この半導体ニュースのまとめ
・SwissbitがBiCS8 NAND搭載のPCIe Gen4 SSD「N7000シリーズ」を発表
・電力効率・性能・コストのバランスを重視しファンレスや密閉系用途にも対応可能
・自社でのNANDパッケージと独自設計のコントローラでサプライチェーン独立性も強化
Swissbitは5月19日(現地時間)、組み込み用途向けのPCIe Gen4対応SSDとなる「N7000シリーズ」を発表した。同社として初めてキオクシア/Sandiskの第8世代3D NAND技術であるBiCS8のTLC品を採用した製品で、性能、電力効率、コストのバランスを重視した設計とすることで、産業用途やエッジシステム向けストレージの最適化を図ることを可能とする。
エッジシステムで重要性が増す電力効率と放熱対応
産業機器やエッジAIシステムでは、利用環境を踏まえる形でファンレスや密閉構造が求められるケースが多く、ストレージにも低消費電力と放熱の容易さが重要な要件となっている。同シリーズは、そうした制約環境でも安定した性能を維持できるよう設計されたSSDで、応答性を維持しながら消費電力を抑えることを狙いとしているとする。
BiCS8 NAND+自社開発コントローラ/ファームウェアで電力効率と信頼性を両立
同シリーズは、自社でパッケージングした3D TLCのBiCS8 NANDをベースに、自社開発のコントローラと専用ファームウェアを組み合わせる構成とすることで、電力効率と信頼性の最適化に加え、サプライチェーンの独立性向上も図られている。
また、ホストメモリバッファ(HMB)を備えたDRAMレスコントローラ設計による高い応答性も実現している点も特徴となるとする。
ベースとなるN7000は、240GBから3.84TBまでの容量をカバーし、M.2 2242およびM.2 2280のフォームファクタと温度範囲によって2種類のグレードで提供される。POS、ATM、HMI、デジタルサイネージ、産業用IoTなどの環境で稼働するシステム向けとしては、0℃~+70℃のC(Commercial)グレード品が適しているとするほか、PLCシステム、モーションコントロール、組み込みコントローラ、マシンビジョン、自律型ロボットなどの高度なオートメーションおよびロボティクス分野には、-40℃~+85℃のI(Industrial)グレード品が適しているとする。さらに、オプションのヒートシンク構成により、システムレベルでの熱特性および電力特性を最適化することも可能だとしている。
高耐久モデルやミッションクリティカルモデルも提供
同シリーズは、ベースとなるN7000のほか、pSLC(疑似SLC)技術を採用した高耐久性モデルの「N7600」や保護機能を強化したミッションクリティカルモデルの「N7001」および「N7601」もラインナップ。N7600は書き込み負荷の高いワークロード用途に向けた製品で、容量は80GB~1.28TBとやや少なめながら、TLCの10倍を超える書き込み耐久性を備えるpSLCで構成され、産業用温度範囲に対応し、高信頼性と長寿命が求められるロギング、キャッシング、および継続的なデータ収集といった用途に対応する。一方のN7001/N7601は、過酷な環境条件やミッションクリティカルな用途向け品で、N7000/N7600をベースに、ハードウェアベースの高速消去および書き込み保護機能を統合したほか、コンフォーマルコーティングのオプションを用意することで、高度なセキュリティや極めて高い信頼性が求められる環境への導入が可能を可能としたとする。
性能・電力・コストの最適バランスが求められる組み込みSSD
一般的なPCIe対応SSDとしては読み書き性能や書き換え回数などが注目されるが、産業用途では必ずしもそうした性能が優れていればよいというわけではなく、消費電力や放熱、長期の信頼性や耐久性などの要素も重要視される。
SwissbitのN7000シリーズは、そうした組み込み/エッジ分野に対する性能・電力・コストの最適バランスを提示する製品として位置づけされており、今後のエッジAIシステムやAI処理の分散化が進むに伴い、そうした最適バランスに対するニーズは高まるものと見られる。
なお、N7000シリーズの供給は、Cグレードモデルからとなり、その後にIグレードモデルが提供されるスケジュール。ミッションクリティカル用途向けとなるN7001/N7601については、2026年半ばからの供給開始予定としている。
