昨年末から価格が急上昇しているビットコイン。値上がり益が注目される中インカムゲインでコツコツ稼いでいる投資家がいた。

彼はなぜ仮想通貨に投資をして、どのように稼いでいるのか。その仮想通貨取り引きの実態に迫るため、インタビューを実施した。

  • 仮想通貨レンディングで毎月インカムゲインを獲得している例

ビットコインのレンディングで金利収入

投資家のプロフィール

年齢:30代
性別:男性
氏名:反町さん(仮名)
住まい:東京都在住
投資歴:15年(株式と仮想通貨)
職業:IT企業に務めるエンジニア
現在のポートフォリオ:仮想通貨・株式・現金(割合7・2・1)

――なぜビットコインに投資したのですか?

ビットコインの「データが価値を持つ」というところに興味を持ったのがきっかけで投資を始めました。

――どのような投資をしていますか?

ビットコインのレンディング(保有する仮想通貨を貸し出すこと、貸仮想通貨)で金利収入を得ています。

――いつ仮想通貨のレンディングを始めましたか?

2020年6月の定額給付金が入ったタイミングでレンディング事業者に保有していたビットコインを貸し出しました。合計で1.75BTC(当時175万円相当)を貸し出しました。もちろん給付金の10万円で購入した分も含まれています。貸し出した当時のレートだと1BTC=100万円くらいでした。

――仮想通貨のレンディングはどんなサービスですか?

個人が仮想通貨取引所等に仮想通貨を貸し出して、個人は取引所から金利収入を受け取れるサービスです。受け取れる金利収入は枚数で考えます。例えば、1BTCを年利1%のサービスに貸し出せば、満期が来たときに貸し出した1BTCと金利収入分の0.01BTCを受け取れることになるのです。

レンディングサービスは国内の仮想通貨取引所が運営しているものが幾つかあって、そのうちの1つであるビットバンクの「暗号資産を貸して増やす」を使用しています。

金利は1~5%と高い水準のサービスが多いですが、あえて1%のサービスを利用しています。レンディングサービスはセキュリティ面でのリスクがやや大きい※ので、金利よりも安全性を重視して、信用できる取引所を選択しているからです。個人的には技術的なクリプト業界への貢献度も考えて貸し出す先を選んでいますが、一般の人には理解されにくいと思います。

※仮想通貨のレンディングサービスは資金決済法上の分別管理対象ではありません。仮想通貨レンディングは消費貸借契約で成立しており、万が一仮想通貨取引所等が破綻した場合であっても、利用者が貸し出した暗号資産が返却されないリスクがあります。

――インカムゲイン(金利収入)でどのくらい儲かっていますか? ※1BTC=600万円で計算

貸出総額は1.75BTC(現在1,050万円相当)です。年利1%なので1年で0.0175BTC(現在約10万5,000円相当)の利益を受け取れることになります。月ごとで換算すると約0.00146BTC(現在約8,700円相当)の利益がある計算です。

――値上がり分を含めた利益はどのくらいですか? ※1BTC=600万円で計算

1.75BTCを購入した時のビットコイン価格は1BTC=100万円くらいでした。現在のレートは1BTC=600万円程度なので、価格は約6倍上昇しており、1.75BTCは約1,050万円の価値になっています。値上がり差益のみだと870万円くらいになります。そこに金利収入を合わせると880万円強の利益になります。

――満期を迎えた場合、利益はどうする予定ですか?

今は12ケ月の運用ですが、その満期がきたら、再度レンディングサービスに貸し出そうと思います。住宅ローンなどの支払いも残っていますが、円の価値は下がり続けると考えているので、日本円はそのまま借りておいて良いかなと思っています。とりあえず、仮想通貨の税金は高いので、税制が変わるまでは保有し続けます。税制が変わったら、一部は日本円に換金するかもしれませんね。その時に欲しいものがあればですが。

――なぜレンディングを利用するのですか?

仮想通貨トレードもやったことはあるのですが、トレードは時間がもったいないというのと、そもそもトレードが苦手だからですかね。あともう一つ大きな理由があって、キャピタルゲイン(売却益)を狙ってたくさんトレードすると、税金の計算が大変なんですよね。

レンディングの場合は金利収入を得た時点の価格で税金の計算をするのですが、私は貸出期間が1年間のサービスを利用しているので、満期が来るのは年に1回です。したがって、税金の計算をしなきゃいけないのはその1回だけなんです。

まあ年利で1%を低く感じる人もいると思いますが、銀行の定期預金は金利が0.002~0.003%※なので、それと比較するとかなり高い方だと思います。

※出典:日本銀行金融機構局1月27日発表「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について」より

――これから仮想通貨投資を始める方にアドバイスをお願いします

最も大事なことは相場に踊らされないことですね。ちょっとの変動で一喜一憂して売買していると、痛い目にあうと思います。そういった意味では、レンディングは売買の抑止力になり得るので、長期保有したいけど握力が弱いといった方には良いサービスかもしれません。

もう一つアドバイスをするなら、技術的に理解していないものには簡単には手を出さないということですかね。得体の知れない新規通貨を購入する際も気を付けるべきです。ある程度は勉強をしてみてください。価値がないと思うなら買う必要は一切ないと思います。

相場に関しては、仮想通貨の相場は実体経済とリンクしてきているので、金融・経済ニュースを見た方が絶対いいですね。世界中のお金持ちが買い集めているのにも注目です。結局世の中の経済を動かしているのは彼らなので。


レンディングは長期保有目的の仮想通貨投資家にとってかなり理にかなった運用方法ですが、価格変動の大きな仮想通貨を簡単に動かせなくなるため、多少なりとも勇気がいることです。

反町さんはエンジニアとして技術的にビットコインを理解し、仮想通貨市場を金融・経済の大局的な動向と紐付けて分析し続けた結果、このような運用方法を選択されたのでしょう。

投資歴も長いようで、日々の情報収集などを継続的に行うなど、地道な努力が伺えます。

執筆者プロフィール:ビットバンク広報チーム

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