西日本最大のスポーツサイクルフェスティバル 「CYCLE MODE RIDE OSAKA 2021」が7月24日から25日までの2日間、大阪・万博記念公園にて開催された。

今年3月から7月へ開催が延期となった本イベントには、試乗車台数200台以上、自転車に関連する100以上のブランドが出展。コロナ禍によって国内でもスポーツサイクルなどの愛用者が増えるなか、初心者から上級者までたくさんの来場者が訪れた。

有名ブランドの最新自転車や関連グッズが集結

全長約2キロのロング試乗コースで、ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイク、ミニベロ(小径車)、スポーツe-BIKEなどを存分に体験できる「CYCLE MODE RIDE OSAKA 2021」。有名ブランドの最新自転車や、ウェアやヘルメットなど自転車関連グッズの最新モデルが集結した。

また、注目度が急上昇している電動アシスト自転車に試乗ができる「SPORTS e-BIKEエリア」をはじめ、欧米を中心に人気のオフロード自転車を乗り比べできる「オフロードバイクコース」、初めての人でも安心して最新ロードバイクに乗れるようになる「試乗前レッスンコーナー」、子ども乗せ自転車の乗り心地や電動アシストの力を親子で体験できる「ファミリー BICYCLEゾーン」などを用意。

スポーツ自転車ビギナーや子どもも楽しめる充実したコンテンツを揃え、自転車に関連するブランド・企業のブースが多数出展するイベントだ。

  • オフロード自転車の試乗も人気

国内メーカー各社のe-BIKEの特徴は?

同イベントに出展するブランドのなかでも、注目したいブースを紹介していこう。近年盛り上がっているのが、多くのブランドから新作モデルが発表されている電動アシスト自転車だ。おしゃれな街乗り用自転車も多いが、特に近年ニュージャンルとして人気沸騰中なのが、ロードバイクやマウンテンバイクといったスポーツタイプの電動自転車、いわゆるe-BIKEだ。

ヤマハ発動機

「各社で競争が激化している反面、業界全体で盛り上げていく機運もあり、ユーザーの方の選択肢が増えているのは間違いないです」と語るのは、ヤマハ発動機のブース担当者。

  • ヤマハ発動機のブースでは、様々なタイプのe-BIKEを揃える

「我々はヤマハ発動機という社名の通り、『モーター』をひとつの大きなテーマに他社との差別化を図っています。レディメイドのモーターではなく、車種ごとのオーダーメイドのようなかたちでプログラムなども変えており、非常に作り込まれたモーターです」

その背景には同社がバイクで培ってきた技術と製品づくりにおけるプロセス、センシング技術や製品試験の体制があるとのことで、最近の製品では乗り手の意図に沿ってスムーズに走る"シンクロ感"を追求する。

「また最新の車種は、バイクメーカーとしての個性をさらに強調した内容になっています。『Dual Twin フレーム』はパイプフレームに電池モーターをはめ込むような構造で、これはバイクのフレームに着想を得たつくりですね。本来エンジンがあるところに電池モーターを入れることで、より軽く強い構造を実現しています」

  • 「Dual Twin フレーム」。坂道での性能を高めるため、クランク軸からギアホイルまでを長めとっているも特徴とか

パナソニック

独自にモーターやバッテリーなどを国内で製造し、2017年にe-BIKEをリリースしたパナソニックは、2018年から本イベントに出展を開始。ロードバイクでは30年以上の歴史があり、ツール・ド・フランスで走った初の日本メーカーとして、自転車好きに広く知られた存在だ。

「我々の自転車の中では、やはりクロモイやチタンといった素材を使ったロードバイクが一番人気ですね。もともとスポーツバイクはカーボンが主流ですが、2台目、3台目というかたちでそうした自転車を購入される方が多いです」

大きなムーブメントになっている欧米に比べ、まだまだ日本では電動アシスト自転車は日常の足として使われているイメージが強いが、e-BIKEの試乗希望者も多いという。

「電動自転車で言うと、おそらく我々の自転車は最もパワーが出ている部類になるかと思います。スポーツ用としてはこれから大きな市場になると見込んでいますね。ただ、やはりオフロードの激しい登りやマウンテンバイク型の走りを楽しんでいただける環境が日本には少ない。e-BIKEをつくるだけではなく、走る場の提供など楽しみ方までセットで提案していきたいです」と同社の担当者は期待を寄せる。

  • 走りの爽快感を手軽に楽しめるパナソニックの「JETTER」

世界的シェアを持つパーツメーカー・シマノも出展

世界的なシェアを持つ自転車パーツメーカー「シマノ」も出展。今回「マウンテンバイク」「グラベル」「ロード」「シティ・アーバン」の4つのカテゴリで展示を行った。

  • シマノのブースのうち、オフロード系のパーツを展示しているエリア

「グレードにもよるので一概に言えないところもありますが、耐久性重視の自転車をオフロード系、軽量さ重視をオンロード系というイメージでカテゴライズをしています。オフロード系は比較的短い距離で急な坂や岩などの山道を走るマウンテンバイク、砂利道など荒れた路面などを長距離走るイメージのグラベル。オンロード系は舗装された道を走るロードバイクやクロスバイクに関連するパーツや情報を展示しています」

自転車メーカーや自転車販売店に製品を卸すシマノ社にとって、こうした展示会はユーザーの声を直接聞ける貴重な機会のようだ。

  • グラベルライドに最適化された「SHIMANO GRX」

  • 国内でも愛好者が多いロードバイク

シマノの特徴的な点としてはそれぞれの乗り方・製品に合わせたパーツを、フルセットで開発・供給していることが挙げられるという。

「オンロード系の商材はヨーロッパ、オフロード系の商材はアメリカのメーカーが主導しています。しかし、それぞれのカテゴリで"コンポーネント"と呼ばれる自転車の駆動関係のパーツを総合的に提供している会社は、世界でも『シマノ』と『カンパニョーロ』『スラム』の3社だけ。そのため我々は個別のパーツで最適化するのではなく、チェーンやブレーキなどをトータルで設計し、セットで組み上げることで高い性能を発揮できる製品を多くそろえています」

また、最新の素材、デザインテクノロジーを駆使して開発されているアクセサリーブランド「SHIMANO PRO」の展示も。同ブランドでは、ハンドルやステム、サドルなど体が接する部分をカスタムするパーツのほか、バッグやボトル、空気入れまで多岐にわたるアクセサリーが展開されている。

  • 自転車本来の乗り心地を損なわないアシストパワーに焦点を当て、開発が進められたe-スポーツバイクコンポーネンツ「SHIMANO STEPS」も展示された