伊藤女流三段は挑戦権を懸けて決勝で里見香奈女流四冠と対局

第11期リコー杯女流王座戦(主催:株式会社リコー)の本戦準決勝、▲伊藤沙恵女流三段-△山口恵梨子女流二段戦が9月6日に東京・将棋会館で行われました。結果は137手で伊藤女流三段が勝利。挑戦者決定戦へと駒を進めました。


第11期リコー杯女流王座戦の本戦トーナメント表

振り駒で先手番になった伊藤女流三段は得意の矢倉を採用。山口女流二段は雁木右玉で応戦します。

うまく戦機を捉えたのは伊藤女流三段でした。桂交換で攻め駒を補充し、1筋から攻めたのが好判断。端を突破した上に金得の戦果を上げます。

ゆっくりしていると金損が響く山口女流二段は、さらに駒損を重ねる捨て身の猛攻に出ました。戦力は少ないながらも伊藤玉の守り駒をすべてはがし、飛車を敵陣に成り込みます。そして詰めろ、詰めろで伊藤玉に迫っていきました。

玉が単騎になってしまった伊藤女流三段ですが、ここから巧みな順で山口女流二段の猛攻をかわしていきました。

伊藤玉に詰めろを継続するため、山口女流二段は竜を8筋から移動させます。しかしそれによって山口玉の守りが薄くなったことを伊藤女流三段は見逃しませんでした。相手の王手が途切れた瞬間に、これまでの受けとは一転、山口玉に王手をかけ、見事に即詰みに打ち取りました。

この勝利で伊藤女流三段は挑戦者決定戦に進出。相手は里見香奈女流四冠です。加藤桃子女流王座(当時)相手に2勝3敗1持将棋で惜敗した、第5期リコー杯女流王座戦以来の挑戦権獲得を目指します。

春の第14期マイナビ女子オープン五番勝負以来のタイトル挑戦へあと1勝とした伊藤女流三段。写真はマイナビ女子オープン第4局のもの
春の第14期マイナビ女子オープン五番勝負以来のタイトル挑戦へあと1勝とした伊藤女流三段。写真はマイナビ女子オープン第4局のもの