お笑い芸人の劇団ひとりとお笑いコンビ・マヂカルラブリーの野田クリスタルが初タッグを組むフジテレビのバラエティ番組『名もなき天才あざます』(18日24:25~、25日24:40~ ※関東ローカル)。演出を手掛けるのは、『トリビアの泉』『さまぁ~ずの神ギ問』など、人気番組を手がけてきた同局の塩谷亮氏だ。

この番組をもって、制作会社の共同テレビに出向するが、どんな思いを込めて制作したのか――。

  • 『名もなき天才あざます』で初タッグを組む劇団ひとり(左)と野田クリスタル (C)フジテレビ

    『名もなき天才あざます』で初タッグを組む劇団ひとり(左)と野田クリスタル (C)フジテレビ

■「ティッシュって1枚1枚次から次へと出てくるのってすごくない?」

この番組は、「ふたにヨーグルトがくっつかないようにした人」「スマートフォンを『スマホ』って略した人」「次から次へと取り出せるティッシュペーパーを考えた人」など、身の回りで普通に使っている「これ、考えた人スゴくない?」というものを取り上げ、実際に考えた“名もなき天才”たちを取材していくバラエティ。とある町のちょっとおバカな先輩(声:野田)と後輩(同:ひとり)が、スーパーや、お台場周辺を散歩しながら、“これ考えた人、天才だな!”とさまざまなモノやコトを発見していく。

今回の企画は、放送作家の高須光聖氏から、「ティッシュって1枚1枚次から次へと出てくるのってすごくない?」と言われたのがきっかけ。「何かが生まれているということは、誰かが考えて完成させているわけですからね。電気を発明した人はエジソン、みたいに、有名でほめられている人はいるけれど、世の中を便利にしてくれたのにほめられていない人がいっぱいいて、それってずるくない?と(笑)。そんな人たちが、意思や意図をもって考え、幾多のトラブルを乗り越えて生み出したことを、しっかり調べて紹介する番組があってもいいんじゃないかと思ったのです」と、番組化を進めた。

しかし、“名もなき天才”を見つける取材は「誰が、いつ作ったのか、という記録が、思った以上に残っていませんでした」と苦労したそう。そこで、「普通のテレビ番組だったら、それはボツになってしまうのですが、この企画は、『そんなことを考えたのに、名前すら残っていないなんて切なすぎませんか?』『誰だか分からないけどありがとう!』って言ってもいいのではないか、と。誰か分かった場合も分からなかった場合も、同じ扱いにしています」と判断した。

こうして発見して会ってみると、「皆さん、考えているときに必ず問題にぶつかって、困っていたんですよね。人によっては、神頼みしている人もいたし、会社から猛反対を受けて悩んでいた人もいました。必ず負荷とかストレスを必死に乗り越えて新しいものやコトを生み出していました」とのこと。そして、「自分に置き換えてみると、『俺は、ちゃんとそういうことやっているかな、もう一段必死に考えていかないといいものは生まれない』と思ってしまいました」と、考えさせられることもあったそうだ。

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■劇団ひとり&野田クリスタルで「ラジオ的な遊び方」

劇団ひとりと野田クリスタルによるアドリブ満載のナレーションも見どころで、「スタジオを開いてわーっと盛り上がることもできますが、普通になってしまうな、と。コアな部分は取材VTRなのですが、それを真面目に紹介していったらエンタテインメントにならないので、このスタイルにしました」と演出。

もともとは、独り言で進行する形をイメージしていたが、「このナレーションを1人やるのは相当大変だな、と。だから掛け合いにしようと思いました。声だけでキャラクターを変えられて、紹介しなくてもこの人がしゃべっているとわかる人で、笑いたい。そう考えたときに、まず先輩役に劇団ひとりさんが浮かびました。相手の後輩役は、奇才・天才で、ひとりさんよりも若い人で、ちょっとおバカで先輩に憧れている人。同じく声で戦えてキャラクターが作れる人、そしてひとりさんとやりとりが面白そうな人、ということで野田さんが浮かびました」と白羽の矢を立てた。

キャスティングが決まり、打ち合わせをすると「まずひとりさんが『先輩・後輩逆の方が面白くないですか?』と。ハッと思って、『そうですね。それでやらせてください!』と答えました。ひとりさんは、野田さんは好き勝手にできる先輩の方が自由に暴れられると思ったのではないですかね」ということで、その提案を採用した。

実際に収録すると、「声だけで笑わせたい、ラジオ的な遊び方をしたい」と考え、「OKなんですけど、もう1テイクお願いします」と何度もリクエスト。その結果「おふたりともプロフェッショナルなので、絶対に同じことをやってこないのです。それで私も面白くなってしまって、『もうちょっと聞いてみたい』と思って、一番近い視聴者という目線で収録を楽しんでしまいました」と振り返った。