取りを放置して▲1五歩と端攻めを敢行。7~8筋での挽回は諦め、玉頭攻めに全てを懸ける作戦です。
斎藤八段は自玉付近で始まった戦いに対し、積極的に応戦します。相手の攻めに対して防戦一方になるのではなく、巧みに桂を使って反撃に出たのです。これが好判断で、激しい戦いがひと段落したところでは斎藤八段の優位は不動のものとなっていました。
斎藤玉は盤上左辺に逃げ道が開けている一方、菅井玉は桂の利きに逃げ場を封じられ、身動きが取れません。斎藤八段は自玉付近の角取りを放置して鋭く踏み込み、飛車を入手。そしてその飛車を菅井玉のすぐそばに打ち込んだのが決め手となりました。この手を見た菅井八段は攻防ともに見込みなしと判断し、投了を告げました。
この勝利で斎藤八段は負けなしの4連勝。A級初参加だった前期も開幕から4連勝とロケットスタートを決め、次の5回戦で敗れたものの、最終的には8勝1敗の成績で名人挑戦権を獲得しました。連続挑戦に向け、今期も視界良好です。5回戦では永瀬拓矢王座と対戦します。
敗れた菅井八段は2勝2敗の成績になりました。挑戦権争いに踏み止まるために連敗は避けたいところ。次戦では山崎隆之八段と対戦します。