TSMCは7月26日、定時株主総会を開催し、Mark Liu会長ならびにC.C.Wei副会長兼CEOの再任を議決したほか、株主からの質問に答える形で海外への工場進出についての説明を行ったと台湾や欧州の複数のメディアが報じている。

それらによると、欧州への進出については、独政府から工場誘致の話があり、真剣に検討を開始しているとする一方で、重要なのは株主価値の向上と顧客の需要の規模次第であることを強調。ドイツでの工場建設がドイツ国内の主要クライアントにとって重要かつ効果的かどうかを確認している段階にあり、まだ何かを公表できる段階には至っていないとしている。

Liu会長は、「各国政府が工場誘致を積極的に行っており、現地での生産を望んでいるが、海外生産は基本的に非効率で、生産コストが高くなる」との、これまでの考えを踏襲したうえで、日本での工場建設について、「クライアントの需要に応えるものだが、生産コストは、台湾に比べて非常に高い。このため、製造コストの差を縮められるように、毎週、日本側と協議を続けている」と、話し合いを継続していることを明らかにした。

また、同氏は、TSMC創業者のMorris Chang氏が、7月16日に開催されたAPECの非公式首脳会議で、各国が半導体サプライチェーンを独自に構築しようとしていることをコスト高になるとしてけん制する発言をしたことについて、「Chang氏の発言に完全に同意する。各国政府による補助金などの支援だけで、TSMCの海外工場の進出問題を解決できるわけではない」としている。