個性豊かなテナントが入居する商業施設「reload(リロード)」が今年6月にオープンしたばかりの注目のエリア「下北線路街」に、都市型ホテル「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」(東京都世田谷区)が9月16日に開業した。

  • 「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」(東京都世田谷区)

今回は小田急電鉄が開発を推進する鉄道跡地開発プロジェクト「下北線路街」に誕生したこのホテルの内覧会に参加。ホテルのゲストだけでなく地域や下北沢を訪れる人々に向けて提供される新サービスや施設の数々を紹介する。

30分ワンコインから客室の時間貸し

2018年、渋谷に開業した「MUSTARD HOTEL」は "街のかくし味"をコンセプトに掲げ、単に宿泊する場だけではなく、人と街の文化・生活を繋ぎ「街を楽しむための場」としてホテル事業を展開している。

  • ホテルフロントに面した「SIDEWALK COFFEE ROASTERS」

ユニークで多彩な文化が混在するサブカルチャーの聖地・下北沢に開業するにあたり、「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」は同地に息づく音楽や演劇をはじめとする魅力的な文化に触れるきっかけを生み出すホテル、街の魅力の引き立てるホテルとして開発された。

小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」から徒歩6分、「東北沢駅」から徒歩2分と交通利便性に優れた立地で、「下北線路街」の商業施設「reload」のデザインを踏襲。周辺の建物のスケール感に倣い地上2階建てとなっている。

客室はダブルルームを中心に4タイプ・全60室を用意する。宿泊料金(参考価格)は、1室(2名)1万8,000円〜6万5,000円。大きなテラスを持つ部屋からコンパクトなものまで、白や木を基調とした落ち着いた内装を施し、シンプルで心地よい空間に仕上げた。

  • 「マスタードデラックス」(30m2+バルコニー30m2/2名/参考価格6万5,000円)

  • 「マスタードデラックス」バルコニー

下北沢に根付くファッションや演劇などさまざまなカルチャーの中でも音楽をテーマにしており、全客室にレコードプレイヤーを完備。下北沢の人気レコードショップ「Jazzy Sport」がセレクトした300枚のレコードをロビーに取り揃え、宿泊者を対象に無料で貸し出す(1回あたりの利用枚数制限あり)。

ソウル、ジャズ、ヒップホップ、シティポップなど好みの音楽を、客室のレコードプレイヤーで楽しむことができる。

  • 「Jazzy Sport」監修でレコード初心者から精通する人まで満足できる選盤となっている

コロナ情勢の新たなニーズとして、多くのホテルがパーソナルな利用目的による客室の時間貸しを実施しているが、同ホテルでは30分500円〜最大14時間利用できるプラン「MUSTARD HOTEL DAYTIME PLAN」を導入。

プロジェクターやPC、音響機器といった備品レンタルも行い、テレワークやミーティングなどのワークスペース、パーソナルサロンなど利用者の目的に適うかたちで客室を提供する。

また、小規模単位で事業を展開するパーソナルビジネスが増加している近年の傾向を背景に、フリーランスや小規模事業者を支援する会員組織「MUSTARD HOTEL CULTURE CLUB」を開始。

マッサージ、鍼灸、ネイルサロン、パーソナルヨガ、英会話のプライベートレッスンなどのサービス提供を行う事業者が会員登録することで、定期的な客室提供や会員間の情報提供、送客といった支援を進める。

地域住民の憩いの場にも

同ホテルは隣接する商業施設「reload」各店舗や地域店舗と連携し、対象店舗でホテルのカードキーを提示した宿泊者に対して割引メニューの提供などさまざまな特典を提供するなど、独自の付帯サービスも展開。

出張や多拠点住居、旅行など長期でのホテル利用のニーズに即した長期滞在サービスとして「MUSTARD HOTEL MONTHLY PLAN」も用意している。

ホテルに滞在する時間を通じ、さまざまな文化が根付く下北沢に新たな賑わいを生み出すサービスを充実させているが、ホテル1階には宿泊者以外も利用可能な2店の飲食店舗を併設した。

中目黒や祐天寺に店舗を展開するSIDEWALK COFFEEの系列店「SIDEWALK COFFEE ROASTERS」では、 店舗内の焙煎機で丁寧にローストしたコーヒーや毎朝工房で焼き上げるパン、中目黒の店舗でも大人気の自家製ベーグルなどを味わえる。朝7時から9時までは宿泊者に朝食を提供し、1階のカフェやロビーに面したテラスは、9時から19時まで地域住民など宿泊客以外の人たちに開放するかたちでの営業となる。

  • 開放的なウッドデッキに設けられたテラス席で最高の朝食を楽しめる。すでに近隣住民の憩いの場にもなっているようだ

一方、焼酎BAR「くらげ」は黒糖焼酎を中心に店主が日本産にこだわって厳選した40種類以上の焼酎や泡盛などの蒸留酒を提供する。チャージなしで一杯700円からなので気軽に立ち寄れそうだ。

焼酎にレモンの皮を漬け込み、生搾りの果実を加えたレモンサワーや、「SIDEWALK COFFEE ROSTERS」で焙煎された、有機栽培のエチオピアを黒糖焼酎に漬け込んだコーヒー焼酎など、こだわりの焼酎をロックやソーダ割りで楽しめる(現在、緊急事態宣言期間中のため休業中)。

  • 将来的にはインバウンド観光客にも焼酎の味わいを知ってもらえるような場所になりそうだ

下北沢に訪れる若者層だけでなく、幅広い年齢層の来街者や近隣住民がくつろげる場を創出する考えだ。

さらに、「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」と「reload」に隣接するエリアにはエンターテイメントスペース「ADRIFT」が9月10日にオープンした。

音楽リハーサルやレコーディングスタジオ、 企業研修やカンファレンス、 物販展示、マーケットイベントなど幅広い用途を想定したレンタルスペースとして貸出を行い、音響・照明機材、ネットワーク環境、キッチンを完備。リアルイベントからオンライン配信まで幅広い企画に対応した施設として多目的に活用できる。

宿泊先として同ホテルを無料で提供するなど、国内外アーティストの活動支援も実施しながら多くの人が音楽や演劇などシモキタカルチャーを感じられるイベント開催を積極的に行なっていく予定だ。

  • ADRIFTの建物前の広場スペースはキッチンカー設置やテントを出してのマーケットイベントでも利用可能